高橋真梨子の歌の世界 〜真梨子ワールドって・・・〜
その歌声、20年の表情
20年、 ひとことで言っても、生まれたばかりの子供が、成人するまでの期間...
そんな20年...。
それ以前、ぺドロ&カプリシャスで歌っていた真梨子さん。私は、リアルタイムで知
っている訳ではありませんが、今聴くと、しっとりとした張りのある声で、若さのなか
に少し背伸びした女の子の姿が浮びます。P&Cというなかで守られ、のびのび歌える
安心感...。でも、ひとりになったら、そうはいきません。高橋真梨子として最初の
声の表情は、どんなものだったのでしょう?
ファーストアルバム「ひとりあるき」。他の彼女のアルバムに比べれば、素朴なタイ
トルです。そのタイトル通り、手探りで自分のみちを探し、懸命に歩もうとする女の姿
が見えます。その声は、まだ思い切って主張はできないけど、ひたむきで、でもその中
には、未知なる可能性が秘められています。なんだか、成長過程の彼女を覗けるようで、
とても新鮮です。
では、バラ−ドの女王といわれる彼女の姿は、いつから見られるのでしょうか。
3rdアルバム、「モノロ−グ」。このあたりからの真梨子さんの声には、目を見張
るものがあります。すばらしく伸びのいい声...。これだけ声を出せるということは、
もちろん技術がアップしたということもありますが、自分自身をアピ−ル出来るように
なったのでしょう。聴いていても空を飛んでいるような心地よい気分です。そういえば、
私がはじめて彼女の歌を聴いたのもこの頃です。チョコレ−トのCMで流れていた、
「アフロディ−テ」。その時の印象は、すばり、「わっ、大人の世界だ!」しかもその
時の私は、「まりこ」と読めずに、単純に「まなこ」と読んでいました。
それはさておき.......
この後の真梨子さんは、留まるところを知りません。結構きわどい歌詞も多いのですが、
それをいやらしく見せず、男と女の情景を伝えていく...。そしてその声自体に感情
がこもり、「伸び」から、「天空を突き抜けるような」とでもいうような表現に変わっ
てきたのです。
そして...
ここ数年の真梨子さんの声に感じるのは、「せつなさ...」。
形でいうと、「レモン型」とでも言うのでしょうか。
ここ数年の真梨子さんの声に感じるのは、まるい心の中にちょっとした引っ掛かりがあ
る...そんなイメ−ジ。
私も大人になって、少しずつ、歌詞の意味も分かるようになりました。言葉ひとつにも、
人それぞれの表現の仕方によって、意味が変わるということも...。生きていると、
嬉しい事、つらい事、いろいろありますよね。今の彼女の声には、そんな人生を生きて
きたものの深みがあると思うのです。
彼女の歌の世界は、かっこいいと、ずっと思っていました。でも、それだけじゃない、
心の奥底まで響き渡るものがあるという事に気づきました。最近、ポップな作品が増え
たのも、心の表現力がついたからこそではないでしょうか。人間、ゆとりがないと、守
りに走りますものね。これからも彼女のいろいろなこえの表情を見ていきたいと思いま
す。みなさんもその時々の真梨子さんの声の顔を覗いてみませんか?
ぱるる