フォーマットのお話・その2 
 
 

 今回は前回の続きとしてマジックを楽しむためのフォーマットをご紹介してみます。


○ 基本セット限定構築

 最近のデュエリストから見ると「こんなマジック物足りなくてやってられないよ。」とか言われそうですね。でも日本のマジックはこのフォーマットから始まって、そして間違いなく一時期日本でも1つの時代を築いてきたんですよ。

 第4版という基本セットは、マジックが本来持ってたゲームとしての荒削りさを残しつつ、ゲームを崩壊させるようなオーバーパワーなカードを外したという、かなりよくできたセットだった気がします。前にもあいせん君が話題にしてますが、第4版は収録カードだけで2ターンキルが狙えたり、対戦相手をロックしたりという実に多種多様なデッキが作れました。実際に第4版のカードだけでたくさんのデュエリスト達がマジックを楽しんでた時期があるんです。そこにクロニクルが発売されて更に盛り上がり、中には更に多くのカードを求めて日本語版のないマジックの世界に手を出し始める人も現れました。でも日本語版のカードだけに拘っても当時はあまり問題になりませんでした。何しろ基本セットのカードだけでちゃんと戦えましたから。

 やはり1つのカードセットに絞って買えばいいという環境は、特に初心者から見たときの敷居が低いんですよね。一気に中級者のカード資産に追いつこうと思っても、それこそ奮発して2〜3万円くらいの初期投資をすればかなりいい線になるはずです。始めに1万円、その後月に千円程度の投資という遊び方でも、だいたい半年から1年くらいでかなり形になります。その間にデッキ構築やトレードのノウハウ、デュエル中のマナーなどをしっかり身につけて大会にデビューする。そういう地に足をつけた遊び方が少なくとも昔のマジックにはできてたんですけどね。


○ ブロック構築戦

 「これってバリバリの競技フォーマットじゃねえか。」とか言われそうですけど、でもこのフォーマットって初心者にはかなり手が出しやすいフォーマットだと思うんです。あいせん君も前から言ってますが、こんなフォーマットを競技の中心に据えて、わざわざ初心者が感じるマジックの敷居を高くする必要ってないんじゃないかと思うんですけど。

 最近マジックは基本セットの存在意義がどんどん薄れつつあって、はっきり言って初心者の方に購入を勧められる商品ではなくなってるんですよね。そうなると先ほど触れた基本セット限定構築の発想を、そのまま最新の独立型エキスパンションで実行するのが正解なんじゃないかという気がします。最初に触れた基本セット限定構築が究極の理想案の1つだとすると、さしずめブロック構築戦って現実的な理想案の1つといったところでしょうか。


○ 単一拡張エキスパンション構築

 あいせん君が福井で開いてるイベントのフォーマットです。これは拡張エキスパンションに限定してるのがミソです。拡張エキスパンションはその性格上、得意分野と不得意分野の差がはっきりしてるんですよね。クリーチャーが充実してるけどクリーチャー除去が乏しい。クリーチャー戦用の支援カードが多いけれど肝心のクリーチャーが駒不足。例えばそんな感じです。それをいかにして工夫してデッキに仕上げるか。実際に遊んでみるとかなり面白いフォーマットです。

 あ、もちろん言うまでもないんですけど、エキスパンションごとに強い物と弱い物がはっきり分かれるのは間違いありません。これはこのフォーマットのイベントに参加された皆さんも口を揃えておっしゃります。ただマジックがメタ・ゲームをする遊びである以上、何度かイベントを重ねるとある程度の傾向が見えてくるんです。そうすれば自分が好きなエキスパンションでもある程度の対策はきっとできるでしょう。


○ イラストレーター縛り

 文字通り1人のイラストレーターさんが描いたカードだけでデッキを構築するフォーマットです。マジックのカードイラストが賑やかで話題性に富んでた頃は遊ばれる機会もあったようです。今はどうなんでしょうか。ただ残念なことにこのフォーマットは、選ぶイラストレーターさんによってデッキの強さが大きく変わってしまいますし、あと基本地形を描いていないイラストレーターさんの場合は基本地形のみ別の方のイラストの物で我慢するしかないんですよね。ですから結局はマジックのイラストに華がないと遊べないフォーマットであることは間違いありません。そうなると最近のカードはあまり使ってもらえないかも。


○ ランダム・ドラフト

 「リミテッドは遊んでみたいけどお金がかかるからイヤだ。」というご意見はよく聞かれます。でも公認トーナメントみたいにルールで決まっていなければ、別に以前に買ったカードでリミテッドを遊んだって構わないはずです。実際にリミテッド用のカードセットを使ったドラフトは結構あちこちで楽しまれてるようです。こういう遊び方をするとマジックって案外気軽に遊べるようになるみたいです。

 私が実例としてお聞きしてるのは、例えば1つのエキスパンションのカードを一定枚数揃えたセットを使ったシールド戦やドラフト戦、あと使わないレアカードを集めたカードセットからランダムにパックを作ってのドラフト戦です。こういったドラフトで鍛えてから本来のドラフト戦(DCI公認トーナメント)にデビューしたって構わないはずです。リミテッドも結局のところ慣れと経験が必要なんですけど、今の仕組みですと練習すればするだけお金がかかっちゃいますからね。


 という事で、次回のテーマはよりマジックを楽しめる対戦スタイルにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

     

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