アキレウス誕生
― 争奪戦? ―
大神ゼウスと海の主神ポセイドーンは、海の女神テティスの愛を求めて争い合っていました。
しかし、テミスの予言によると、テティスから生まれる子は、必ずその父より優るであろう、とあったので、自分たちの過去を顧み、将来のことを思い、二人の神は、さすがに断念せざるを得ませんでした。
(そうとうな過去だな・・・)

― テティスの結婚 ―
そして、ゼウスはテティスを人間ペーレウスに嫁がせることとしました。
しかし、テティスは、たとえゼウスの命とあっても、なかなか承諾しませんでした。
それでも、ペーレウスは、なんとか彼女と結婚すべく、彼女をさらい、半ば強引に結婚にこぎつけました。
(さらうか?普通?)
この2人の結婚式は、さまざまな神が連なり盛大に執り行なわれました。
そして、この時、「トロイの戦役」の原因ともなる事件が起こったわけです。

― アキレウス誕生 ―
やがて、二人の間にアキレウスが生まれました。
テティスは彼を不死にしようと、夜陰ひそかにその赤子を火に投じて可死の部分を焼き去ろうとしました。
(さすが神の子。十分不死じゃねーか?)
ところが、夫のペーレウスは妻の怪しい素振りに気がつき、ある夜そっと様子を伺いました。
すると、嬰児が火の上でもがいているので、びっくりして思わず大声をあげました。
テティスは自分の企てが中途で破れると、人界を捨てて海底に去ってしまいました。
(子供連れてけよ!)
こうして、アキレウスは剛勇無比の、ほとんど不死身の肉体となりましたが、
母の手に持たれていた踵の部分だけは生身のまま残されていました。
ここがいわゆるアキレス腱のところで、彼は後に、この部分に毒矢を射られ、死を遂げるのでした。

― おまけ ―
アキレウスが9歳になったとき、有名な預言者カルカースがその将来を予言しました。
そして、トロイアへの遠征は、必ず彼を必要とするであろう、と言いました。
しかし、テティスは、もし彼がこの遠征軍に加わったら、討死する運命であることを知っていたので、
何とかしてこれを阻止しようと、彼に少女の服装をさせ、とある島の、少女たちの間に隠しておかせました。
(想像しただけで気持ち悪いです・・・)
しかも、この間にアキレウスはリュコメーデースの王女デーイダメイアとの間に一児を儲けるのでした。
(どさくさまぎれに・・・)/br>
やがて、トロイア遠征の企てが進むにつれて、アガメムノーン以下の将卒は血眼でアキレウスを捜しました。
そして、ついに、オデュッセウスの知恵で、少女の中に交じっているアキレウスを見つけ出しました。
(知恵いるか?見た目でわかるだろう?)
彼は、小間物屋のふりをして少女たちの前にさまざまな装飾品を並べ、間に武具を混ぜておきました。
少女たちが装飾品に手を伸ばす中、一人だけ武具に手を伸ばすものがいました。
言うまでもなく、それがアキレウスだったわけでして…。
(その手の太さで分かったのかな??)
こうして、アキレウスのトロイの戦役での活躍が始まるのでした。つづく。(・・・かな)

 ⇒トロイの戦役
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