第2章 餅つき
餅つき
半俵のもち米かしぐ母のよこ父が運びしうすになべ釜
県外の娘やおい達集まりて餅つき我が家の一大行事
セイロから蒸気吹き出て15分そろそろだよと子どもら集め
木のうすは餅がうまいと誰も言う電気で回るうすを前にて
初うすは二つに割って鏡餅 慌てて子どもうちわであおつ
我が家では人気があるよ「こごめもち」 年寄り子どものどにかからず
こごめもち:もち米とうるち米が半々のもち
つきたての餅をちぎるもひと休み赤くなりたる手のひらと指
大きくも小さきもあるちぎり餅 子どもらの手にあわせるように
今春に母の摘みたる野のヨモギ 暮れの我が家に匂い満ちたる
あずき入れ子ども包みし草もちはみんなで作る芸術作品
つきたてを少し残しておろし餅今日しか食べれぬ「もちつきの味」
「またこいや」の声に送られ帰り行くつきたて餅と満足持ちて
神社の年番
雪の中準備済ませし氷川社で薪を燃やして詣で待ちたる
早々と新年待たずに参る者、童になりし近くの老婆
家族連れミニバン降りて初詣、青年なりし子らに夫婦よ
手を合わせ祈る中身は知らねども参ったあかしにお神酒とするめ
「こんばんは」に視線を上げれば娘たち、若き詣でに神も喜び
いつものパン屋
帰宅路にいつものパン屋立ち寄りて袋いっぱいのパン買う楽しみ
オレンジにミルクに黒糖マーブルと いつも迷いし名物のパン
給食のパンを焼きたるこの店の 生地の味わい本物の味
ウインドウ幾つも置かれた賞の盾 味とプライド物語る
パン買うもラスク目的このお店 味が良いうえ値段も安い
(ラスク:売れ残りのパンを小さく切って焼いた菓子)
サービスでたまにもらえる粉スープ 土曜の朝の小さな楽しみ
朝早くパンを焼きたるこの店の 夕暮れ時は寛ぎタイム
店頭の販売ほとんどサービスで テレビを見ながら社長店番
せっかくの割引の券貯まれども 事情思いて一度も使わず
袋下げ暗い雪道歩く吾 思い浮かぶは家族の笑顔
寒波
部屋からのもれる明かりで照らされし吹雪の中の白き庭先
薄暗き中に見えくる雪景色何もかにもが雪に埋もれし
降雪でだるまとなりし我が車 手足出るまでひと手間かかる
交差点屋根に残せし雪塊がなだれをうって仕返しに来る
月極の雪に埋もれし駐車場スコップ持ちて半時間かかる
長靴の背丈超す雪積りきて人と車が道ゆずりあう
通勤の経路いろいろ楽しめどこのときばかりは屋根ある歩道
除雪車の音でさめたる雪の朝ついに来たかと早目に起きる
八十の父早起きし雪はねる孫と息子の車の周り
除雪車が通りしあとの車庫の前スコップ片手に雪塊崩す
名称はママさんダンプと言うけれどママは使わず男が使う
雪の朝密かな楽しみ見つけたる庭に白猫放り投げたり
若き日に玄関の雪はねし母 ストーブ前から離れずにいる
雪降りて2台の車雪だるま 父と息子の10年車
雪晴れドライブ
谷峠白き山並み美しく車を停めて冷気に身を置く
道離れ木々の間を見下ろせば目が合いたりしニホンカモシカ
威厳さえ感じさせたるその姿高鳴る胸でカメラ収める
目が合うも身動き一つせぬ彼に慌てず騒がずそっと離れる
根元まで雪に埋もれし杉木立ち漂う空気重くて暗い
杉間を通して見える白樺の幹の白さにほっと救われ
日差し背に窓少し開け本を読むレジアスの中春の味わい
ダイドーのコーヒー一つあれば良いどんな車も喫茶にかわる
天気良くバイク持ち出し走る野郎背丈超したる雪壁の道
朝日差し銀色輝く荒島を窓越しに見る雪晴れドライブ
新雪の朝リフトから見る樹氷思い浮かべり雪晴れドライブ
道べりの昨晩降りし新雪に顔を近づけ結晶探す
青空に映えたる白き山並みは心の底まで浄化をしたる
高速でわざに白馬へ行かずとも美しき山々奥越にあり
雪道
凍りつく道に撒かれし融雪の効果はあれど車は真っ白
メーカーの手先じゃないの公団は融雪剤撒きクルマ錆びさす
雪道はテストコースじゃあるまいにガタガタゴトゴト車体がきしむ
雪だとて安心できぬ雪の壁気温低けりゃ岩のごとくに
新雪を前から突っ込みそのままにバックも出来ぬ後輪駆動
空回りさせて突っ込む新雪路バックも自在前輪駆動
登りには絶対有利四駆だが下り滑れば他と変わらず
志賀高原
中野にて偶然見つけしキャンパー店、製作中を初めて見たり
社長さん車の話しそっちのけ、昔訪ねた福井の話
夏なれどスキーの賑わい眼に浮かぶ華やかなりし志賀の山々
若き日に志賀高原へ来た記憶やっと見つけた泊まりしホテル
キャンパーを横付けしたるレストラン窓越しに見る我が車が愛し
3トンを超える重さに耐えかねて焼けたる臭い室内に満つ
キングにて急坂続く志賀の道、行動範囲の限界を知る
志賀越えてつづらを降りれば草津の湯レジアス迎える硫黄のにおい
キャンパーに幾台も会う草津の湯、関東近くで宿地のメッカ
道の駅隣に停めしハイエースは旅慣れしたる還暦夫婦
出雲大社
大学で彼女見つけし我が息子、福井の大社で式を挙げたり
旅行好きお礼参りと出雲まで車走らす親二人かな
巨大なるしめ縄飾る大社来て息子のご縁報告したる
伝わりし神話の多くが出雲国知れば知るほど面白くなる
古代には天まで届く社あり境内掘れば巨柱が出たる
宿なくてビジネスホテル飛び込むも設備古くて笑い出る部屋
想像を超える広さの宍道湖に車を離れしばし見惚れる
シジミ貝小舟あやつり獲る漁師、宍道湖だけの絵になる姿
山陰の歴史を重ねし松江には城下の街と文化残れり
松江城お堀をめぐる舟ありて言葉なくとも歴史を語る
XLR250R
知り合いの息子のバイク譲り受けオフロード車に初めて乗れる
ホンダゆえ作りが良くて走り良し 長く乗れそうこのバイクには
暴れ馬ごとき乗り味このバイク 日頃のストレス飛んでいく
合法に乗れるが不思議このバイク 一発ぶつかりゃ体飛び行く
単発の魅力もあるよこのバイク 燃費も良いしドコドコ走る
学生時欲しいと思ったSL250 姿を変えて我が手に入る
乗り心地安定性が抜群で荒れ道よりもツーリング向き
荒れ地だと高いシートは良いけれど自分の足では地面届かず
背が高く周りの車良く見える遠乗りするも気持ちに余裕
このバイク世界一周に使われる、無理と思えど夢を抱かす
定年で時間持てたら改造し 遊んでみるぞこのバイクにて
赤シビック
店頭のその場で気に入り契約し赤いシビック夫婦で乗りたる
シビックはハンドル軽くて乗りやすく妊婦の家内運転できた
内装がアイボリーなるシビックは子育て家族にぴったりの色
独特のスターマチック使い良く街中遠乗り不便なし
ホンダゆえ塗装の質がいまひとつ八年経ったら錆と色褪せ
小さいがハッチバックの魅力あり、いざと言う時荷物が積める
家族連れ泊りがけで犬山市、出かけしクルマ赤のシビック
信頼のレジアス
レジアスの高信頼に魅せられてエコでないのに敢えて乗りたる
クラウンやランクルに見る信頼度いつかは欲しくてレジアスに乗る
憧れのベンツに乗れずレジアスに 手軽に乗れて維持費かからず
世界ではベンツを抜きしトヨタ車の品質保つハイエースたち
クラウンは地域で乗れずランクルもキャラが荒くてレジアスに乗る
信頼のレジアス乗るもおまけ付く 家族で乗れて宿泊できる
ベンツ車は40万キロ走るらし レジアス劣らず確実にいく
レジアスは家と同じでメンテして息子に孫に受け継ぐ車か
レジアスと共に歩める定年後 お前がいれば何処でも遊べる
付き合えよ共に足腰立たぬまで レジアス先か俺先なるか
揃い踏み
セダンありミニバンありてワゴンあるトヨタの車ここそろい踏み
年老いた父母乗りしプレミオはトヨタの歴史重ねし車
新技術詰め込みできたアルデオは 革新好きの息子に似合う
トヨタ社が威信をかけた信頼度 レジアス持ちて家族で使う
どれ見ても10年10万超す車 慣らし終わりてこれから本番
各社の車
手を抜きし日産車には魅力なし 世界の日産プライド何処に
カペラにてマツダ品質味わえり あんな思いはしたくもないし
ホンダ車に思いはあれど品質は トヨタと比べる奴はおろかよ
パジェロなど一世風靡の三菱も クレーム多く先々不安
軽なれどしっかり出来たダイハツは 実用なりし貴重な車
昔から熱烈ファンもつスバル車もトヨタに比べりゃマニアの車
売れまくるコスト抑えしスズキ車は それなりいいがいつまでもつやら
憧れのゴルフ走りは良いけれど 故障もあるし燃費も悪い
ベンベーやベンツいいかも知れないが 自分が持てる車と違う
フィアットやプジョーやルノーあるけれどそこまでの趣味今だ至らず
案外にホンダの旧車手を加え 乗りて遊ぶも面白きかな
第3章 東山動物園へ
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