浄土九品事
浄土九品事の概要 【文永六年()、聖寿、真筆完存】 難行・易行。聖道・浄土。雑行・正行。諸行・念仏。 法然房の料簡は諸行と念仏と相対なり。 二義、一には勝劣一には難易・・ ・・・・・・・・・・・・ ・ ・・廃立 ・ ・・一に諸行を廃して念仏に帰せんが為に、而も諸行を説くなり ・ ・ ・・助正 ・・・・二に念仏を助成せんが為に而も諸行を説くなり ・ ・・傍正 ・・三に念仏・諸行の二門に約して、各三品を立てんが為に、而も諸行を説くなり 若し善導に依らば初を以て正と為すのみ ・・・読誦大乗 ・ ・・至誠心・深心・廻向発願心なり ・ 三種の心を発して即ち往生す ・・上品上生・・復三種の衆生有り当に往生を得べし・・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・一には慈心にして殺さず諸の戒行を具す 上品・・┬ 二には大乗方等経典を読誦す・・・・・・ ・ 六念・仏・法・僧・戒・施・天 ・ ・ 三には六念を修行す ・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・・法然房の料簡に云く、 ・ ・・華厳経・方等経・般若経・法華経・涅槃経・大日経・深密経・楞厳経等の一切の大乗経は読誦大乗の一句に摂尽す。 ・ ・・解第一義 ・・上品中生 ・ ・・善く義趣を解し第一義に於て・・法然の料簡に云く・・華厳の唯心法界・法相の唯識・三論の八不・真言の五相成身・天台の一念三千皆解第一義の一句に摂尽す。 ・・上品下生 法然の料簡・・深信の因果に十界の因果を摂尽す ・・中品上生・・・五戒八戒乃至諸戒を摂尽す ・ ・・四阿含経・倶舎・成実・律宗は此の二品に摂尽す 中品・・・中品中生・・・八斎戒 ・ ・・儒教道教は此の一品に摂尽す ・・中品下生・・・孝養父母の行なり 仁慈 ・・外典三千余巻・・・老子経 ・・孝経 ・・下品上生 観経 ・ ・・此の如き愚人多く衆悪を造るも十念せば往生す 下品・・・下品中生・・或は衆生有て五戒・八戒及び具足戒を毀犯す、此くの如きの愚人は僧祇物を偸み現前僧物を盗む、不浄に法を説て懺愧有ること無し ・ ・・下品下生は是五逆重罪の者なり、而かも能く逆罪を除滅するには余行に堪へざる所なり、唯念仏の力のみ能く重罪を滅するに堪る有り、故に極悪最下の人の為に而かも極善最上の法を説く等云云 ・・下品下生・・五逆罪の人、十念往生 選択に云く「念仏三昧は重罪すら消滅す、何に況や軽罪をや、余行は然らず、或は軽を滅して而して重を滅せざる有り、或は一を消して二を消せざる有り」等云云 捨閉閣抛 ・・法華経等の一切経 ・・釈迦仏等の一切諸仏 ・・天台宗等の八宗九宗の世天等 浄土三部経阿弥陀仏よりの外なり 安楽集に 未だ一人も得る者有らず唯浄土の一門のみ有て通入の路なるべし 往生礼讃に云く 千中無一・十即十生・百即百生 ・・長楽寺南無 ・・一弟子・隆寛・多念 ・ ・・故嵯峨法皇の御師 ・ 一弟子・善恵・小坂・道観 ・・建仁年中・ 一弟子・聖光 故打宮入道修観 ・・ 源空・・・・・・・・・ 法本 ・・念阿弥陀仏 ・・法然房 ・ ・・諸行往生 顕真座主 ・ 覚明一・・一条 八人の碩徳 ・ ・・道阿弥 ・ ・・嵯峨 ・ 聖心 ・ 成覚・・・一念 ・・法本・・ ・・頼顕僧正の御師 ・ 薗城寺の長吏 公胤大弐僧上・浄土決疑集三巻を造て、法然房の ・・故宝地房法印証真の弟子 ・・上野清井者 定真竪者・弾選択二巻を造る、随機諸行往生 下三品 下輩 値悪人・・ ・・証真の嫡弟 竹中法印 ・・宗源法印 隆真法橋 証義者・・ ・・大和の荘 ・・俊鑁法印 椙生 ・・三塔の総学頭 善人・・ 三千人の大衆 小乗凡夫 ・ 五人探題 聖覚 中輩 貞雲 中三品 ・ 竜証 値小・・ ・・華厳宗 ・・とがのをの 善根 明恵房・・摧邪輪三巻を造る随機諸行往生 大乗凡夫 値大・ ・・深密経に依る 上輩 ・・法相宗・三時教をもて一代を摂尽し、返て深密経を以て法華経を下す 上三・ ・・三論宗・二蔵三時をもて一代を摂尽し、返て妙智経を以て法華を下す ・・華厳宗・五教をもて一代を摂尽し、返て華厳経を以て法華を下す 大乗五宗・・・真言宗・五蔵をもて一代を摂尽し、返て大日経等を以て法華経を下す ・・天台宗・四教五時をもて一代を摂尽す 県の額を州に打ち牛跡を大海に入る ・・伝教大師此の義を許すや不や 夫れ三時の教は勝義の領解一部の聞は義生の機宜猶三部を欠く、何ぞ一代を摂せん。華厳云く、三論云く、真言等云云。 |