51 朝 日 焼 について
京都府宇治市の陶器。
慶長年間(1596〜1615)奥村次郎右衛門が創始したという。
正保(1644〜8)ごろには小堀遠州の指導により奥村藤作が茶陶を主として製作したと伝えられ、遠州七窯の一つ。
慶安(1648〜52)ごろから一時絶え、文久元年(1861)に松林長兵衛が再興してから引続き今日に及んでいる。
当代(15代)松林豊斎。
朝日焼の特長
朝日焼を300有余年間ささえてきた宇治の陶土は、現在窯元の対岸の折居山より採掘しています。
この永年熟成された土と穴窯登窯の松の炎が融合するとき朝日焼の御本手が生
まれてくるのです。
御本手とは明るい斑点状の色模様の出たやきものです。
朝日焼では土により特長によって鹿背・燔師・火変りとに分けて呼んでいます。
◎ 鹿背 (かせ)
鹿の背のような色柄の出た御本手であり薄手で瀟洒な作りが特長です。
◎ 燔師 (はんし)
ほのぼのとした、ちょうど朝日の情景を想わせるような土味です。
◎ 火変り
ざっくりとした土味に一方から当る松の炎が思いがけなく、かもし出た深みのある御本手です。
◎ 梅華皮はぜ釉
動的な灰釉の流れ、ことに高台際の梅華皮が特長です。
◎ 灰釉
穴窯登窯の炎が強い部分では、灰釉が自然釉とあいまって美しい釉となります。