古銅とも記し、唐銅(からかね)と同意。
銅を主体とした錫・鉛の合金。
茶褐色を呈し、時代が経ると錆味をもち、黒色に変化する。
日本では真鍮と称されるもので、銅 9分から9.5分、亜鉛 0.7分、小量の錫を添加する。紫銅は青銅の異名。
響銅ともいい、佐波理とも書く。
銅合金の一種で 銅87% 、錫9% の主成分に亜鉛・銀・鉛を小量含ませた合金。
語源は朝鮮半島にあるといわれ、朝鮮ではこの合金で作られた碗形の食器にこの名が用いられている。
日本では奈良時代にこの合金の食器があり、正倉院宝庫に砂張製の水瓶・皿・匙など多数の僧具・食器がある。
奈良時代の砂張は黄白色であり、現在は鉛白色である。安土桃山時代以後、茶道の世界で茶入・水指・建水などに用いられた。
中国の銀生産地が南鐐ということから、銀のことを南鐐と呼ぶ。
銅は柔らかく細工もしやすいが、緑青が出やすい欠点がある。
利休好に銅製釣瓶形水指がある。
織物のモールと表面の模様が似ているところから呼ばれるという。
モールとは印度のムガール国で作られた織物で、モールはムガールの転訛であるとされている。
茶道具では合金の表面に鎚や鏨で文様を叩き出したり、彫り出したものを毛織と呼んでいる。
参考文献
千宗左著「茶の湯表千家」 主婦の友社
野村瑞典著「茶道具の基礎知識」 光村推古書院
山下恵光著「茶の工芸」 河原書店
「原色茶道大辞典」 淡交社
「理化学事典」 岩波書店