競技マジックを育てよう・その序章 
 
 

 ちょっと競技マジックをテーマにエッセイを書いてみたくなって、第七部の執筆を開始させていただきました。そろそろ今年の日本選手権が話題になり始める頃なんでタイミング的にもいいかな、と思っています。

 最近マジックにはとにかく明るい話題がありませんよね。レギオンでのフライング販売規制とかレベッカさんの解雇騒動。プレミアイベントのオンライン予約ではキャンセル者が続出してるそうですし、更にはマジックが世界的なシェアで見ても今や遊戯王OCGに負けている、なんてお話まで出てます。8月のメガ・イベントなんかも分かってる範囲ですと、もう一時期の勢いがなくなった競技イベントの延長でしかないみたいで、この期に及んで本当に盛り上がるのか疑問視されてる方も少なくない気がします。そしてマジックがそうなっちゃった大きな原因として競技マジック、もっと正確に言うと競技へのあからさまな偏重が取り沙汰され始めてます。だから初心者が感じるマジックの敷居が高くなった。だからシングルカードが高くなって投機目的な人が増えた。だからデュエルルームやイベント会場が荒れて人が寄りつかなくなった。もっと端的に言っちゃうと「競技マジックのおかげでマジックはつまらなくなった。」そういう意見すら少なからず聞かれるようです。

 でもマジックを競技化するに際して、ウィザーズ社はマジックをそういうつまらない遊びにするために競技を推進したんでしょうか。多分違いますよね。そもそもマジック競技化の出発点って、そういう競技志向のイベントを欲したデュエリストからの要求にあったんじゃないでしょうか。ところが始めてみたら競技の部分が勝手に暴走を始めちゃって、それこそファンデッキでマジックを楽しみたい人やコレクターなんかを根こそぎマジックの世界から振り落とし始めた。ですから見方を変えると「デュエリストが自ら欲した競技イベントで自らがマジックの魅力を失わせてその勢いを殺してしまった。」そんな見方もできるんじゃないでしょうか。ただしそれって決してユーザーだけのせいじゃなくて、明らかにマジックという遊びの舵取りを誤ったウィザーズ社やホビージャパンの責任も大きいだろうと思うんです。ではなぜそうなっちゃったのか。そしてその問題はどうすれば改善されるのか。それを今回は私なりに考えてみたいんです。

 さて、では具体的に現在の競技マジックはどういう問題を抱えてるんでしょうか。今回は私が思いつく範囲でその代表的な物を挙げてみます。


1.競技フォーマット推進によるマジック(の遊ばれ方)の画一化

 これはあいせん君のエッセイでスタンダード偏重と言ってる今の様子まさにそのものです。でもそういうマジックの遊ばれ方が今はマジックにとってメリットよりも遙かに多くのデメリットをもたらしてる。それは今や多くの皆様が感じてらっしゃる印象だろうと思います。だから全く使われないカードが大量に出る。だからカード購入が面白くなくなる。だから自分でデッキが作れないデュエリストが増える。そしてだからいよいよスタンダード以外のマジックが遊ばれなくなる。そういう悪循環なんですよね。そういう現状をどうすれば改善できるのか。かなり難しいお話ですけどちょっと考えてみます。

2.初心者への競技強要によるマジック人口の減少

 マジックを始めた初心者にまでそれこそ判で押したようにスタンダードを勧める。それが今のマジックでは当たり前になっちゃってます。でもスタンダードってマジックの基本セットやエキスパンションを5セット〜7セットも使うフォーマットなんですよ。そんな広範囲のカード資産を揃えることを初心者にまで平気で求めちゃう。これではマジックが初心者お断りなゲームになって当然だと思います。そしてそういう雰囲気ができあがった直接の原因は間違いなく競技マジックの推進、もっと言うとそのやり方にあるはずです。本当にそれでいいんでしょうか。そしてダメだとすればどうすればいいんでしょうか。その辺を考えてみたいです。

3.イカサマやマッチ売買による競技マジックへの悪印象

 そしてそれだけ多くの犠牲を払って推進した競技マジックで、なぜか競技プレイヤーが必ずしもデュエリストの尊敬の対象になってない。それが現実のようです。プレミアイベントが開かれるたびにイカサマとかマッチの売買が噂にのぼり、その一部は実際に発覚して当事者がペナルティを受けてます。これでは本当の意味での競技マジックの成功はあり得ないでしょう。ではどうすれば競技プレイヤーあるいは競技そのもののレベルが向上して、競技の世界が多くのデュエリスト達にとって真の憧れの世界になり得るのか。そういうお話もそろそろ真剣に考えるべき時期に来てると思います。

4.スポンサーやメディアへの露出不足による競技イベントの手詰まり感

 日本でのマジックが7年目を迎える今になってなお、競技マジックのイベントがマスコミに取り上げられたりウィザーズ社やホビージャパン以外のスポンサーが付くという状況にはなってません。つまり今の競技イベントって競技プレイヤーが支払ったカード代やイベント参加費を集め、それを上位入賞者がもらっていくという、いわば身内のビンゴ大会にしかなってないんですよ。でもそんな競技マジックをこれ以上維持しても、はっきり言ってマジックの拡販には何の役にも立たないんじゃないでしょうか。ではどうすればいいのか。そういうお話も考えてみようと思います。


 という事で、次回はマジックの画一化について考えてみたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

     

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