Report
ボランティアの人たちによる重油除去作業

重油流出事故・三国の様子
('97.1.11)



 油の除去作業に行ってきました。
 ほんとに悲しくなります。

 私は三国サンセットビーチのすぐ北側のヨットハーバーのあたりでお手伝いしてきました。
すぐ目の前(道路沿い)にあるサーファーショップの「ナンシー」に行くとテントが張ってありどうすればいいか指示してくれます。

 カッパの上下と長靴とゴム手袋が必要です。大聖寺あたりの砂浜では、浜に打ち上げられた固まりを拾うって感じみたいですが、三国では海岸近くに漂う固まりを、水に浸かりながらすくい取るといった感じで、実際に油を回収する役割の人は腰まで水に浸かって作業しなければいけません。だから、よく鮎釣りをする人がはいている腰まで水中に入ってもぬれないゴムのオーバーオールみたいなのがあればベストです。

 そして、すくった油をゴミ袋に取って、集めますが、これが袋いっぱいになるととても重くて運ぶのが大変です。地元の高齢のおじ(い)さんおば(あ)さんたちには大変きつい労働です。僕たちが行ってすぐできるのはこの油のつまった袋を運ぶ作業です。しかし、重いと、胸に抱きかかえないと運べないので、全身油まみれになるのでしっかりしたカッパで重装備したほうがいいです。

 東京から来たというご夫婦は普通の格好で来てしまったため、ジョギングシューズのまま膝まで水に浸かり、トレーナーの上下は二度と使えないように真っ黒になっていてとても気の毒でした。

 もし行く人がいれば、もう捨てるつもりのカッパとゴム手袋(農作業用の厚いモノが良い)をかならず持っていきましょう。

 油はつきたてのお餅よりすこし軟らかいくらいの粘度で、水面に浮いています。しかし、ゴム手袋ですくうと、ゴムなどとは親和性が非常によいので、べっとりと付着して取れにくくなります。とったモノをバケツに入れても同様で、とても出しにくいです。

 作業をする人たちは当然浅瀬にいますが、油の帯は少し深い場所に漂っていてなかなかこちらに流れてこず、それを柄の長いひしゃくなどですくおうとするのですがなかなか届きません。水面に広く点在して浮遊する油をかき集めるのに、なにか便利な道具がないだろうかとずっと歯がゆい思いでした。


絵はここからもらいました。

 感想は、道具が足りない、といことです。ボランティアの人が来たら長靴、カッパ、手袋、その他作業に必要な道具をどんどん貸してくれるような体制を大至急、行政に整えてほしいと思います。行政の対応がまだまだという感はぬぐえません。大雪が降ったらかなり迅速に除雪などに対応するだろうし、また地震で建物が壊れたら災害救援体制がもっと整うだろうに、今日見かけたのは、ゴミ袋と油拭きマット、そしてせいぜい油回収のためにドラム缶とそれを運搬する人だけ。あとのバケツやひしゃくは全て地元の人が持ってきて作業しています。県は何をしているのでしょう??
 人間一人一人ができる作業内容はわずかですから、効率よく集める方法と道具をなんとか考え出して提供して欲しいと思いました。例えば、舟の上から網を投げて魚を捕る漁がありますが、あれのもっと大きな網を油の浮いているところへ投げ込めば、大きく固まって浮遊している油は、まとめて集めることができます(現状では、その油が近くに寄ってきたときにひしゃくですくい取るしか術がない)。網は一回で使い捨てですけど効率はすごくいいと思います。

 安島(雄島近く、船首部分が座礁している所)の方へは野次馬が多いらしいので行きませんでしたが、あちらの方が量が多く大変だそうです。三国では浮いている油は厚さ数センチといったところですが、安島の方では数十センチの厚さで漂っているそうで、バケツですくうともうバケツがいっぱいになるそうです。

 地元の人の「こんな実りのない作業はもういやだ」、という言葉が印象的でした。
 海女をしているというおばちゃんは「あのへんでさざえやあわびを取っている。いまの時期は岩海苔を取っている。油がくる前もここで海苔をとっていた。ことし海水浴ができるやろうか、さざえはもうあかんやろうか。もう70過ぎたおばあちゃんを雇ってくるとこもないし、わたしらこれから何をしたらいいんやろ。海の仕事はくたびれたら浮いてればいいで楽なんやのに。」


 作業の後にもらった「酒まんじゅう」がおいしかった。
 新保屋のおろしそばもおいしかった。


その後の報告

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