#6 The Uncertain Path by Jude Watson #5 The Defenders of the Dead (死者を守る者たち)のよもやと思われたオビ=ワンのジェダイ離反という波乱の最後から継続するストーリーです。 復習の為に少し思い出すと、惑星メリダ/ダーンは二つの相容れない民族が支配権を巡って過去より幾星霜、戦乱の耐えることのない星でした。 メリダ族の指導者的人物から平和の守護者(Gardians of the Peace)として仲裁役を要請されたジェダイ、タールが任務中に行方不明になってしまい、 マスター、クワィ=ゴンとパダワン、オビ=ワンの二人はその捜索・救助のために隠密裏にメリダ/ダーンへ到着します。 しかしこれは罠で、さらにジェダイを捕らえて交渉を有利にしようと計ったメリダ勢力に一旦捕らえられはするものの、思わぬところから救助の手が差し伸べられます。 それは未成年者の地下組織『ヤング』で、ヤングは戦争で荒廃する故郷の星に平和を呼び戻そうとする混成軍でした。 リーダーの沈着で統率力のあるニールド、身軽で勇敢、武器の考案にも優れた人望のあるセラスィ、そこに加わったオビ=ワン、三人はメリダ/ダーンに戦争を終結させるべく 奮戦します。 一方盲目となったタールを救出したクワィ=ゴンはまず任務の遂行を考え、オビ=ワンに共にコルサントへ直ちに帰還する事を指示します。 しかしオビ=ワンはスターファイターを持たないヤングの形勢が不利になったのを見かねて空爆のために自分たちのファイターを使いたいと訴えますが クワィ=ゴンが許すわけもありません。遂にオビ=ワンは無断でファイターを使い、それを知ったマスターとの間に不信感の溝を作ってしまいます。 ジェダイを取るかヤングを取るか、と迫らて激昂したオビ=ワンはマスターに向かって思わずライトセイバーを挙げてしまいますが、 さすがに思いとどまり、ジェダイの道を諦める決意を固めます。クワィ=ゴンとタールを乗せたファイターが視界から消え去るのを見届けて オビ=ワンは一人新たな仲間の待つ街へと帰っていきます。
ゼハバに戻ったオビ=ワンはもはやジェダイではなく、唯一の武器ライトセイバーも持たない一介の少年に過ぎませんでした。相変わらずニールドとセラスィから寄せられる 信頼は強かったものの、彼らにオビ=ワンの払った犠牲がどれほどのものか想像することはできませんでした。 以前と同じく地下に潜って破壊活動を続けて、遂に敵である『エルダー』軍の最大の攻撃兵器、スター・ファイターを一挙に破壊する作戦に出ます。 作戦に不可欠なのは父親がスター・ファイターの整備技師だったので見よう見まねでファイターの工作ができるロエンニという少女。 少人数の破壊攻撃隊が地下トンネルからエルダーの格納庫に侵入して、5機残ったファイターを飛行不能にして行きますが、作戦途中で警備陣に気付かれてしまいます。 このときオビ=ワンはとっさにフォースを使って物を動かそうとしますが、フォースを呼び起こすことができませんでした。「フォースは常に在る」というヨーダの言葉が心を掠めますが、 オビ=ワンには実感が湧かないまま戦闘は続き、最終的に作戦は成功。敵の戦力は激減して、しかもヤング別動部隊が攻撃を開始、オビ=ワンたちは勝利を確信したのでした。 ライトセイバーとフォースを失った者はもはや実質的にジェダイではありません。Ep.1以前の銀河共和国に置けるジェダイの社会的地位はどのようなものであったのでしょうか。 ジェダイオーダーは銀河共和国の独立機関として広大な共和国内部の紛争解決にあたります。個々のジェダイはGardian of the Peace(平和の守護者)として紛争地域に派遣されます。 コルサントにあるジェダイテンプル(聖堂)にはジェダイ評議会が置かれ、ジェダイマスターの合議制で時勢を読んだり分析したりしながら、平和と安定を維持すべく 後進のジェダイの養成にも余念がありません。 全銀河でおよそジェダイは20,000人といわれますが、もちろんすべてがジェダイナイトであるわけではなく、#1でオビ=ワンが危うく配属されかけた農業団の農業従事者や、 テンプル内のマダム・ジョカスタ・ヌーのような司書、年少者養育係など職種は多岐に渡ると思われます。派遣された先での丁重な対応からも、 ジェダイはかなり特権的な権力を持っているようです。しかし単身敵中に乗り込むことも多くなるので(Ep.1のように)罠に掛けられたり、集中砲火を浴びたり、 いかなジェダイといえども抗しきれないような反撃に遭うことも考えられ、殉職率は高かったと思われます。 さて、オビ=ワンはジェダイをやめてヤング軍に参入したのですが、やぶにらみ思考法で考えるとオビ=ワンが丁重に迎えられたのは、ジェダイであること、 卓越した戦闘技術(特にライトセイバーの威力)、スターファイターを持っていたことなどが挙げられます。つまりジェダイであることと一体であって、 ジェダイでなくなったにもかかわらず発言権と権力を持つオビ=ワンの存在は、世界を対立する民族の垣を払って統一することが悲願のヤングにとって、 将来的には異分子としてお荷物になるであろうことは容易に予想できたのです。 少年らしい感情の高まりと保守的に見えたクワィ=ゴンに対する反発、自分が求められているという陶酔感でかなり乱暴に進路を決定してしまったオビ=ワンですが、 「ジェダイ」の後ろ盾を失った自分の実力を分析する客観性を持つにはまだ経験不足でしたし、祖国(?)統一の悲願を持つ現地の人と、義勇軍的存在の自分とでは行動の根幹をなす 動機付けが全く異なることにも気が付いていませんでした。 唯一、緩衝剤になってオビ=ワンの立場を理解したのがセラスィでしたが、彼女も陰謀によって暗殺されてしまいます。 セラスィの死がきっかけとなって一気にオビ=ワンの疎外がはじまり、ヤングの拠点から追放されたオビ=ワンは寝起きするところにも不自由な生活を余儀なくされます。 オビ=ワンの胸中に去来したのはどのような感情でしょう? セラスィを守れなかった無力感、罪悪感。そしてヤングの運動から疎外された挫折感と……そもそも自分を見失ってジェダイを去った事への苦い悔恨。 マスターへの申し訳なさと、そして、マスターがまだ自分を見捨ててはいないのではないかという微かな希望。
一方コルサントのジェダイテンプルへ戻ったマスター・クワィ=ゴンの方は、やはり心の平安はなかなか得られません。 年長組との練習試合などに気を紛らわそうとするのですが、オビ=ワンと雌雄を決する試合をしたブルック・チャン(彼はまだテンプルに残っています)との試合で、 集中ができず無様な闘い方をしてしまいます。気を取り直して集中してからのクワィ=ゴンはブルックの敵ではありませんでした。 あっという間にあしらってしまいますが、その様子をヨーダは見逃してはいませんでした。 試合の後に「千の泉の部屋」へ静寂を求めに行くのですが、クワィ=ゴンを待っていたのはヨーダでした。テンプルでは個人のプライバシーは完全に守られていますが、 人々のクワィ=ゴンを見る好機の目は遮れません。ヨーダはそろそろ心の中をあかす潮時だとクワィ=ゴンを諭します。 ヨーダの言葉にクワィ=ゴンはメリダ/ダーンでの出来事を話します。オビ=ワンの選択の段になると、ヨーダはオビ=ワンの選択もやむなしとの判断を述べます。 そしてクワィ=ゴンが自覚していなかったパダワンに対する理解の無さをそれとなく叱責するのでした。若い頃のクワィ=ゴンも直情的だった……と言われて 「私はジェダイを捨てなかった!」と抗弁するクワィ=ゴン。何かオビ=ワンの姿と二重写しになるようです。 経験を積んだジェダイのクワィ=ゴンにとってオビ=ワンたちヤングの理想論も行き当たりばったりの戦法もすべて危なっかしい児戯に思えたのでしょう。 そしてヤングが勝利することなどあり得ないと、主観を交えた予想をするのですが、実際にはヤングが世界を制圧したと聞いて、驚くと共にさらにオビ=ワンに対する気持ちを硬化させます。 そしてヤングの将来に懸念を覚えるのでした。 ここのクワィ=ゴンの発言はかなり主観が強い、自分を(結果的に)裏切ったオビ=ワンに対する遺恨が感じられるようです。 クワィ=ゴンはパダワン運が悪いのでしょうか、最初のパダワンはザナトスともその前にもう一人いたとも言われますが、一人のパダワンが一人前になるのに 優に10年はかかる事を考えれば多分ザナトスが最初だと思われますが、#2で明かされるようにザナトスはクワィ=ゴンを裏切った、というより完全に敵になったわけです。 クワィ=ゴンにしてみれば有望なパダワンをみすみす敵にしてしまう、それも肉親の情に負けて、それは失望であり自分への幻滅でもありました…… ジェダイの精神修養が全くできていなかった証明ですし、クワィ=ゴンの指導も不十分だったということになるからです。 オビ=ワンと種々の確執を経て確固としたマスター=パダワンの絆ができて、昔の記憶が傷がやっと癒えたかのように思われた矢先に、 今回のオビ=ワンの勝手な行動に見られる公然たる反抗です。クワィ=ゴンは再び悪夢を見ている気持ちだったでしょう。 しかもクワィ=ゴンの経験からして、メリダ/ダーンのヤング勢力は、戦闘には勝つことすらおぼつかないと評価していたのですからヤングの勝利の報を信じられないというのも 正直な反応であるし、オビ=ワンが組織の重鎮になっていると聞いて「あの馬鹿が……」と思ったのも、やんぬるかな、ではあります。 ただ、言葉の響きがむきになっているように聞こえるのは、心のどこかに自分の考えが正しい、オビ=ワンは間違っていていつか尾羽うち枯らして詫びを入れてくる、 というようなヨーダに「お前もまだまだじゃ」と言われるような感情的反応をしてしまったようです。
クワィ=ゴンが予期していたとおり評議会(カウンシル)から呼び出しがかかる、オビ=ワンとの確執を評議員の前でつぶさに述べなければならない…… クワィ=ゴンの心は晴れませんが已むなしと円形の評議会室を訪れます。しかしそこで聞かされたのは前代未聞のテンプルでの窃盗事件だったのです。 盗まれたのは取るに足りない些細な物でしたが、全銀河の安全を守るジェダイの牙城が犯されたとは、ヨーダの言葉を借りれば「ゆゆしき事態」でした。 そこで極秘に捜査をする任務をクワィ=ゴンとタールが与えられます。 メリダ/ダーンで虜囚になり拷問を拷問を受けた末についに視力の戻らなかったタールはテンプルに戻ってから傷の治療と共に視力を補うための 他の感覚を鋭敏にする訓練を積んでいました。 タールの性格の明るさは、常に物事を肯定的に見ていこうとする生のフォースに充ちたもので、つい慎重に必要以上の警戒をしがちなクワィ=ゴンを却って励まします。 オビ=ワンについても理解を示しますが、クワィ=ゴンはオビ=ワンに付いて触れられるのはたとえタールでも避けたいと言明します。 そうこうするうちに繰り返される盗難はエスカレートして、年長生の訓練用ライトセイバーがすべて盗まれます。クワィ=ゴンが持って帰ってきたオビ=ワンの ライトセイバーも紛失したと聞いてクワィ=ゴンの心は波立ちます。これを聖堂に対する挑戦と受け取ったクワィ=ゴンはもはや秘密裏の調査は無用と厳重な警戒態勢を敷き、 すべての生徒に聞き取り調査をすることにします。中にはブルックもいました。ジェダイとしての心の鍛錬を積んでブルックは怒りをコントロールするすべを身につけ、 自分が疑われても仕方がないと客観的な意見を述べます。タールの感じたところ、ブルックはこの事件とは無関係でした。
視力を失ったタールが自立するために目の代わりとしてアシスタントとなるべくヨーダから贈られたドロイド。性格はよくしゃべりお節介、 自分の仕事と心得るタールに付きまとい、タールからはうるさがられて、そのうちにバイブロ・カッターでバラバラにしてやると脅迫までされているが、 全く応えた様子もなくかなり高めと思われる音声でタールに、指図をします。 後に重要な場面で2Jが出しゃばった為に犯人を取り逃がしタールが激怒して音声装置をカットしてしまうことになります。 まさにC3POを彷彿とさせるドロイドですが、後の伏線になるところがただの道化とひと味違うところです。 タールと2Jの会話は、行き先が予測はつくつものの単純です。そもそもジェダイマスターとなるほどの人物が視覚を失ったくらいでこれほど手厚い保護が必要か、 という辺り疑問です。フォースと一体になれば目が見えなくても攻撃も直感で受け止められるのはルークやEp.2のベア・クラン(幼年ジェダイ)の訓練を見ていても明らかですから、 われわれ普通人と違ってタールにとって日常生活にそれほど不便はなかったと思われます。 つまり2Jというキャラの登場のために、タールの境遇が使われただけか、という気もします。 |
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