Ⅰ 生理・生態
 ・ヤマイモ科の蔓性の多年草で、北海道を除く日本各地
  に自生している。
 ・葉は、先が鋭く尖った長卵型で対生し、葉の付け根に
  ムカゴをつける。
 ・細い茎は他のものに巻き付いて長く伸び、ところどころ
  分枝して長さは数mになる。
 ・栽培には、水はけがよく土壌の深い場所が適当である。

Ⅱ 作 型



Ⅲ 品種の特性
 ・特に品種として分化していない。種芋は、自生してい
  るものを山どりするか、種苗店などでもとめる。また、
  ムカゴを秋に収穫し、湿った砂の中に貯蔵し、3月に
  畑に蒔き1~2年育てて種芋とする。

Ⅳ 栽培基準
 1 育成
  1)種芋の前処理
   ・種芋が手に入ったら、芋を秤にかけ100g程度に極
    薄刃のカッターで切り分け、切った芋は首に近い
    方と真ん中および尻の部分に分けてコンテナなど
    に入れる。
   ・切り芋は日光に良く当て、切り口を乾かす。
   ・切り口が乾いたら、オーソサイド800倍液に浸漬し、
    湿り気が無くなるまで乾かし、切り口や傷口に速乾
    性の合成樹肥をまんべんに塗る。
   ・処理が終わった種芋は、新鮮なオカクズに入れて
    保存する。

  2)種芋の伏せ込み
   ・4月以降気温が上がったら、種芋の催芋の準備を
    する。
   ・用土はパーライトとクン炭を等量混合したものを用
    いる。
   ・用土100㍑を加え、ビニールシートにくるんで一昼
    夜以上おく。
   ・催芽箱に不織布を敷き、用土を2cm程入れその上に
    種芋を並べ、再び用土をかけ2段に並べ、最後に用
    土を2cm程かぶせて不織布でくるむ。

  3)種芋の催芽
   ・伏せ込んだ種芋は、潅水、加温せず7日間室内に
    おく。
   ・温水催芽器で加温するが、最初は20℃で加温し、
    3日目から25℃に保つ。
   ・2cm程度芽が出たら、催芽室からだし、すぐに定植
    せずに催芽箱を交互に積んで透明ビニールをかぶ
    て、種芋を外気から慣らす。


 2 定 植
  1)圃場準備
   ・圃場周辺に排水溝を設置する。
   ・土壌改良のため堆肥を10a当り3t施用し、深く耕す
    。
  2)栽培器(パイプ)の準備
   ・栽培用の樹脂パイプに山地から取った無菌の赤土
    をパイプに詰める。赤土はパイプの割れ目が1~2
    cm開く程度に入れる。

  3)パイプの設置
   ・赤土を詰めたパイプは、約15度の角度でパイプの
    受け部が畝の上から20㎝になるよう埋め込む。
   ・埋め戻しをするとき、種芋を植え付ける位置の目印
    にするため、受け部中央に長さ30cmほどの案内棒
    を立てる。



  4)定植
   ・4月下旬から5月上旬に、安定棒を目安に種芋を
    植え付ける。
   ・種芋は、パイプに平行になるように植え付ける。

  5)畝幅、株間
   ・畝幅150cm、株25cmに植え付ける。


3 施 肥
  1)施肥料方法
   ・施肥はパイプを埋め込んだ残りの土に、有機質肥
    料を主体に10a当りN成分20kg施し、良く混合して
    畝の背に寄せる。
   ・追肥は、8月中旬に速効性の化学肥料で80kg、9月
    中旬に40kg施用する。


4 管 理
  1)支柱立て
   ・定植後なるべく早く、蔓を巻きつかせるために銅管
    支柱をX字型に立て、支柱の先端を揃えて上部に
    ネットを張り、受光体制を良くする。

  2)地温管理
   ・地温を下げるため、畝全体に敷きわらをし、梅雨
    明け後は遮光シートをかける。


5 収 穫
  1)収穫時期
  ・11月中旬以降、霜が降りてつるが枯れてからパイプ
   を掘り出し収穫する。


6 害虫虫防除
  ・葉渋病・炭そ病・・・ダニコール1000の1000倍
   ペンコセブ水の600倍
  ・ヤマイモハムシ・ヤマイモコガ・・・サリチオン乳
     1000倍・サイアノックス乳1000倍
  ・アブラムシ類・・・マラソン乳2000倍・ハクサップ
     水1000倍
  ・ハダニ塁・・・エストックス乳2000倍・ケルセン乳
     1000倍