◎bS7 茶道と科学
茶道と科学といってもピンと来ませんが決して無関係ではありません。
その例1
「炭を塩水で洗うとCO(一酸化炭素)が出なくなる」
といわれた先生がおります。
こんなことは全く考えられません。
効果がないばかりか灰の中に塩分が残り、五徳・風炉などに悪影響を及ぼすばかりでしょう。
その例2
炭の燃焼に関するものですが、炭火を保たせようと炭をたくさん入れますがかえって早く燃え尽きます。
熱量の関係で燃焼が早くなるというわけです。
火を保たせようとするならチマチマと少しの炭を数回に分けて入れた方が良いようです。
その例3
楽焼や萩の茶碗にお茶を入れたままにしておくと漏れるということを聞いたことがあります。
貫入と呼ばれる釉薬の透き間から漏れるのは当然のことです。
茶碗はその用途から水や湯を入れたままにしておくことはまずないでしょう。
(例外として 献茶などに使用する天目茶碗)
その例4
白・赤楽の特異性について。
楽焼の鉢などを使われる時はなるべく酢の物(そんなに酸っぱいものは無いでしょうが)を入れないようにして下さい。
ただ向付の場合には短時間の接触ですので無視できるでしょうが。
長時間入れておくと酢酸で釉薬に含まれる鉛が溶け出すおそれがあります。
白・赤などの楽焼(黒は除く)には普通の釉薬より低火度で解けるよう鉛を少量加えてあります。
食器として使われる場合には注意が必要です。
陶器の食器の使い方はご存じとは思いますが、水にどっぷりと浸しておいてから使います。
土に水を含んでいるから汚れにくくなるというわけです。
その例5
灰の浸食性について
どんなに灰汁抜きをした灰でもアルカリ性ですので浸食性があります。
楽焼の灰器や火入、もちろん風炉や五徳なども後始末が大切です。
以前、稽古場で弘入の火入がぼろぼろになったのを見ました。
参照文献
「茶の湯と科学」 茶道学大系8 千宗室監修 堀内國彦編 淡交社