Know How から Know Why へ( 2005.1.28 )
 元ネタはある書籍に載っていたお話です。

 普通我々は人に物事を教える、あるいは人から物事を教わる時に“ノウハウ( Know How )”なる物、要するに「目的を実行&達成するためにどうすればいいか」を学びます。ところがこういう学び方には一般に発展があまりありません。手順は学んでもそれを応用する術を知らない。だからいつまで経ってもその手順を延々と繰り返すだけになるのです。これに対し世の中では最近“ノウホワイ( Know Why )”という発想が言われているそうです。そういう手順やプロセスはなぜ生まれたのか。なぜ自分の職場ではそういう仕事の仕方をしているのか。それが分かってくると応用が利きやすくなり、物事に様々な発展が生まれるのです。

 これは例えばTCGのデッキ構築にもそのまま当てはまります。TCGユーザーは、その多くが「どうすれば現時点で最強に近いと思われるデッキが作れるのか?」という Know How は持っているだろうと思います。だから多くのユーザーが、毎回その通りの手順を踏んで(ネット上で情報を集めて)デッキを作る。実際今はそんな感じでしょう。しかしこういう人達は「じゃあ、なぜそのデッキ情報の発信源となった人達は、何の情報もないところから強いデッキを生み出せるのか?」という Know Why を持っていない。だから誰かが強いデッキを作ってくれるのを、口をアングリ開けて待っていることしかできないのです。

 これはどちらが正しいとか間違っているとか、そういう問題ではありません。ただデッキ構築に関して Know How しか知らないのと Know Why まで知っているのとでは、間違いなく Know Why まで知っている方がそのゲームを楽しめるはずなのです。その知識の応用から、他人が全く注目していないカードを活用させて他のユーザーをビックリさせる。あるいはトレードを有利に進めてTCGに対する投資額を減らす。例えばそういう創意工夫が可能になるだけでも、TCGの世界で自分にできることの幅は大幅に広がるからです。また逆に Know How 程度しか知らないユーザーが、そこから作ったデッキで挙げた戦績だけで、さも自分はそのTCGをすべて知り尽くしたかのように横暴な振る舞いをする。だから周囲から見ると何とも間抜けに見えてしまう(笑)。そういう図式もあるだろうと思います。

 ただ残念な事に、過去にメーカーや出版社がユーザに提供してきた各種の情報には、この Know Why に関する内容がほとんど見られません。その理由の1つには、間違いなく「その情報を出している人もそれを知らないから」があるだろうと思われます。そうであれば、せめて「どうすればその Know Why が身に付くのか」を、読者と一緒になって試行錯誤していくようなコンテンツがあってもいいと思います。ただし現実に目をやると、最近はそもそもこの Know Why がほとんど不要な、ユーザー独自の思考や攻略の余地がほとんど無いゲームが世の主流になっているんですけどね(溜息)。




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