第7集 明治村
第2章 降り続く雪
降り続く雪
屋根の雪いつ下ろそうかと思案する降り続きたる空を眺めて
雪だるまなりし吾がレジ凍りつき傘と手袋取り出しできず
合い間見て息子と二人で屋根上がる深きところは胸までの雪
えち鉄もJR電車も動かずに遠くの職員年休消化
8号の雪で閉ざさる運転手炊き出し隊のニギリに救われ
千台のクルマ動かぬ高速が福井を伝える全国ニュース
雪降ればいつも気になる雪下ろし2軒の家にキャンパーの屋根
新雪に家のシロネコ投げ入ればさすがのシロも黄ばんで見える
シンクのリカバリー
ちょっとしたことでフリーズ5年ものOS入れ替え覚悟をしたり
再起動しても途中で青画面5年過ぎたるシンクパッド機
突然の起動不能のシンク機で文書や画像移す間もなし
リカバリー領域使えばいいはずもマニュアルなくて右往左往し
購入時追加で買いしリカバリーこのときばかりとCD回す
6枚のCD入れ替えリカバリー シンク案外手間隙かかる
リカバリー領域さえもリカバリーお蔭で夜中の12時過ぎよ
一人にて朝食済ませアプリ入れコーヒー飲みつつテストの起動
データーが消えちゃったのねと吾が家内夜中の苦労知る由もなく
恵方巻き
夕食の仕度助かる恵方巻き広まる理由ここに見つけり
夕食を終えたる孫の目が光る食卓並ぶ太巻きを見て
恵方巻き2日に分けて願い事巻き方でかくて一度に食えず
年一度家族揃って恵方巻き食べれる家族幸せ家族
雪
レジアスが玄関先で雪の中休みなるまでチルドで保存
雪塊の迫り出したりしトタン屋根見るに見かねてスコップ入れる
屋根の雪下ろす作業の手を休め下がるツララでのどを潤す
長雪で重さ増したる屋根の雪立春過ぎて日に日に減りぬ
2月のある週末
父の乗る軽トラ借りて雪運びクラッチすべりて速度上がらず
エンジンの音が聞こえぬわが父にクラッチ繋ぎは苦労の一つ
江よりも生き様気になる信長に毎週欠かさず番組を見る
感動の大河ドラマの本能寺涙気にせず画面に見入る
2台とも電池が切れて起動せず久しぶりなる古きシンク機
コンビ二のボタン電池にハンダ付け裏蓋開けて隙間へ入れる
2回目か3回目かの電池換え古きシンクに命が戻る
10年は保つといわれたその電池3年保たぬセイコードルチェ
信頼で買った時計のトラブルはセイコー社への不信となりし
雪の谷峠
雪下ろし済ませた屋根に済まぬ屋根若者居るか居ないかの差か
豪雪の国道維持には手間かかり迫り出す雪にはパワーショベルで
鉄筋のコンクリートのトイレ舎は屋根に背丈の雪が鎮座す
背丈より高い雪壁身を寄せば雪に抱かれる安らぎがある
南極の冒険者にも似たりして雪に埋もれる5ミリの虫は
雪上に見つけたウサギの足跡は傾斜急にてななめに登る
谷あいに積りし雪に見守られコーンスープのお湯を沸かせり
父のこと
米粒が付いているよと己が頬に手を当て示せばそこにも米粒
(母が父に)
声かけど相槌戻らぬ吾が父に通販使い補聴器求む
最近の父の戸締り注意いるカギ半掛けで防犯ならず
若大将シリーズ
録り貯めたハードに残る若大将DVDに永久保存
録り貯めた若大将に見入りたりストーブ前でコーヒー飲みつつ
大好きなハワイ舞台の若大将自分の記憶と重なり合いし
往年の若大将の映画には高度成長後ろに見える
縦横に弾けんばかりの若大将五十路の吾にも夢を抱かす
2月の連休
嫌になる何が2月の連休か会議と家事で休む間もなし
耳遠い父に補聴器買いたるもプライド邪魔で容易に付けず
妻用のビールに付きしルー使い翌日用のカレーを作る
積み上げた雪に囲まるキャンパーが3月なるまで身動き取れず
身動きが取れぬキャンパーいとおしく春を夢見て充電をする
自治会長大した議題ないという無いならないで会議はするな
聡一と父の食事の後の床掃除機だけでは汚れが取れぬ
電池切れ心配もして電池買う補聴器届くその前の日に
安土城
毎週の大河ドラマの信長に魅せられ安土の城へと向かう
石垣に手を当てみればひんやりと織田の時代の景色が見える
城郭の入り口付近の屋敷にて秀吉まるで門番のよう
敷石に用いられたる石仏 神も仏も信じぬ業か
いつの世か寺が管理の安土城荒れもしないが整備もされず
八角の天守閣が目に見える本丸跡から空見上げれば
天守跡上りて琵琶湖見渡せば信長の心分かったような
世が世なら都心となりし安土の地 田圃も山も静けさの中
米作農家
営農の座談会というけれど説明すべてJA職員
農協へ米出さなくて良いというJA幹部も破れかぶれよ
減反をしてもせんでも変わらない農家悩ます赤字体質
毎年のごとくに下がる米価にも苗や農薬価格そのまま
コメ価格下がった分だけ農家持ちJA特に影響受けず
農機具と手間代ぐらい欲しいもの今の価格じゃ夢のまた夢
農機具とJAだけが生き残り米作農家いずれは消える
一本の鱈
帰りせば一本の鱈置かれたり義兄宅から届きしものと
飯終えてエプロンをして袖まくり生半可では出来ない仕事
包丁はむかし求めたアジ開き骨断ち切るには役者が不足
気合入れ悪戦苦闘の半時間鍋材料がボールを満たす
大振りの鱈を一本さばきたり半分煮付けで半分は鍋
日々を生きる
ありがたし生きているだけありがたしそれが分かればすべてが見える
永遠に見える命も自らが思うほどには大きくもなし
年老いた自分の歳を嘆げくなよ下から見れば順番順番
一つでも役立つことをと動きたり体の動ける限りある日々
キリストや仏を語る宗教者畑耕す老婆に負ける
あさ希望、日のうち働き、よる感謝 誰が言ったかこれで十分
し三反田さえ苗始末は親父の仕事
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