フォーマットのお話・その3 
 
 

 今回はさらに前回の続きとしてマジックを楽しむための対戦形式をご紹介してみます。


○ エンペラー戦

 福井のマジックイベントでは今でもおなじみの遊び方なんですけど、他の地域ではどうなんでしょうか。

 エンペラー戦は3人が1つのチームとなり、うち1人がエンペラー(皇帝)、残りの2人がジェネラル(将軍)となります。仮にAチームとBチームが対戦する場合ですと、1つのテーブルをA将軍1→A皇帝→A将軍2→B将軍1→B皇帝→B将軍2(→A将軍1)という順番で囲んで座ります。こういう遊び方ではよくレンジという言葉が使われます。例えば呪文の射程(呪文の対象に取れる)範囲がレンジ2といった場合、A皇帝は自分の呪文で配下の将軍2人と相手チームの将軍2名を狙えます。B皇帝を狙うことはできません。また対戦相手とは相手チームの3名全員になります。ライフは各自が個々に持ちます。

 普通一般的な遊び方としては、まずA将軍2とB将軍2がジャンケンをして、負けた将軍から順番にプレーします。(例えばA将軍2が勝った場合、プレー順はB将軍2→A将軍1→A皇帝→A将軍2→B将軍1→B皇帝→B将軍2…となります。)普通はファーストドローはありになります。このゲームの勝利条件はただ1つ相手チームの皇帝をゲームに敗北させることです。たとえ自軍の将軍が2名とも倒されても、皇帝が生き残って相手チームの皇帝を倒せば勝ちとなります。

 また呪文については一般的に「プレイヤー・レンジは1、パーマネント・レンジは2、全体効果呪文は場全体に影響を及ぼす。」というルールを適用します。例えばB皇帝が神の怒りをプレーした場合は、それをカウンターできる対戦相手は2人の将軍です。(A皇帝の呪文はレンジ外だからです。)そして神の怒りが処理された場合、破壊されるクリーチャーはA皇帝の物を含みます。(あ、余談なんですけど、なんでマジックって埋葬という用語を使わなくなっちゃったんでしょうか。)ただしいずれかのチームの将軍が1人以上倒された場合は話が変わって、皇帝同士のレンジが重なるのでカウンターが可能になります。あと「自チームのメンバー同士でこっそりカードを見せ合ってはいけない。」とかクリーチャーの移動とかいった細かなルールがあるんですけど、そこまで書くと難しくなっちゃうんで省略します。あとあいせん君が少し前に「A将軍1が“森置いて Eladamri's Vineyard(TE) セット”。A皇帝が“森置いて Eladamri's Vineyard(TE) セットして Stream of Life(AL-7E) で1ライフ回復”。A将軍2が“山置いて Channel(AL-4E) から18ライフをマナに変えて20点分の Earthquake(AL-7E) ”これで勝てるぞ!」とか言ってたんですけど、普通そんなに世の中うまく行かないですよね。


○ クロスファイヤ戦

 こちらは2人で1チームを作り、チーム戦を戦う形式です。

 AチームとBチームが対戦する場合ですと、1つのテーブルをA1→B1→A2→B2(→A1)という順番で囲んで座ります。レンジはなく、呪文や能力はすべてのプレイヤーを狙えます。対戦相手は相手チームの2名です。

 普通一般的な遊び方としては、まずA1とB1がジャンケンをして、勝ったプレイヤーから順番にプレーします。(例えばA1が勝った場合、プレー順はA1→B1→A2→B2→A1…となります。)普通はファーストドローはありになります。プレイヤーはクリーチャー戦の攻撃対象として、クリーチャーごとに対戦相手のうちいずれかを選べます。複数のクリーチャーを振り分けて攻撃することも可能です。A1に向けて攻撃してきたクリーチャーは、A2のクリーチャーではブロックできないのが一般的です。ライフはチーム共用で40点するルールが一般的で、これが0になったらそのチームはゲームに敗北します。

 あと細かなルールが色々とあるんですけど、その辺は遊びながら自分達に合うローカルルールを作っていっても面白いと思います。それとこの遊び方はチームメイト同士のデッキの相性には注意して下さいね。例えばかたやウィニー系、かたやコントロール系(リセット呪文多用)といった組み合わせって間違いなくうまく行かないですから。


○ レインボーマジック

 簡単に言うとマジックの5つの色を5人のプレイヤーが担当して、それぞれの対抗色と戦うというルールです。一般的には白を担当するプレイヤーは白色の呪文+アーティファクトだけでデッキを組みます。(ただしCoPなどの“対抗色イジメ”のカードは禁止されることが多いです。)プレー順ですが、例えばジャンケンで白が勝った場合ですと白→黒→緑→青→赤→白という感じです。勝利条件は自分の対抗色を受け持つ対戦相手を2人とも敗北させるというのが一般的です。

 このゲームでは敵の敵は友という関係が成り立ちます。例えば白があと一歩で黒を倒せるというところで、2人の間にいる青が白の邪魔をすることがあるんです。それはなぜかというと、黒を倒されると白が一歩勝利に近づいてしまう上に、自分の見方をしてくれる黒がいなくなることで場のバランスが崩壊するからです。例えば白が撃った呪文がカウンターされたり、あと介入防御という妨害も可能です。白が黒に向かって攻撃宣言したクリーチャーを、青のクリーチャーでブロックできるんです。(当然ですけど緑は赤に向かったクリーチャーをブロックできます。)ちなみに全然余談なんですけど、あいせん君は昔自分の両翼のプレイヤー同士が戦闘を始めると、よく真ん中でけんかをやめてを歌いながら楽しそうに眺めてました。別にあいせん君のために争ってるわけじゃないんですけど。

 ただこの遊び方って、マジックに色ごとの特徴が大きくあった昔だからこそ楽しめるフォーマットだと思います。今みたいに緑で解呪が撃てちゃうようなマジックで遊んでも面白くないかもしれませんね。


○ 多人数デュエル(アタックレフトルール)

 3人以上のデュエリストが1つのテーブルを囲み、順にプレーします。戦闘は自分の左にいるプレイヤーを攻撃し、逆に自分の右にいるプレイヤーからの攻撃を凌ぐという形で行われます。この遊び方って結構席順が大きく運命を左右したりします。右のプレイヤーがウィニーで、左のプレイヤーがフル・パーミッションだった。そんな不幸なケースも結構あるんですよね。

 このゲームでは“レンジ”と“誰がアクティブ・プレイヤーなのか”が重要になります。この辺の運営を間違えると、左右から同時にハルマゲドンと神の怒りが飛んできて…なんてことがよく起こります。ですから全体呪文が届くレンジ内に複数のアクティブ・プレイヤーが存在しないように進行するのが一般的です。あと自分を含むレンジ内のプレイヤーをすべてロックするデッキはかなり嫌われます。自分は2つ左のプレイヤーが出した Winter Orb(AL-5E) で身動きがとれず、右隣のレンジ外のプレイヤーはウィニーだった。そんな感じで何もできずに轟沈していったプレイヤーは過去には星の数ほどいらっしゃいますので。でも実際にはそういう事件を起こすために、確信犯的にロック系のデッキを投入する方って結構いらっしゃるんですけど。


○ Planes-Walker 戦

 この遊び方は今までのものとはちょっと趣向が異なります。

 簡単に言うとこの遊び方は“天から呪文が振ってくる”んです。あらかじめ Planes-Walker 用のデッキが用意されてて、その中から無作為に選ばれた呪文が一定の時間毎に詠唱されます。パーマネントの場合はプレイヤー全体に影響を与え、その影響はルールで決められた期間(ターン数)の間続きます。ソーサリーやインスタントは即座に解決されます。プレイヤーはその呪文をカウンターしたり、呪文にレスポンスして呪文や能力を使うことはできません。

 この遊び方では、対戦者同士のデッキの相性があまり問題にならない場合が多いみたいです。例えばクリーチャー除去やカウンターが少ないロックデッキとウィニーデッキが対戦した場合ですと、デッキの内容にもよるでしょうけど普通序盤はウィニーデッキが押し切り、中盤以降にもつれるとロックデッキが優位になる。そんな図式になるかと思います。ところが Planes-Walker 戦ではそう簡単に事は運びません。序盤に全体除去が発動してウィニー側のクリーチャーが一掃される。そうかと思ったら中盤になってロックが解除されたりウィニーが再加速する効果を持つパーマネントが現れて、そうこうしてるうちに Planes-Walker が出したカードとロックデッキのパーツが見事に融合して対戦相手を絞め殺す。そういう阿鼻叫喚地獄絵図があちこちに巻き起こります。一般に Planes-Walker 戦って最後に Planes-Walker を味方に付けた方が勝つと言われてるんですけど、私に言わせると Planes-Walker って万人にとって敵なんですけど。


 という事で、次回のテーマは楽しむためのマジックにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

     

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