第四部・総括 
 
 

あいせん:さて、かなり遅れちゃったけど第四部の総括を…って、あいこ先生はどこ?」
あ い こ :さ…寒いですぅ〜!?(ぶるぶる)」
あいせん:なんですか、コタツに首まですっぽり入って。なんか亀みたいだぞ。 (^^;」
あ い こ :だってぇ、なんで11月上旬の福井市で雪が降るんですか?」
あいせん:なんでも観測史上最も早い記録で、平年より24日ほど早いってさ。2日ほど前から雪雷と思われる激しい雷雨があって、まさかとは思ってたんだけど。」
あ い こ :雪雷って、日本海側で起こる雪が降る前兆の雷のことですよね。そういえばここ数日激しい雷雨の日ばかりでしたっけ。せっかくの連休も結局全部雨でしたし。」
あいせん:まあ取りあえずファンヒーターをつけたからコタツから出てきなさいな。」
あ い こ :いえ、部屋が暖かくなるまではこのままここで総括やります。」
あいせん:…ま、まあいいか。 (^^; 別に誰か見てるわけじゃないんだし。」
 
 
あいせん:さて、今回は“情報”がテーマだったわけですが…」
あ い こ :あ、いきなり総括とは直接関係ないお話になっちゃうんですけど、少し前に会員板で話題が出たじゃないですか。確か『あいせん君がマジックのイメージを悪くするような意見を掲示板やエッセイに書くことが、果たしてマジックのためになるんだろうか?』という主旨でしたね。これってどう思います?」
あいせん:うん、これは僕自身もそれこそ ぎゃざる を開設した当時から自分の中で抱えてる永遠のテーマだったりするんだ。」
あ い こ :あ、やっぱりそうなんだ。」
あいせん:例えば並行輸入で英語版を売ってるバイヤーさんの多くも同じ悩みを抱えてるよ。自分は日本のマジックを盛り上げたいから、できるだけ安く英語版を日本のデュエリスト達に届けようとしている。でもそうすると今度はそういう安いマジックに対抗できない多くの販売店さんが困ることになる。それでデュエルスペースやイベント開催といったサポートをしてくれるお店がなくなるのは自分の本意ではない。じゃあどうしよう…考えても良い知恵が思い浮かばない。そんな感じかな。」
あ い こ :かといって並行輸入業者が英語版の輸入をやめちゃったら、いよいよ日本のマジックは終息の方向に進んじゃいそうな気もしますよね。」
あいせん:ただ『どうもマジックは駄目そうだ』という噂は、今やおもちゃ業界全体に広まっている周知の事実ということになってるらしいよ。国内ルートでの売り上げの減少と、イベントへの観客動員の減少が、かなり洒落にならないレベルに達してるらしい。」
あ い こ :そうなんですか!?」
あいせん:でも今みたいな競技指向の強いマジックは、安い英語版でないと続けるのは無理だろうからね。あと競合相手がいなくなったホビージャパンがマジック販売で手抜きを始めるのなんか、過去の歴史を見れば容易に想像が付くし。」
あ い こ :で、それと同じことが情報にも言える。そういうことなんですね。」
あいせん:1つの例として『アリーナリーグやフライデーナイト・マジックがなぜ日本で実現したか』を考えてみるといいかもしれない。現状のようにただ闇雲に競技指向を肯定し、スタンダードなマジックだけを押し進めるサイトばかりだったとしたら、そもそもそういうイベントは日本で紹介すらされていなかったかもしれないよ。当然そうなれば日本に導入されることもなかっただろうし。」
あ い こ :そういえば日本のマジックサイトって、基本的には多くが現状肯定・競技指向で動いてますもんね。」
あいせん:それに関しては裏の事情もありそうだけどね。まあそれについては後で話そうか。あとマジックの動向とか裏事情みたいな情報を流すサイトがなかったら、ひょっとすると日本のマジックはあと1回位は値上げされてた気がするよ。しかも販売店に対する価格統制みたいな物もずっと強かった気がするし。」
あ い こ :でもホビージャパンの価格統制って、公正取引委員会からの勧告を受けてなくなったんじゃないんですか?」
あいせん:いや、実際はそうじゃないよ。勧告を受けて以降もホビージャパンは少なくとも1回、日本の販売店に“価格統制”と思われる指示を出してるんだ。」
あ い こ :え!?、そうなんですか!」
あいせん:確かエクソダスとウルザスサーガの間の頃だったと思うけど、マジック販売店に通達が来たことがあるんだ。内容は『英語版は今後日本語版と同じ値段で売って下さい。』という内容だった。貴店が英語版をどこから仕入れているか、それがいくらの仕入れ値で入っているか、そんなことは知りません。それはともかく今後英語版は日本語版と同じ値段で売りやがれ。まあ要約するとそういう内容になるかな。」
あ い こ :それって…要するにまんま価格統制ですよね。」
あいせん:実際には通達自体に拘束力はなかったんだけど、日本語版の仕入れで不利益を被るのを嫌って、当時相当数の販売店が英語版の値段を上げたはずなんだ。つまりその頃から既にホビージャパンはそういう会社だと認知されていた。そういうことなんだけどね。」
あ い こ :あ、そういえば以前『GAMEぎゃざの広告にはフレッシュパックの値引き広告は出せない。』って言ってましたよね。」
あいせん:うん、それについては今も基本的には変わっていないと思われる。」
あ い こ :でも本来そういう広告って、販売店同士が価格やサービスを競い合って業界を盛り上げる目的で載せるんですよね。」
あいせん:普通はね。でもマジックの場合、GAMEぎゃざへの広告掲載は雑誌そのものの収益性しか見ていないと思われる。しかし値引き販売の広告を許しちゃうとポストホビーといった自社直営店が困るから載せさせない。あくまでホビージャパンやポストホビーの利益が最優先。そんな感じなんだろうな。」
あ い こ :確かにそういうお話を“情報”として誰かが流さないと、結果として日本のマジックってメーカーサイドの言いなりに値段や売り方を決められちゃいそうですね。」
あいせん:こういう形で情報が出るという事が、そもそもウィザーズやホビージャパンの暴走を止める抑止力になる。そういう部分はあるだろうな。最近そういう機能を持ったWebサイトが増えてきてるけど、それはやはり“必要だ”という認識が広まってきたということなんだろう。ただし実際には、そういう動きがあっても“結局ダメな会社は何をやってもダメだった”ということになりそうなんだけど。」
あ い こ :…なんかお話が暗くなってきちゃったんでちょっと話題を変えますね。あと、そういうお話と『最近のマジックはつまらん!』という意見とはまた質が違う気もするんですが。」
あいせん:1つあるのは、つまらない物を『つまらないぞ!』と自由に発言できない世界に成功や発展はない。そういうことですな。じゃあ例えば今マジックを遊んでいる人達が、個人の心情を抜きにして1人残らずマジックを賛美・賞賛する意見しか言わなくなったとしようか。そういう意見を聞いて誰かがマジックに手を出した。でも多分今のマジックをそのまま遊ばせれば多くの人が感じると思うよ。『こんなのどこが面白いんだ?』ってね。」
あ い こ :実態が伴わないのにただ賞賛する意見を並べても意味がないですよね。本当にマジックが面白いかどうかなんて、遊んでる人達の様子や雰囲気を見れば大体察しが付くでしょうし。」
あいせん:僕たちは今、ある政治問題で自国民を思想統制する某国のことを色々と悪く言ってるじゃない。でもこれが自分のことになると途端に発想や行動が一変しちゃう。目の前で自分が好きなゲームの悪口を吹聴しているたった1人の人間が許せないんだ。そしてできればそいつを思想統制して自分が考える通りの意見を言わせたい。そういう人は少なくないみたいだよ。」
あ い こ :その人がそのゲームを好きか嫌いか。そんなのは1人の人間の主義・心情でしかないんですけどね。」
あいせん:そして1つのゲームを“面白い”と感じるのも、また“つまらない”と感じるのも事実なんだ。ただし実際にはそうとも言い切れないケースが多々あるけどね。」
あ い こ :どういうことですか?」
あいせん:要するに『ある目的を持ってディベートをするために自分本来の心情を偽ってる。』というケースですよ。自分に利益を誘導するためにある遊びを良い印象に見せたいから、それに疑問を呈する意見を残らず否定する。あるいはある特定の個人や組織の悪口を吹聴したいから、そこから発せられた意見を残らず頭ごなしに批判してみる。そんな感じだろうか。」
あ い こ :あ、そういうのって実際にありそうですよね。」
あいせん:というか、はっきり言ってマジックの世界にはそういう意見が多すぎ。しかも皆さんディベートは好きなんだけど、その意見を集約することもしなければ、そこで出た意見を役立てて具体的な行動を取ろうともしない。極端な話、僕が口にする『こんな競技マジックはダメだ!』という意見を否定する人間が、その競技マジックを盛り上げるために1滴の汗すらかこうとしない。そんな意見なんか何の役にも立たないって。」
あ い こ :そこまで断言しちゃうのはちょっと…でも、確かにそう感じられることは多いですね。」
あいせん:しかもそういう意見が結果的にはホビージャパンを擁護する結果にすらなっちゃってる。日本のマジックを良くしようと思うと、結局今は何らかの形でホビージャパンのやり方に異議を唱えざるを得ないんだ。うまく行ってるならともかく、現状はうまく行ってないんだから。でもその異論を単に批判・否定したいという目的だけでやり玉に挙げるもんだから、結果的にそれがホビージャパンのやり方を丸々擁護する形になっちゃう。」
あ い こ :あ、そういう構図になってるのか。別にそういう人達って心底ホビージャパンを擁護したくてそういう意見を発してるわけじゃないんですね。」
あいせん:あと最近発信されてる競技マジックの情報にしても、果たしてどこまでが“心から競技マジックを愛してやまない人が発信した情報”なんだろうか。公認トーナメントにしないとイベントに参加者が集まらない。それと同じ発想で競技マジックの情報を発信しているWebサイトだって少なからずあると思うよ。スタンダードのデッキ情報しか読まれないから、自分は好きじゃないけどそういう情報を載せてる。そんな感じかな。ひょっとするとGAMEぎゃざですら、最近はそういう雰囲気で半ば諦め気味に競技関連の情報を載せてるのかもよ。」
あ い こ :あ、そういうのって私は考えたこともなかったです。あとGAMEぎゃざは日本語版の販売不振を考えれば方針転換をしてもよさそうなんですけど、今となってはもはやできないのかもしれませんね。今さら“カジュアル・プレー”とか“オリジナル・フォーマット”なんてコンテンツが受けないのは歴史が証明しちゃってますし。」
あいせん:でも結局のところその日本の競技マジックにしても、多くの人達を強力に牽引できるような魅力のある情報や意見を発信できてないんだ。そしてそういう競技マジックへの偏重が日本の販売店とか競技指向のないデュエリストにとって弊害を招いているとしたら、そういう情報が持つデメリットって多分僕の記事やエッセイなんか比べ物にならない位キツイ物があるよ。あまつさえ彼らはそういう意見を金で買わせたり、マジックのオフィシャル情報と見せかけて人に読ませてるんだから。」
あ い こ :要するに『たとえ現状を肯定する意見であっても、それが多くの人達にとって利益がある物だとは限らない。』そういうことですね。」
あいせん:これはマジックの世界だけのことじゃないけど、現状維持が必ずしもベストだとは限らない。しかもマジックの場合、基本的にはウィザーズやホビージャパンが自社利益を最優先させて今のシステムを作っている。それが本当の意味でデュエリストのためになっていないとしたら、変える努力をしないと結局誰もマジックからいなくなっちゃうよ。」
あ い こ :だからそのための意見を声にして発表することは大事なんですね。」
あいせん:その意見がまともかどうか、実現性があるか否か、また実現してメリットがあるかないのかは別問題だけどね。ただメーカーの行動に対するフィードバックとか、販売サイドが気が付かなかった販促のアイディアを提供するといったことは大事だと思うよ。」
あ い こ :メーカーとユーザーの間にある種の緊張感がある。そういう業界には明るい未来がありそうな気がします。インターネットってそういう緊張感を個人が作り得る仕組みなんですから、できるだけ有効に利用していきたいですね。」
あいせん:おお〜(拍手)。そんな話のまとめ方、どこで覚えてきましたか(笑)。」
 
 
あいせん:さて…第四部はこれで終わりですが、第五部のご予定は?」
あ い こ :実は“お店”のお話を書こうかと思ってます。」
あいせん:おお、言われてみればここではまだやってない話題だね。」
あ い こ :ちょっと寒くなって執筆ペースが落ちてるんですけど、なんとか頑張りま〜す。」
あいせん:僕はちょっと寒いと感じる今くらいの時期が、最も活動には適してるんだけどなあ。それだけあいこ先生が寒がりだと、例の“おこたでトルコ風アイス”ネタはできそうにないね。」
あ い こ :いえ、そういうときはファンヒーターとコタツをフルパワ〜にして…」
あいせん:はいは〜い、それってとっても本末転倒だと思いま〜す(爆)。」

     
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