中川一政
巨匠 中川一政 山崎谷間
「私の考える画家はまず生きていなければならぬ」
「私の考える美術はとにかく生きて脈打っていなければならぬ」
「鼓動が打っていなければならぬ」
画家中川一政の言葉である。
父は金沢、母は松任出身である。氏は晩年を
同氏のテープはその他に十巻ほどある。私は記念館に立ち寄って、そのテープをみるのが好きである。絵が描けなくなるとそのテープを見たい気持ちにかられる。それをみても氏の技量に近づけるなどとは決して思わないけれど、なんとなく勇気を与えていただけるのだ。私も絵を始めて十五年を迎えるが、ようやく絵の厚み、薄みが分かりかけてきたように思える。
生意気にも人様の絵をみて、あーだこーだとのたまわっている。過去に描いた絵を見て恥ずかしい思いをすることがあるが、これを進歩と言うにはあまりにも不遜であろうと思う。
今描いている絵を来年見たとき、同じように
恥ずかしく思うかも知れない。今はただ、生涯一点でよいから、残して恥ずかしくない絵を描きたいと願っている。そして、中川一政のような絵を描きたいと、無理を承知で願っている。