大白牛車御消息
| 大白牛車御消息の概要 【弘安四年、聖寿六十歳】 抑法華経の大白牛車と申すは、我も人も法華経の行者の乗るべき車にて候なり。彼の車をば法華経の譬喩品と申すに懇に説かせ給て候。 但し彼の御経は羅什、存略の故に委しくは説き給はず。天竺の梵品には車の荘り物、其の外、聞･信･戒･定･進･捨･慙の七宝まで委しく説き給て候を、日蓮あらあら披見に及び候。 先ず此の車と申すは縦広五百由旬の車にして、金の輪を入れ、銀の棟をあげ、金の縄を以て八方へつり縄をつけ、三十七重のきだはしをば銀を以てみがきたて、八万四千の宝の鈴を車の四面に懸けられたり。 三百六十ながれのくれなひの綿の旛を玉のさほ(棹)にかけながし、四万二千の欄干には四天王の番をつけ、又車の内には六万九千三百八十余体の仏菩薩宝蓮華に坐し給へり。 帝釈は諸の眷属を引きつれ給て千二百の音楽を奏し、梵王は天蓋を指し懸け、地神は山河大地を平等に成し給ふ。故に法性の空に自在にとびゆく車をこそ、大白牛車とは申すなれ。 我より後に来り給はん人人は、此の車にめされて霊山へ御出で有るべく候。日蓮も同じ車に乗て御迎いにまかり向ふべく候。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。 日蓮花押 |