マジックを楽しむためのフォーマット 
 
 

 今回はマジックを楽しむためのフォーマットのお話です。

 マジックを始めとするトレーディング・カードゲームには、そもそもそのゲームの性質上避けては通れない問題が存在するようです。TCGがトランプのような遊び、すなわち一度ある一定量のカードを買ってしまえば半永久的に楽しめるものだとすると、TCGのメーカーや販売店がTCGで経営を成り立たせることは極めて困難になるだろうと思います。ところが逆に例えば買ったカードが半年程度で使えなくなるようなTCGは、今度はユーザーが延々とカード購入に追われることになります。多分そんなTCGは普及しないでしょう。そこで世の中のTCGは様々なシステム上の工夫やユーザーサポートを行い、売る側/買う側双方の利益を常に考えた販売を行ってる…はずなんです。ただ最近マジックでは「カードの発売ペースはほぼ完全に販売側有利になってる。(ユーザーから見ると新商品の発売頻度が明らかに早すぎる。)しかし特に日本の流通システムは販売店への便宜がほとんど図られておらず、一体誰のための流通システムなのか分からない。(多分ウィザーズ社やディストリビューターのためなんだろうけど。)」というご意見が相当数あがってる気がします。そしてその結果が今のこの状態である。そういうことになるんでしょうか。

 今までマジックがそういった問題を抱えながら、それでも日本で売られ続けてきた。それは1つにはマジックを売ってるお店の多くが取ってきた自衛策が功を奏したからだ。そういう見方があります。主力商品として並行輸入のカードを売りつつ、ホビージャパンが言うとおりにイベントを開いて出版物に告知を載せさせる。例えて言えばそういうやり方です。ところがどうも相変わらずデュエリストの多くはそういった自衛策を講じてません。もっと正確に言うと本当に自分の利益となる自衛策を実行してないということです。例えばマジックのカードが高いからといって並行輸入業者から全量カードを買う。日本の多くのデュエリストはそれがベストな自衛策だと本気で思い込んでます。でも本当にそれがデュエリストとして賢い選択だったかどうか、もう既に歴史が証明してますよね。そのおかげで近所のお店がデュエルルームを閉め、イベントを減らし、やがてマジックを売るお店そのものがなくなってしまう。そして自分の周囲からは次々とデュエリストが消え、今は電車賃を払って遠征しないとマジックが遊べない環境になってしまってる。それってどう考えても賢い選択の結果じゃないでしょう。

 あとそこまでは追いつめられてないデュエリストから見ても、最近のマジックって必ずしも遊びやすいゲームだとは言えない気がします。雑誌に載ってるスタンダードの強いデッキを作るにはやたらお金がかかるはずですし、そういうデッキはデュエルルームに来てる初心者相手にはなかなか使えないはずなんです。まあ中にはそのご自慢のデッキで初心者を蹴散らして悦に入ってるちょっと周囲への配慮が足りない&空気が読めてない人もいるようですけど、でもそういう人っていざとなると真っ先に「最近のマジックはつまらなくなった!」とか言って逃げちゃうんですよね。しかも毎回新しいカードセットが出ると、どこかのWebサイトから「このプレミアイベントではこんなデッキが優勝しました!」という情報が出るまで一切デッキが組めなくなる。これじゃあそのうち誰だってマジックを遊ばなくなると思うんです。そんなゲームどう考えたって面白いはずがないですもの。しかもそういうデッキの作り方を続けてると、いずれパックを買ってお目当てのカードを引き当てるなんて効率が悪いことはやってられなくなるんですよね。だからマジックがそれなりに競技として盛り上がってるのにパックが売れなくなる。するとお店がどんどんサポートや販売そのものを縮小するという悪循環に陥るはずなんです。

 では、私達はどうやってそういう悪しき連鎖を断ち切ればいいんでしょうか。そのアイディアそのものは案外単純だと思います。言ってしまうとマジックを買う&遊ぶことが楽しくなるようにすればいいということです。これは前からあいせん君が言ってるマジックのコスト・パフォーマンスを上げると同意語です。ある遊びのコスト・パフォーマンスは、費やした資金とそこから得た楽しさとの関係で決まります。同じ楽しさを得られるなら安い方がいい。これは当然のことです。そして日本のデュエリストは米国に比べて同じ楽しみを得るのにより高額の負担を要求されてる。だから多くのマジック関係者が日本でのマジックの値下げを切望してます。そして同時に同じ額を払うならより面白い方がいいということです。これも当たり前ですよね。確かに日本のマジックは競技で盛り上がってます。でもそれ以外の要素、例えばコレクションとかファンデッキ構築といったものが同時に楽しめた方がいいに決まってると思いませんか。その方がマジック人口は絶対的に増えますし、それによって競技も盛り上がると思うんですよ。なんで日本のマジックってそういう発想がなくなっちゃったんでしょうか。

 ではどうすればマジックのコスト・パフォーマンスは上がるのか。その手段の1つとして、最近多くの方がDCIが推奨する競技フォーマット以外のマジックも遊ぶべきだとおっしゃいます。今までの経緯を見ると正直言って先行きは暗そうなんですが、でも何もしないよりは多分ましですよね。でも日本のマジックには相変わらずそういう気運が盛り上がってる様子が見られません。あいせん君なんかは「多分そういうフォーマットはこのまま永遠に盛り上がることなく日本のマジックは終焉を迎えるんだろうな。」とか断言しちゃってるんですけど、でもそれって寂しいですよね。だったらせめてもの抵抗として普及するかとか云々は考えずに紹介くらいはしてみよう。それが今回の企画です。

 …ええっと、この後具体的なマジックをより楽しむためのフォーマットのご紹介をしようと思ってたんですけど、ちょっと導入部分が長くなっちゃったんで今回はここまでとします。最後までお読みいただきありがとうございました。

     

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