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三国町米ヶ脇の(望洋楼下の)岩場

岩場での回収作業2/16



 今日は三国町米ヶ脇の、「望洋楼」という旅館の下の岩場に行きました。ここは船首座礁現場の安島の2キロほど南、サンセットビーチのすぐ北側という位置になります。
 ここはこれまでにも何度か回収・掃除が行われてかなりきれいになっていたところだったのですが、2、3日前のシケでまた入ってきたらしいです。
 もう来ないだろうと思っていたらしいのですが、おそらく、テクノポート(福井市石橋町、ここの岩場から2〜3キロ南)の近くにある大きなテトラポットのあたりに、人があまり行かないところなので手つかずでたくさんの重油が残っているらしいのですが、ここの重油がシケで、潮のまわり具合によって再び流れ出て、ここの岩場にたどり着いたのではないか、とはサーファーの人の弁。

 どうも、この一帯サンセットビーチ付近は潮のまわり具合によって(南からも北からも)周辺の海岸に打ち上がった物が、再び漂着する場所のようです。以前付近の磯に漂っていた重油がその後再び沖へ出たあとサンセットビーチへ上がったとも聞いています。(安島は安島で、雄島の大湊神社の神主松村さんに聞いた話では、南方からの漂流物は必ずここへ辿り着く、ここは太古の昔に文化が入ってきた玄関である(実際に、ヤシの実なんかが流れてくる、と現物を見せてもらったことがあります)とのことで、それにしても今回はトンだものが流れてきたもんだと思っていたのですが・・・)

 ここにある一つの問題は、周辺の市町村で作業の足並みが揃っていないことです。三国町だけが、ここには漁業で生計を立てる人が多いため回収作業が進んでいますが、南側の福井市の海岸、北側の芦原町の海岸ではそれほどすすんではおらず、残された重油が再び流され、三国に再漂着、あるいは能登方面に再漂着することもあり得るようです。行政が横へ連携していない事もありますが、マスコミが、三国が中止を決めると全ての場所での作業が中止になったかのように伝える事にも原因があるように思います。三国が中止でも福井市ではやっているのがしばしばです(ローカルの放送では市町ごとに作業の有無が言われますが、全国版のニュースでは三国のことしか言わないことが多いように思えます)。


 ここの岩場での作業は岩の間に縄とか網とかのゴミと絡まって付着している重油を取り除くことなのですが、まったくゴミ掃除といった感じです。しかし、岩場全体が重油まみれなので足元も滑るし、困難な作業です。そして重油やゴミがたまっているのは、岩の奥の手の届かないような所だったりするので、長さ1mくらいの鉄の棒(鉄筋コンクリートの鉄筋)を曲げた物で、ほじくって出す、というような作業です。それでも最終的には手を突っ込んで手で取らないと取れないので、もう全身重油まみれです。






岩と岩の間に網などと一緒に入り込んだ重油↑


 マスコミが伝えるニュースでは、”そろそろひと段落着くようだ”という空気が流れていますが、まあこれは、実際行政が、ボランティアの受け入れに疲れを見せていたり、あるいは漁業補償や義援金等の金銭的な問題を先に進めるために一旦区切りを付けたい、といった理由から(おそらく船首部分の抜き取り終了と同時くらいに)回収作業の終結を宣言したいようなそぶりを見せているようなので、マスコミとしてもそういう伝え方になるのはしかたないのでしょうけど、単純に海岸線を眺めてみればまだまだきれいにはなっておらず、今後もかなりの人手で作業に当たらなければ元通りの海岸には戻せないのはあきらかです。

 ここへ来てそれぞれの立場の思惑がいろいろ錯綜しているように見受けられます。先日14日で、ボランティアの無料宿泊施設に使われていた公民館が、町民の活動に支障が出るということで使用できなくなっていますし、漁師の方々はボランティアが作業していると気を使って漁に出たくても出れない(これは、先日行われたボランティア代表、漁協、行政の話し合いで、天気のいい日はボランティアには遠慮なく漁に出て下さい、ということになったようですが)とか、休みたくても休みづらいとかの思いもあるようですし、観光関係者(海水浴場、民宿の人達)は「もうテレビで三国のニュースを流すのはやめて欲しい」と言い、一刻も早い”安全宣言”(この場合は”もうきれいになりました宣言”)を望んでいるようです(もちろん宿泊のキャンセルが相次いだり、サカナなどが売れなくなっているため)。実際には夏近くまでかかるでしょうが、夏場に海水浴客が来ないのでは本当に三国の人たちは生きていけなくなってしまいます。

 そんな中で、独自に活動を続けているサーファーの人たちは複雑です。彼らは何を望むわけでもない、ただただ美しい海が帰ってくることを願っていますから、きれいになるまでは一人でも多くのボランティアの人たちが来てくれることを望んでいますし、きれいになるまでは行政(町も県も国も)にも手を緩めてほしくないと思っているし、きれいになるまではマスコミも世間の関心が薄れないように出来るだけ細やかに日本海の状況を伝えて欲しいと思っています。この状況に、日本サーフィン連盟福井支部の松田さんは「これからが大変だ、地元の人たちの生活を圧迫するようなことはもちろんできないし、しかし、きれいにするために多くの人に呼びかけはしていかなければならないし、地元とどうやって歩調を合わせながら作業を継続させていくのか、ほんとに、これからがむずかしくなっていくよ。」と心境を語りました。



サーファーの人たちは岩場の下の洞窟のような所に入って、独自に中の重油を回収している

 また、今までの、単に「油にすくう」という作業は見た目のアピールもあるし、実際にやってみてやりがいもあるような作業でしたが、これからの作業は上に書いたように「ゴミ掃除」のようなちょっときたない作業だったり、「石磨き」といった修行のような作業だったりして、比較すると”しんどい”作業です。やりたい人も減っていくでしょうし、時間も経過してやってくる人の数も減って来るでしょう。ほんとうに、これからの進展具合を、皆さんにどうか忘れずに見守って欲しいと思います。




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