藤堂尚夫
本会報の第3号に「インターネット上の中野重治情報」を書いたが、その後中野重治に関する新しい情報が公開されたり、先に紹介したもので変更されたり、削除されたりしたものもあるようなので、その紹介をしておきたい。
1訂正
まず、前稿掲載以後に変更があったものについて、現在の情報に訂正しておきたい。主にURLの変更・訂正である。
「未刊のアルヒーフ」
(http://www.shonan.ne.jp/~kuri/mikan.html)(誤) (http://www.shonan.ne.jp/~kuri/index.html/archives/archives.html)(正)「五勺の酒」問題」
(http://www.shonan.ne.jp/~kuri/goshaku.html)(誤) (http://www.shonan.ne.jp/~kuri/index.html/archives/nakano/goshaku.html) (正)
「中野重治の『わが国』『わが国びと』」
(http://www.shonan.ne.jp/~kuri/nakano.html)(誤) (http://www.shonan.ne.jp/~kuri/index.html/archives/nakano/nakano.html) (正)
「文学のまち『金沢』」
(http://www.iia.or.jp/kanazawa/bunka/lit/litJ.htm)(誤)
(http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunka/lit/litJ.htm)(正)
「中野重治」
(http://www.iia.or.jp/kanazawa/bunka/lit/writers/nakano/nakanoJ.htm) (誤)
(http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunka/lit/writers/nakano/nakanoJ.htm) (正)
また、次のものは、四月二十九日現在、確認がとれなかった。ファイルそのものが削除されたのか、URLが変更されたものかは、不明である。
「中野重治記念文庫と生家跡」
(http://www2.interbroad.or.jp/furusato/maruokaH.htm )
2新しい情報
ここでは、前稿掲載以後に入手した情報を紹介していくことにしたい。なお、検索エンジンについても、前稿掲載以後に「フレシュアイ」(http://www.fresheye.com/)「Lycos
Japan」(http://www.lycos.co.jp/)などがサービスを開始しており、前稿紹介の検索エンジンなどに加えて新しい情報をもたらしてくれるようになっている。
最初に取り上げられなくてはならないのは、中野に関する論集が公開されたことであろう。
秦功一氏「雪の下」(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/)では、一九九七年度立命館大学一部文学部 講読演習U中川ゼミ論文集「雪の下」を公開している。「中野重治評論集」(林淑美編 平凡社ライブラリー)を用いての講読演習の成果である。論集自体も中野研究者などに配布されて評価されているようであるが、HTML版の公開である。(一部省略されている部分もある。)目次に沿って紹介していく。
中川成美氏「はじめに−正しいこと、わからないこと、そして美しいということ−」 (http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/nakagawa.html)
倉長有里氏「『雪の下』の行程について」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/kuranaga.html )
岡嶋靖宏氏「『風習の考え方』に見る中野重治の考え方」 (http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/okajima.html)
川口奈央子氏「「『文学者に就いて』について」−村の家からみる転向−」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/kawaguti.html)
川島典子氏「『警察官について』を考える」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/kawashima.html)
中谷広寿氏「『警察官について』を読む」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/nakatani.html)
上野友紀子氏「『冬に入る』を検証する。」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/ueno.html)
志賀英男氏「『ある側面』を読む」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/shiga.html)
植田隆之氏「『甘い生活』論」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/ueda.html)
松浦靖子氏「プロレタリア美術運動とその周辺」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/matuura.html)
佐野幹氏 「朝鮮人の問題について」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/sano.html)
瀬尾陽子氏「戦後文学への《消えた》警告−『批評の人間 性』から考える」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/seoyoko.html)
秦功一氏 「『なまりの氏素性』に在る懐疑性」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/hata1.html)
秦功一氏 「中野重治『言葉』をテーマにした論文」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/hata2.html)
村瀬潤子氏「中野重治から見るアラヒトガミ事件」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/murase.html)
瀬尾陽子氏「中野重治研究文献目録一九九○−一九九八」 (http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/nakanomokuroku.html)
(なおこの目録には、秦功一氏による補遺が HTML版には付け加えられている。)
諸氏 「編集後記」
(http://www.remus.dti.ne.jp/~h-koichi/henshuukouki.html )
特に研究文献目録は、この期間のものは公刊されていないと思われ、貴重なものといえる。文献目録には遺漏がつきものだが、いつでも更新できるHTML版の長所を生かし、新しい情報を付け加えていただきたい。ともかく、この論集の公開によって、インターネット上の中野研究は質・量ともに向上したと言えるだろう。
先にも紹介した栗原幸夫氏のページ「未刊のアルヒーフ」には、新しく「中野重治『再発見』のいかがわしさ」(http://www.shonan.ne.jp/~kuri/index.html/archives/nakano/saihakken.html)が付け加えられた。江藤淳をはじめとする中野「再発見」に関する論評である。
渡部芳紀氏は、『解釈と鑑賞』誌掲載の「中野重治詩集」(http://comet.tamacc.chuo-u.ac.jp/bungaku/sigeharu.HTML)を公開している。中野詩の魅力を語り、氏の中野詩への思いを感じさせる。なお、渡部氏のページは、中野以外にも文学に関する情報が満載されており、氏が撮影した写真も豊富で、文学に興味を持つ者にとっては、非常に楽しいページである。(「渡部芳紀研究室」http://comet.tamacc.chuo-u.ac.jp/)
杉眞理子氏は、福岡・尹東柱の詩を読む会関連ファイルとして「『垂直の意志のリリシズム』ユン・ドンジュと中野重治」(http://www.try-net.or.jp/~pe/yun/file/b.html)を公開している。これは、1997.2.15.ソウルでの尹東柱52周忌・韓日文学セミナーで
発表した原稿に一部加筆修正したものであるが、韓国詩人ユン・ドンジュと中野重治の共通点として、「時代状況というものを抜きにしては語れない」点を指摘し、詩人の生き方として〈垂直の意志〉が大切なことを述べている。
地元の少し変わった情報としては丸岡中学の学校要覧(http://www2.interbroad.or.jp/maruchu/school%20general%20surver/index.html)をあげたい。丸岡は中野の生誕の地であるが、中野は丸岡中学の校歌を作詞している。このページを開くとMIDIファイルによって、丸岡中学校の歌(伴奏)が流れ、ページの下の部分では、歌詞が紹介されている。
詩をビジュアルに見せるという点でのインターネット上の試みもある。「無言の現在」は、黒地に白の文字でいくつかの詩を紹介していて、少し変わった味わいを感じることができる。(http://www.mwc.ne.jp/bleue/poem/INDEX.htm)その中で、中野重治「雨の降る品川駅」も紹介されている。
稿者も中野に関する文章を公開していることは前稿で紹介したが、私のページの存在を知り、電子メールで中野の書簡の存在を知らせてくださった方が現れた。その方から書簡の画像ファイルを送っていただき、各方面の方々から了解をいただいた上で、公開の運びとなっている。「資料
中野重治書簡」(http://freedom.mitene.or.jp/~takalin/syokan.htm)詳細については、本会報の本号に「資料
中野重治書簡」としてまとめておくので、そちらを参照していただきたい。