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今回は日本語版マジックについて書いてみます。第一部の総括でも話が出ましたが、日本語版マジックって現在日本で主流になっているマジックの遊び方に合った商品にはなっていない気がします。日本でマジックが広まるためには日本語版は無くてはならない存在だった。これは間違いないだろうと思います。ただ最近の様子を見ていると、それって既に過去の話になってしまったのかも知れない。そんな気さえします。言い方を変えると新しいマジックの遊び方(要するに競技マジック)を日本に広める上で、日本語版マジックは推進役どころか足を引っ張る役目しか果たしていないという事になるでしょうか。
昔はどうだったのかよく分かりませんが、現在日本語版を使うメリットってそれこそ日本語でカードテキストが書いてある位しかない気がします。確かに以前はそれだけの理由で英語版との差額を払う価値があったのかも知れません。並行輸入の英語版もそれ程普及はしていませんでしたし。でも最近は多くのデュエリストがORACLEを読み、英語版を混ぜてマジックを遊んでいるはずです。(というか、少なくともDCI公認トーナメントに出る方がORACLEを読むのは義務ですからね。)しかもそういう遊び方を、なぜか日本語版を一手に販売しているホビージャパンが自ら強く推進しているのです。そうなると日本語版マジックが唯一持っていたメリットすらその価値が薄れ、それゆえ値段が高くて誤植が少なくないという日本語版のデメリットのみが強調される結果になっています。
では日本語版を更に買ってもらうためには、一体どんな方法で売り込めばいいのでしょうか。ちょっと私も考えてみたのですが、突き詰めると大きく2つの方法があるという結論になりました。その1つは日本語版を昨今の競技指向に合った物にするというやり方で、もう1つは日本語版ゆえの付加価値を与えるというやり方です。あ、それと日本におけるマジックの競技志向を軌道修正するというやり方もありそうなのですが、これは今回は取り上げません。今となってはあまりにも現実的じゃないですからね。
最近日本で競技マジックに取り組んでいらっしゃるデュエリストの方で、日本のお店で税別500円のフレッシュパックを買っていらっしゃる方はいないのではないかと私は思っています。競技マジックはカード資産がそのままデュエリストの強さになるため、他のプレイヤーよりも1つでも多くのフレッシュパックを買うことが勝利につながるとも考えられます。(これは構築戦もそうですし、もちろん限定戦にも言えるでしょう。)そうなると少しでも安いカードを買いたい。それが当然の発想になると思います。でも現在のような日本語版の売られ方では、残念ながら競技プレイヤーの皆さんに日本語版は選んでもらえないでしょう。それでも買ってもらえるようになるにはどうすればいいか。これは改めて書く必要はないですよね。
もし日本語版マジックが何らかの事情でそういう売り方(はっきり言っちゃえば値下げ)ができないとしたら、別の方法で安い英語版との差別化を図るしかありません。しかし「日本のDCI公認トーナメントに日本語版ユーザー以外は参加させない」なんて事は仕組み上できませんし、そもそもそれは本末転倒でしょう。だとすれば、別のやり方で日本語版を買う(使う)事のメリットをデュエリストに感じさせる必要があります。ただし以前に実施されたプロモーションカードを使ったキャンペーンはあまり効果があったとは言えないみたいです。あいせん君によると「あのキャンペーンが始まるとマジック販売店の店頭に“ゴミあさり”が大量に発生して困る。」だそうですから。そうなるとやはり日本語版ユーザーが限定で参加できるイベントがいいのかな、という気がします。
例えば最近定例化している日本語版発売○周年記念トーナメントって、実際に日本語版を使って優勝あるいは上位入賞を果たしているプレイヤーってどの位いらっしゃるのでしょうか。これはかなり極論になっちゃうかも知れませんが、最近日本で開催されている公認トーナメント、特に賞金がかかった大きな大会って、そのほとんどすべてで英語版ユーザーが上位を占めている気がします。今年の日本選手権の賞金総額は5万ドルだったそうですが、その全部とは言いませんが大部分は英語版ユーザーが獲得している気がするのです。日本語版ユーザーは結果的にはマジックに英語版ユーザーの倍近いお金をかけているのに賞金を手にできていないと思われる。それって見方を変えると日本語版ユーザーが積み立てた賞金を英語版ユーザーが根こそぎ持っていくという構図にすらなっています。だとすると、私としては賞金総額5万ドルをかけた日本語版ユーザー限定のイベントすらあってもいいような気がします。だって日本語版ユーザーは間違いなくマジックにそれだけの貢献をしているのですから。
私としては日本語版を「こんなのいらない!」の一言で片付けたくないんです。だって日本のマジックがここまで来たのには、間違いなく日本語版の貢献があったのですから。しかし逆に「日本語版があんな商品にならなければ…」とか「別の会社がディストリビューターになって売ってくれていれば…」という声は少なからずあります。しかも現在日本語版を売っている多くの販売店が、自店が得る利益を削る形での値下げで日本語版を売っているのが実状のようです。確かにそういう状態で1〜2年くらいは頑張れるかも知れません。でもさすがにそろそろ皆さん限界ですよね。だって販売店の皆さんがそこまで頑張ってマジックを盛り上げようとしているのに、いつまで経ってもマジックは日本のおもちゃ市場で確固たる地位を確立できずにいるのですから。
こう考えると日本語版って、あらゆる意味で基本セットとか構築済みデッキと立場が酷似している気がします。はっきり言っちゃいますが、少なくとも現在のままなら競技に特化したマジックには全く無用な物と言わざるを得ないと思うのです。しかしウィザーズ社やホビージャパンは日本語版を売りたがっているし、日本のデュエリストも日本語版が無くなると困るんですよね。それだったらもう少し真剣にどうすれば日本語版マジックが維持/発展するのかを考えるべきなんじゃないでしょうか。でも具体的にどうすればいいのか、私にはあまりよい知恵が思い浮かびません。だってこの問題を解決する最善策が“日本語版の値下げ”である以上、どう考えても実現は期待できないですから。
という事で、次回のテーマはホビージャパンに…と思ったのですが、なぜかあいせん君から「お願いですからやめて! (^^; 」と言われちゃったので今回は(!?)やめます。そこで次回は更に別の視点から日本語版ユーザーについて考えてみたいな、と思います。最後までお読みいただきありがとうございました。