bR2 信楽焼
信楽焼は滋賀県信楽町周辺で焼かれる中世から続くやきもので、
開窯は平安末期の12世紀とされ、常滑焼の影響を受けています。
長石の粒を含んだ白色の素地は良質で、焦げて赤褐色の肌となり、
自然釉の掛かった景色も豊かです。
室町時代後期に侘の茶の湯道具として注目されて以来、桃山時代の優作はほとんど茶道具で占められています。
代表的な茶人の名を冠して紹鴎信楽・利休信楽・宗旦信楽・遠州信楽・空中信楽(光悦の孫)・新兵衛信楽(京都の茶道具屋)と呼ばれる。
◎ 信楽の陶土
今から200〜150万年前、現在の琵琶湖の3倍はあったといわれる古琵琶に黒雲母花崗岩の風化物が蓄積して生まれた陶土です。
信楽独特の石ハゼの土は花崗岩の未風化物である長石や石英(珪石)の粒が土の中に含まれていて、焼くと長石の粒は白く融け、石英の粒はほぼそのまま残ってそこだけ土がはじけます。
◎信楽独特の景色としては火色とビードロと焦げがあります。
○火色
焼成によって器物の肌がほの赤く或いは薄い柿色に発色することをいいます。
主として素地に含まれている鉄分の酸化によって発色します。
窯中の炎の流れや、周囲の影響、窯の水分、焚き方などの諸条件によって火色の発色も赤色・薄赤色・赤黄色・白黄色・褐色・赤褐色・灰色と変化する。
○ビードロ
薪を燃料として焼成すると器物の表面に薪の灰が付着します。
その灰が熔けて灰釉となり素地に含まれている長石と反応し、自然に青緑色、黄緑色、黄色のガラス質を作り出します。
これを別名ビードロと呼びます。
○焦げ
やはり薪を燃料として焼成する窯で薪の灰が蓄積する場所に器物を置いて焼成すると灰に埋まった部分が黒褐色に発色します。
これを焦げ(別名・灰かぶり)と呼びます。
火色・ビードロはどちらかといえば華やかなものですが、焦げは渋さと落ち着きを感じさせます。
参照文献
やきもの事典 平凡社
陶芸の土と窯焼き 大西政太郎 著 理工学社
伝統の信楽焼 富増純一 著 信楽焼資料美術館刊
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