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今回はマジック情報の発信のお話です。少し前にどこかのWebサイトで見かけたご意見に「マジックのWebサイトに必要な情報とは『勝てるデッキの情報』『安いパックやシングルの情報』『デッキ診断』『競技イベントの告知』位しかない。」というものがありました。実際にそういう情報を熱心に発信されているWebサイトは、他のところと比べて全体的に高いアクセス数を記録されている気もします。「それだけしかいらない」というのはちょっと言い過ぎな気もしますが、でも「それが求められてる」のは間違いないでしょうね。でもよく考えてみると、そういうのってかなり競技マジック的な発想だと思いませんか。ちょっと考えてみて欲しいんですが、もし皆さんがお友達から「マジックに興味があるんだけど、お勧めのホームページってどこかある?」と聞かれたときに、果たしてどこを勧めますか。この質問をあいせん君にもしてみたんですけど、あいせん君からの答えは「勧められるページなんてないよ。」でした。そしてこの答えは私にも思いつきませんでした。本当にいくら考えても思い当たらないんです。そういう様子を見ると、外の世界からマジックを見た人達は「マジックって競技しかやってないのか?」という印象を持たれるかもしれません。ただし現実は既にそうなのかもしれないんですが。
本来こういう場合、多くの遊びの世界ではメーカー・オフィシャルのWebサイトにご招待すれば、取りあえずは何とかなるようにしてるだろうと思います。でも少なくともホビージャパンのWebサイトにあるのは新製品の情報や競技イベントの案内、それにある程度コアなデュエリストしか読んでも分からないコラムです。あとウィザーズ社のWebサイトは全編英語です。ですからそういうWebサイトに初心者をご案内してもしょうがないでしょう。ではそういう機能を補う個人のWebサイトがあるのか。少なくとも私は思い当たりません。つまりそもそも日本のマジックには初心者を迎え入れるという、遊びの世界を維持/発展させるのに必要かつ不可欠であろう根本的発想がごっそり抜けてるんです。だからマジックにはニューカマーさんが入ってこない。考えてみれば当たり前ですよね。要するにそれって何の宣伝もせずにお店を営業して「なんでこの店にはお客が来ないんだろう?」と言ってるようなものです。確かにお店の中は常連さんでにぎわってるのかもしれません。でもそういうお店はいずれ間違いなく潰れちゃうと思います。
ではなぜウィザーズ社やホビージャパンは、日本でマジック未経験者がマジックに興味を持ち、その門を叩いてみようと思うような宣伝なり販促をしないんでしょうか。あいせん君は「ホビージャパンはとにかく面倒くさいこと、経費がかかることはやりたがらないみたいだよ。」と言います。それはさすがに極論じゃないかと思うんですが、でもどうしていいのか分かってないというのはありそうな気がします。少なくともマジックは遊戯王OCGと比べると売り方は格段に下手だと思います。あとマジックとデュエル・マスターズの様子を見比べてみてもよく分かるんじゃないかと思います。確かにまだデュエル・マスターズは日本ではそれ程大きな市場にはなっていませんが、でも少なくとも多くのTCG関係者、あるいはおもちゃ業界の関係者がデュエル・マスターズにはある種の期待感を持ってます。それは「あれだけ1つの遊びを流行らせるノウハウを持ったタカラが売るんだから…」というのは相当ある気がするんです。でも日本のマジックにそういう期待感って…特に最近はほとんど感じられなくなっちゃいましたよね。
ちょっと思ったんですけど、もしウィザーズ社やホビージャパンが「マジックを未経験者にどう勧めていいのか」を思いつかないとしたら、私としては遊戯王OCGやデュエル・マスターズがやることをまねしちゃってもいいと思うんです。そういった遊びがどうやって初心者を獲得しているのか。それを研究して良いところはどんどん取り入れるべきなんです。しかしそういうときに何のポリシーも将来像も持たずに猿まねをしちゃう。それはダメだろうと思います。そして日本のマジックが米国のマジックのまんま猿まねだとしたら、確かにうまくいかないのはうなずける気がするんです。米国のマジックにはまず楽しむという発想があって、その上に競技イベントが成り立っているように私には見えます。ですが日本のマジックってそういう底辺の部分をほとんど見てなくて、上辺の「凄い競技プレイヤーが大勢いてバカみたいにカードを買ってる」という部分だけをまねて実現させようとしてるみたいですから。
という事で、ひょっとするとこれが第四部の最後になるかもしれません。少し考えてみて書き足りないことがあったら書きます。最後までお読みいただきありがとうございました。