ファンの責任どこまで?( 2004.8.13 )
 少し前に書いて公開するタイミングを失っていた物なのですが、今日になって大きなニュースがあったので改めて公開します。勤めている会社の上司と例のプロ野球界再編の話題になりまして、その時上司から「でも近鉄が無くなるのには、球場に行かなかったファンにも責任があるよ。」という意見が出たので、私なりにこれについて考えてみます。

 私個人は、この意見に関して「多分世の中には、それが当てはまるファンと、そうでないファンがいる。そして少なくともそれが当てはまらないファン、すなわちファンとしての役割とか責任を果たしている人達の言い分を、球団側が全く意に介さない姿勢は問題だろう。」という立場にいます。少し前にTV番組で、あるコメンテーターが「MLBでは球団売却という話が出た時に、地元ファンが試合に行かないのにチケットを買い支えて踏み止まらせたことがある。なんで日本でこういう動きは起こらないのだろう?」という疑問を投げかけたことがあります。これについては私も基本的に同意見です。例えば私は最近発売される某TCGのカードは大嫌いですし (^^; 今はそれに輪をかけてそれを作っている会社そのものが超嫌いです(爆)。でも馴染みのお店への顔つなぎを兼ねて今でもある程度は買い、そして実際にはほとんど使いもせずに眠らせる、あるいは偶然近くにいた人に丸ごとあげたりとかしています。最近TVで紹介されるプロ野球ファンのコメントですが、あれって多くが“球場で”収録されています。つまりそういうコメントを口にする人達は、少なくとも自分がやるべき事はやって、その上でコメントしているのです。ファンだってその位の分別は持っているはずです。もしそういうファンの意見に対して業界関係者が聞く耳を全く持っていないとしたら、そんな業界は今滅びなくても遠からず滅ぶんじゃないでしょうか。実際少なくとも小中学生の間では、今や確実に野球離れが進んでいるそうです。その影響はまあ間違いなく数年後、あるいは十数年後にはプロ野球界にも大きな痛手を与えるはずなのです。

 ファンが試合を観に来なくなったから球団が存続できなくなった。それはある意味真実なのでしょう。しかし、じゃあそうなった原因を生み出したのは誰なのか。またそういう兆候が見え始めた時に球団経営者は何をしたのか。重要なのはその部分だろうと私は思います。例えば全盛期から1年ごとに試合の観客動員数が1割ずつ減り続けたとしましょう。そうすると5年後の観客動員数は全盛期の6割足らずになります。ごく普通の感覚を持つ企業経営者がごく普通の経営努力をしていれば、そんな深刻な事態になる遙か以前に事の重大さに気が付き、具体的な対策を取って動員数の増加を図るでしょう。そしてその時球団経営者の目は、本来なら間違いなく“ファンの動向やニーズ”に向けられるべきなのです。でも実際にはそういう当たり前の経営努力が行われなかった。これをファンのせいというにはあまりにも説得力が無さすぎる。あるいは虫が良すぎると言えばいいのかな。実際そんな感じでしょう。なんか某業界でも似たような話がありますよね。どこをどう見ても販売不振の原因はメーカーや代理店の売り方のまずさにあるのに、どういう訳か発表された値下げはほとんど販売店の粗利を食い潰す形で実行され、しかも相も変わらず一部のマニアが喜ぶ趣向のイベントしかやらないというあれです。 (^^; こんな不条理がまかり通るようでは世も末ですし、実際問題として普通はまかり通る訳がないのです。

 例えばオールスターゲーム第2戦で新庄選手が見せたパフォーマンス。その見方は人様々あるでしょうが、少なくとも「こいつはプロ野球(パ・リーグ)を盛り上げるために頑張ってるなあ。」という認識は皆さん共通して持たれるのではないでしょうか。参院選当日の試合でそれをやっても扱いが小さくなるのは承知。いや、ならば俺の話題で少しでもその扱いを大きくしてやろう。そんなメラメラと燃える野心みたいな物すら感じます。そして試合会場で合併撤回を求めて署名を集める選手やファン達。今プロ野球の球団オーナー達は、こんな熱い選手やファンの声を無視し、その存在を無に帰そうとすらしているのです。個人的には“その先に未来はない”と断言しちゃって構わないだろうと思います。選手会は「現体制の維持のためなら、年俸総額の抑制にすら応じる用意がある。」とまで言っています。近鉄買収を宣言した社長は、近鉄球団の経営を2年で黒字に転換すると明言しました。なんでプロ野球界のトップはそういう人々の意志や心意気に応えようとしないのでしょうか。

 繰り返しになりますが、結局のところ“自身の利益や利権に固執した人間が行う決定に正義など存在しない”という事です。しかし国勢というか選挙と違って、こういう業界の話って与野党逆転がないので、野党の立場の人達は常に厳しい訳です。もうこれについては私自身も身につまされ続けていますので。 (^^; 本当“どんなヘマをやらかしてもクビにならない”って楽でいいですよねえ。あまつさえ人を満足に育てていないマイナーな業界ですと、下手に誰かをクビにしようものなら代わりの人がいなくて、途端に業界が回らなくなったりする訳ですし。でも変な方向に回される位なら、いっそ回らなくなって一からやり直した方がいいような気もします。本当個人的に「なんでこんな奴に一定の権限持たせて仕事任せちゃったりするかねえ?」と思う人が世の中には多すぎます。




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