始めに
もう一年も前のことになりますが、「幻想的小庭園」のページを企画したときに、是非コンテンツに入れたかったのがコグスウェルの短編「壁の中」です。
最初に読んだのはずっと昔、私が小学生の時、中学生雑誌(以前に、中○時代とか中○コースとかいう雑誌があったのでが)その付録に付いていた小冊子でした。
確か従姉の家に行ったときに読んで、その話に夢中になりました。
その後SFの洗礼を受けていろいろな作品を読み漁って、それこそ、初心のセンス・オブ・ワンダーを忘れかけた頃、偶然にこの作品と再会しました。
それまでは「壁の中」がSFに分類されていることも知らなかったし、その存在さえ忘れかけていたので、本当に懐かしい旧友に会った気持ちでした。
その後、長い月日がたってこのページを作ろうと思いながら他のことにかまけて先延ばしになっていました。
先日「壁の中」を読んで再再度、驚きました。昨今話題になっているハリー・ポッター、その他復権したファンタジー小説の世界に似ていること!
そう、壁の中とは魔法の世界だったのです。主人公はほうきで空を飛び、空中浮遊術を使う男の子、しかも両親は、謎の失踪をとげ、嫌な従兄にいびられている……でも彼にはひとつだけ胸に秘めた計画がありました。
この世界を取りまいているあの高い「壁」の外へ出ること、どんなに怖ろしい「黒い人」が襲ってきても……
ページを作るのが遅れた理由の一つは、お話が余りにファンタジーっぽかったこと、魔法の記述が多くて、時勢に合わないのでかえって作品の良さが(紹介者の力不足で)分かってもらえないかも知れないという危惧があったからです。
しかし、ハリー・ポッター、その他のお陰で、今魔法の話は最も最先端を行く波に乗っているようです。
今は絶版で、どのアンソロジーにも載って無いと思われる「壁の中」の解説ページと共に、復刻版のページをアップしました。
このすてきな、SFテイストの詰まったお話をみなさんと共有できますように。
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