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座礁した船首を目の前にするボランティアセンター
      (三国町安島)

19日の三国の様子('97.1.19)



 今日(19日)は波、風が強いということで、三国町の災害対策本部では作業中止が決まっていたので、海岸線での作業は全面中止でした。ということで、わたしはカメラを持って現地を見てきました。

 安島のボランティアセンターでは、昨日、兵庫-京都の海岸にボランティアに来ていた老人が疲労で亡くなったという事故があったためかどうかわかりませんが、リーダーの方がボランティアの人たちに健康管理を呼びかける集会が開かれていました。



 作業ができず、センターには大勢のボランティアの人たちが時間を持て余している(しかし、つかの間の休息が取れている)という光景がうかがわれました。
支援物資の整理を行うボランティア


炊き出しも、今日は皆遠慮がち






今日は受け付けに人が殺到することもなく、受け付けの人たちにも余裕が感じられます。



 そのうちリーダーの方から呼びかけがあり、数日間のバケツリレーの際にどこかのお墓を重油で汚してしまっているので、そのお墓をきれいにしに行くので30人程来てほしい、と呼びかけがあり、ボランティアの人たちがトラックに乗り合わせて作業に向かいました。











 目の前に座礁した船首部分が見える波打ち際を歩きました。海岸の岩、石はほんとうに真っ黒になっていて、波打ち際ではギラギラとした油がべっとりと付着しており、撮影しながら、あの美しい海岸がこんなになってしまって、と思うと、思わず涙が出てきてしまいました。
 あまりに酷すぎます。







 次に、サンセットビーチ(座礁現場から数キロ南)近くのサーファーショップ「ナンシー」へ行ってみました。ここは、日本サーフィン連盟福井支部の事務局もつとめ、連盟として今回の事故に対して物資やボランティアを募ったりして、独自の活動で成果を上げています。が、ちょっと波が出ると、町の対策本部から作業中止、中止というよりは”禁止”を言われ、活動をしたくてもできないという歯がゆさを感じているようでした。
 サーファーの人たちは今回、ウェットスーツを着込んで、通常のボランティアの人や漁師の人たちにはできにくい、実際の海に入っての作業(ほんとの汚れ役)を行っています。サーファーの人たちは、波が高いこの1月2月の時期こそがシーズンと言ってもいいくらいなので、波風の高い海に入ることは十分馴れているはずです(実際にこの真冬に大会などが開かれています)。ですから、ボランティアの作業が中止でも、経験のあるサーファーの方々は作業をしても良いとかの特例でも考えてはどうかと感じました。実際今日などは、昨日の予報で、かなり荒れると出ていたので中止になりましたが、実際には晴れ間ものぞき、波もそれほど高いとは思えませんでした。

 たしかに善意の作業でけが人が出るということはどうしても避けたい事に違いはありませんが、関西や中には関東から休みをつぶして、高い交通費、宿泊費を払って来て下さっている方々も含め、みんなの「海をきれいにしたい」という気持ちが空回りしているのは、見るに忍びない、とても残念なことと言わざるを得ません。


 実は今日19日は、福井市では、福井市の海岸線である鮎川や鷹巣の海岸で、油の漂着が確認されたことから、(福井市の)事故対策本部が、市の職員や自治会の人たちに作業を要請して、実施されてもいます。三国の海岸と福井市の海岸では10kmから数十キロ離れているだけで、三国が危険だが福井市が安全ということは考えられません。単に行政の判断の違いということでしょう。三国町の対策本部は、危険にはより敏感に、少しでも危なければ中止にした方がいいとでも考えているのかも知れませんが、昨日も今日も、一日で2,000人近い人が何もできず無為な時間を過ごしています。これがもし、税金を使った職員だったりするとどうでしょうか?、一人1万円にしても2,000万円が毎日ムダにされていることになります。おカネがかかっていればこんなに安易に作業中止にはしないことでしょう!お金はかかっていなくても、その分はボランティアの人が負担しているのと同じです。いえ、お金の話がしたいのではありません。待機している皆さんの気持ちが空回りしているのが、「海をきれいにしたい」から来ているのに、作業すると怒られる、というのがどうにも納得できないのです。


 とりあえず、行政サイドの方は少なくとも横方向の連携も取って欲しいものです。


その後の報告

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