132  十牛図 (じゅうぎゅうず)


禅の修業を「牛を探して飼い慣らすということ」にたとえた図であります。

悟りにいたる道筋を牛を主題とした十枚の絵で表したもの。

ここで牛は人の心の象徴とされる。またあるいは、牛を悟り、童子を修行者と見立てています。

一.尋牛(じんぎゅう)… 牛を捜そうと志すこと。
  悟りを探すがどこにいるかわからず途方にくれた姿を表現。

二.見跡(けんせき)… 牛の足跡を見出すこと。
  足跡とは経典や古人の公案の類を意味する。

三.見牛(けんぎゅう) … 牛の姿をかいまみること。
  優れた師に出会い「悟り」が少しばかり見えた状態。

四.得牛(とくぎゅう)… 力づくで牛をつかまえること。
  何とか悟りの実態を得たものの、いまだ自分のものになっていない姿。

五.牧牛(ぼくぎゅう)… 牛をてなづけること。
  悟りを自分のものにするための修行を表す。

六.騎牛帰家(きぎゅうきか) - 牛の背に乗り家へむかうこと。
  悟りがようやく得られて世間に戻る姿。

七.忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん)… 家にもどり牛のことも忘れること。
  悟りは逃げたのではなく修行者の中にあることに気づく。

八.人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)… すべてが忘れさられ、無に帰すること。悟りを得た修行者も特別な存在ではなく本来の自然な姿に気づく。

九.返本還源(へんぽんげんげん) …原初の自然の美しさがあらわ  れてくること。悟りとはこのような自然の中にあることを表す。

十.入テン垂手(にってんすいしゅ) …悟りを得た修行者(童子から布袋和尚の姿になっている)が街へ出て、別の童子と遊ぶ姿を描き、人を導くことを表す。



参照

                                      茶道具の基礎知識家   野村瑞典 著 光村推古書院
                                            原色茶道大辞典             淡交社

                                                                                             

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