福井県条例第   号

           福井県ふぐの処理に関する条例

 

 (目的)

第一条 この条例は、ふぐの処理について必要な規制を行うことにより、ふぐの毒による食中毒の発生を防止することを目的とする。

 (定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 処理 ふぐの卵巣、肝臓その他規則で定める有毒部位(以下「有毒部位等」という。)を除去し、または塩蔵する等により、人の健康を損なわないようにすることをいう。

 二 ふぐ処理登録者 次条第一項の登録を受けた者をいう。

 三 ふぐ処理施設 ふぐを食品として販売(不特定または多数の者に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)の用に供するために処理を行う施設であって、県内に所在するものをいう。

 四 営業者 第十七条第一項の規定による届出をした者をいう。

 (登録の申請等)

第三条 業として処理に従事しようとする者は、規則で定めるところにより、知事の登録を受けなければならない。ただし、ふぐ処理登録者(第十五条の規定により業として行う処理の停止を命じられた者を除く。第十七条第一項第三号および第二十二条において同じ。)の監督の下にその指示を受けてふぐ処理施設において業として処理に従事する者(以下「ふぐ処理補助者」という。)については、この限りでない。                             

2 前項の登録を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書に、規則で定める書類を添えて知事に提出しなければならない。

一 氏名、性別およぴ生年月日

 二 本籍地の都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍および住所

 三 次条第一項第一号に該当する場合には、その旨

 四 次条第一項第二号に該当すると思料する場合には、その理由

 (登録の要件等)

第四条 知事は、前条第一項の登録の申請があった場合において、申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の登録をしなければならない。

 一 第九条第一項の規定による指定を受けた講習を修了した者

 二 前号に掲げる者と同等以上の知識および技能を有すると知事が認める者

2 前項の規定にかかわらず、知事は、申請者か次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の登録をしてはならない。

一 調理師法(昭和三十三年法律第百四十七号)第四条各号に掲げる者

 二 第十五条または第十六条第一項もしくは第二項の規定によりその登録を取り消された後一年を経過していない者

3 知事は、前条第一項の登録をしたときは、ふぐ処理登録者登録済証(以下「登録済証」という。)を交付するものとする。

 (登録事項の変更の届出等)

第五条 ふぐ処理登録者は、第三条第二項第一号または第二号に掲げる事項に変更があったときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。この場合において、登録済証の記載事項に変更を生じたときは、登録済証の書換交付を申請しなければならない。

 (登録済証の再交付等)

第六条 ふぐ処理登録者は、登録済証を破り、汚し、または失ったときは、規則で定めるところにより、速やかに、知事に登録済証の再交付を申請しなければならない。

2 登録済証を破り、または汚したふぐ処理登録者が前項の規定による申請をする場合には、申請書にその登録済証を添えなければならな

3 ふぐ処理登録者は、第一項の規定により登録済証の再交付を受けた場合において、失った登録済証を発見したときは、直ちに、これを知事に返納しなければならない。

 (ふぐ処理登録者の死亡等の届出)

第七条 ふぐ処理登録者が死亡し、または失踪の宣告を受けたときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第八十七条第一項に掲げる同居の親族またはその他の同居者は、規則で定めるところにより、速やかに、登録済証を添えてその旨を知事に届け出なければならない。

 (ふぐ処理登録者の遵守事項)

第八条 ふぐ処理登録者は、業として処理に従事するに当たっては、次の事項を遵守しなければならない。

一 有毒部位等は、完全に除去すること。

 二 冷凍したふぐを使用するときは、急速に冷凍したものを用いること。

 三 冷凍したふぐを解凍するときは、流水等を用いて迅速に行うとともに、解凍したふぐは、直ちに処理を行い、再び冷凍しないこと。 

四 除去した有毒部位等は、施錠することができる専用の不浸透性の容器に入れ、他の食品または廃棄物に混入しないように保管し、および塩蔵用原料とするものを除き、焼却その他の衛生上の危害を生ずるおそれがない方法により処分すること。

 五 ふぐの毒が残留しないように、処理に使用した器具を完全に洗浄すること。

 六 ふぐ処理施設以外の場所で、処理に従事しないこと。

 七 ふぐ処理補助者に処理を行わせるときは、当該ふぐ処理補助者を適切に監督すること。

2 ふぐ処理登録者は、登録済証を他人に譲渡し、または貸与してはならない。               (ふぐ処理講習の指定等)       

第九条 知事は、処理に関する必要な知識および技能を習得するための講習(以下「ふぐ処理講習」という。)を指定するものとする。

2 前項の規定による指定を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に申請しなければならない。

 (ふぐ処理講習の指定の要件)

第十条 知事は、前条二項の規定による申請が次の各号のいずれにも該当しているときでなければ、同条第一項の規定による指定をしてはならない。

一 ふぐ処理講習の実施に関する計画(以下「講習実施計画」という。)において、ふぐ処理請習の受講資格者を次のいずれかに該当する者としていること。

  イ 調理師法第三条第一項の免許を有している者

  ロ ふぐ処理施設において、ふぐ処理補助者として従事した期間が通算して二年以上である者

二 前号に掲げるもののほか、講習実施計画が規則で定める要件に適合していること。

三 ふぐ処理講習を実施する者(以下「講習実施者」という。)が民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人で、ふぐ処理講習の実施に関する事務を適正かつ確実に行うことができるものであること。

 (ふぐ処理講習の指定の公示)

第十一条 知事は、第九条第一項の規定による指定をしたときは、次の事項を公示しなければならない。

一 講習実施者の名称および主たる事務所の所在地

 二 ふぐ処理講習の名称

 三 指定した年月日

 四 前三号に掲げるもののほか、規則で定める事項

 (報告の徴収およぴ立会い)

第十二条 知事は、必要があると認めるときは、講習実施者から必要な報告を求め、または食品衛生監視員(食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十九条第一項の食品衛生監視員をいう。以下同じ。)に、ふぐ処理講習の実施に立ち合わせることができる。

 (講習実施計画の変更の届出)

第十三条 講習実施者は、講習実施計画を変更しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。

 (ふぐ処理講習の指定の取消し)

第十四条 知事は、第九条第一項の規定による指定を受けたふぐ処理講習が第十条各号のいずれかに該当しなくなったときは、その指定を取り消すものとする。 

(ふぐ処理登録者の処理の停止等)

第十五条 知事は、ふぐ処理登録者が第八条の規定に違反したときは、当該ふぐ処理登録者に対し、必要な措置をとることを命じ、もしくは期間を定めて業として行う処理の停止を命じ、またはその登録を取り消すことができる。

 (登録の取消し等)

第十六条 知事は、ふぐ処理登録者か前条の規定による知事の命令に違反したときは、その登録を取り消すことができる。

2 知事は、ふぐ処理登録者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すものとする。

一 調理師法第四条第一号または第二号に掲げる者となったとき。

 二 調理師法第六条第二項の規定により同法第三条第一項の免許を取り消されたとき。

 三 詐欺その他不正な手段により第三条第一項の登録を受けたとき。

3 ふぐ処理登録者は、前二項の規定によりその登録を取り消されたときは、速やかに、登録済証を知事に返納しなければならない。

 (ふぐ処理施設の届出等)

第十七条 ふぐ処理施設を経営しようとする者は、規則で定めるところにより、ふぐ処理施設ごとに、次の事項を知事に届け出なければならない。

一 氏名およぴ住所(法人にあっては、その名称およぴ代表者の氏名ならびに主たる事務所の所在地)

 二 ふぐ処理施設の名称およぴ所在地

三 専任のふぐ処理登録者専ら当該ふぐ処理施設において、業として処理に従事する者をいう。以下同じ。)の氏名およぴ住所

 四 前三号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 知事は、前項の規定による届出を受理したときは、ふぐ処理施設届出済証(以下「届出済証」という。)を交付するものとする。

3 営業者は、届出済証をふぐ処理施設の見やすい場所に掲示しなければならない。

 (届出事項の変更の届出等)

第十八条 営業者は、前条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。この場合において、届出済証の記載事項に変更を生じたときは、届出済証の書換交付を申請しなければならない。

 (届出済証の再交付等)

第十九条 営業者は、届出済証を破り、汚し、または失ったときは、規則で定めるところにより、速やかに、知事に届出済証の再交付を申請しなければならない。

2 届出済証を破り、または汚した営業者が前項の規定による申請をする場合には、申請書にその届出済証を添えなければならない。

3 営業者は、第一項の規定により届出済証の再交付を受けた場合において、失った届出済証を発見したときは、直ちに、これを知事に返納しなければならない。

 (ふぐ処理施設の廃止の届出)

第二十条 営業者は、ふぐ処理施設の経営を廃止したときは、規則で定めるところにより、届出済証を添えて、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。

 (営業者の地位の承継)

第二十一条 営業者について相続または合併があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該ふぐ処理施設の経営を承継すペき相続人を選定したときは、その者)または合併後存続する法人もしくは合併により設立された法人は、当該営業者の地位を承継する。

2 前項の規定により営業者の地位を承継した者は、規則で定めるところにより、速やかに、その事実を証する書面を添えて、その旨を知事に届け出なければならない。

 (営業者の遵守事項)

第二十二条 営業者は、次の事項を遵守しなければならない。

一 ふぐ処理施設ごとに専任のふぐ処理登録者を置くこと。ただし、営業者自らが専任のふぐ処理登録者である場合は、この限りでない。

ニ 除去した有毒部位等を保管するため、施錠することかできる専用の不浸透性の容器を備えること。

 三 処理を行う専用の調理用器具を備えること。

2 営業者は、ふぐ処理登録者またはふぐ処理補助者以外の者に、業として処理を行わせてはならない。

 (ふぐ処理施教における処理の停止等)

第ニ十三条 知事は、営業者が前条の規定に違反したときは、当該営業者に対し、必要な指定をとることを命じ、または期間を定めて当該ふぐ処理施設における処理の停止を命ずることができる。

  (表示)

第二十四条 処理を行ったふぐで容器包装(食品衛生法第二条第五号に規定する容器包装をいう。以下同じ。)に入れたものを販売しようとする者は、規則で定める事項を当該容器包装の見やすい箇所に表示しなければならない。

 (手数料)

第二十五条 次の各号に掲げる申請をしようとする者は、当該各号に定める手数料を申請の際に納付しなければならない。

一 第三条第一項の登録の申請一件につき四千円

 二 第五条の規定による登録済証の書換交付の申請一件につき千八百円

 三 第六条第一項の規定による登録済証の再交付の申請一件につき二千二百円

2 既に納付した手数料は、還付しない。

 (報告の徴収および立入検査)

第二十六条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、ふぐ処理登録者、営業者その他の関係者に対し、処理、ふぐ処理施設に関する状況その他必要な事項について、報告または資料の提出を求めることができる。

2 知事は、この条例の施行に必要な限度において、食品衛生監視員に、ふぐ処理施設に立ち入り、処理の状況もしくは帳簿書類その他の物件を検査させ、または関係者に質問させることができる。

3 前項の規定により立入検査または質問をする食品衛生監視員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。

4 第二項の規定による立入検査または質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (規則への委任)

第二十七条 この条例に定めるもののほか条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

 (罰則)

第二十八条 第三条第一項の登録を受けないで、業として処理に徒事した者は、六月以下の懲役または十万円以下の罰金に処する。

2 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

一 第八条第一項第四号から第七号までの規定に違反した者

 二 第八条第二項の規定に違反した者

 三 第十五条または第二十三条の規定による処理の停止の命令に違反した者

 四 第十七条第一項の規定による届出をしないで、ふぐ処理施設を経営した者

 五 第二十二条の規定に違反した者

 六 第二十六条第一項の報告もしくは資料の提出を怠り、もしくは虚偽の報告をし、または同条第二項の規定による立入検査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、もしくは質問に対し虚偽の答弁をした者

 (両罰規定)

第二十九条 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対して、同条の罰金刑を科する。

              附        則

 

 (施行期日)

1 この条例は、平成十二年九月一日から施行する。

 (経過措置) 

2 この条例の施行の際現に業として処理に徒事している者は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から二月間は、第三条第一項の登録を受けないで、業として処理に従事することができる。その者が当該期間内に同項の登録の申請をした場合において、当該期間を経過したときは、当該申請に対する処分があるまでの間も、同様とする。

3 施行日前において実施された第十条各号のいずれにも該当するふぐ処理講習は、第九条第一項の規定による指定を受けたふぐ処理講習とみなす。

4 第十条第一号の適用については、この条例の施行後二年間に限り、同号ロ中「ふぐ処理補助者として従事した期間」とあるのは、「ふぐ処理補助者として従事した期間(第四条第一項第二号の規定により知事が認める者または附則第三項の規定により第九条第一項の規定による指定を受けたふぐ処理講習とみなされたふぐ処理講習を修了した者であって、平成十二年九月一日前において業として処理に従事しているものの監督の下に、その指示を受けて業として処理に従事した期間を含む。)」とする。

5 この条例施行の際現にふぐ処理施設を経営している者は、施行日から二月間は、第十七条第一項の規定による届出をしないで、ふぐ処理施設を経営することができる。