上塗りをしただけの漆塗りには、表面張力のように盛り上がる端の塗りムラや、刷毛によるすじ、微量のホコリによる凹凸が残っています。
そこで、平らに見える表面を更に磨き上げていく「蝋色」を施します。そうすることで、まるで鏡のような仕上がりになります。
一言で蝋色仕上げといっても、四つの工程があります。
@まず炭研ぎといって、上塗りした漆塗面を炭で水研ぎ、刷毛の筋を消して行きます。
A次に胴擦りで表面を緻密にします。
Bそして蝋色漆を塗り込む摺り漆で余分な漆を拭き取っていきます。
C最後に角粉磨き(つのこみがき)を使い、手の掌や指先で丁寧に磨きあげていきます。
この工程を三.四回繰り返し、鏡のように仕上がります。
※ 蝋色漆…油分を含まない漆
※ 角 粉…鹿の角を粉末にしたものを用いたが、現在では手に入りにく代用品として酸化チタンを使用
原色茶道大辞典 淡交社