「おめでとう」に代えて( 2004.2.29 )
 日本人プレイヤー、悲願のプロツアー制覇。この話題は日本で Magic に関わるほとんどの方々には、それこそ無条件に吉報となる出来事だろうと思います。まあ私のような個人がお祝いを述べても多分ご本人に見られてはいないでしょうし、また私ごときに祝われても嬉しくないでしょうから (^^; その辺のコメントは差し控えさせて頂きます。

 実際にこの結果を勝ち取ったご本人、そしてそれを陰になり日向になり支えた方々。そういう皆さんは今回のこの結果を素直に喜び、その余韻にしばらく浸っていればいいだろうと思います。ただここで私はあえて、それとは直接は無関係な一般の方々に「このチャンスにこそ、しっかりと現実を見て下さい。」と言いたいと思っています。もしお時間が許すのであれば、日本中の様々なメディアでこの優勝の報がどう扱われているか、それをしっかりと見極めて欲しいという事です。例えばソフトバンクゲームスというゲームの話題を扱うWebサイトでは、かつて米国で開催された遊戯王OCGの世界大会を取り上げ、そこで日本人選手が3位入賞を果たした事を“健闘”と報じました。しかし私がこれを書いている2月29日の22:00現在、同サイトでPT神戸に関する報道は一切ありません。もしこのまま本件に関する報道が一切無かったとしたら、それこそがまさに“遊戯王OCGと Magic との扱いの差”と見ることができるでしょう。

 日本の Magic 界にとっては決して小さくはないこのニュースが、日本のゲーム界全体で見るとそれだけちっぽけな扱いしか受けていない。ましてや一般のニュースを扱うメディアなどで今回の事が報道されるのか、我々はそれこそ目を皿のようにして探し回らないといけない。あるいはひょっとするとそこまで血眼になって探しても、それこそ Magic 関連のWebサイト以外では全く取り上げられていない可能性が高いです。あまつさえHJの掲示板ですら、PT神戸に関してはほとんど話題に上がっておらず、黒田氏の優勝を受けてようやくこれを祝福するスレッドが立つような有様です。はっきり言ってしまいますが、これが日本の Magic のまさに現実なのです。

 一体なぜこうなってしまったのか。それについては私自身過去に幾度となく意見を述べているので、今回は割愛させていただきます。ただ、これだけ一時期に比べて市場規模が落ち込んでいる日本の Magic が、それでも“米国に次ぐ世界第2位の巨大市場”と言われてしまう。そういう矛盾というか陰に隠れた問題にそろそろ我々はいい加減に光を当て、何らかの対策を講じるべきでしょう。さもないと今年後半には更なるプレミアイベントの縮小が発表されるか、それこそ Magic のプロ達がデュエル・マスターズの売上で飯を食うような事態に陥らないとも限らないのですから。日本の市場が Magic 全体の中でまだ重要な地位を占めている今こそ、日本人が自ら“日本で Magic が有名になり売れるようになるための提案”をすべきです。そして今回の出来事はそのまさに絶好の機会を我々に与える物なのです。




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