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重油の小塊が点在する鷹巣海水浴場
      (福井市浜住町)

25日安島と鷹巣('97.1.26)



 25日に安島と鷹巣を見てきました。




座礁した船首とボランティアセンター
 三国町安島の船首部分が漂着した現場では、船首部分からの重油抜き取り作業がシケによる高波のため、中止されたままの状態が続いています。


 ボランティアの方たちの海辺での回収作業も中止のままで、センターには、19日には作業が中止でも百数十人の人がいましたが、新たにセンターを開設した美浜に行ったのか、ここ三国にいるのは20〜30人でした。


強風と時折猛吹雪にもなる悪天候の中、物資の整理をしているようでした。








 事務所の中へ入れてもらいました。中では女性が電話の応対に追われ、また新たに重油の漂着が確認された美浜町にボランティアセンターを設置したり、石川県の輪島へのセンター設置計画などの事務的な仕事が続けられているようでした。







 また、福井市の沿岸でも重油の漂着が確認されています。鷹巣海水浴場(福井市浜住町)を見てきました。こちらも回収作業は天候に左右されている状態ですがこの日は30人ほどで作業されていました。相変わらず波が高いため、砂浜なら危険が少ないということでここ鷹巣海岸のみ行われているようです。







 海岸の砂浜には大規模な漂着こそないものの、直径が2〜3センチの重油のかたまりが海岸線に沿って大量に打ち上げられています。
 まるで犬の糞のようなこれが重油の固まりです。




 これを取り除くには、ちりとりなどを使って一つ一つすくい取る地道な作業しか方法はないのでしょうが、重油は砂浜のかなりの距離にわたって打ち上げられているのに加え、さらに新しい重油の漂着も予想されるため、少人数ではとてもきれいになりそうにはありません。
 海岸全体が元の姿を取り戻すにはまだまだ長い時間を必要としそうです。

 シケがおきる前ならまだ重油も大きな塊の状態で海上を漂っていたのでしょうが、ここまでちいさな粒にバラバラになったのはここのところの激しい波によるものでしょう。


 また、福井市が調査している他の海岸の情報によれば、ほとんど回収がされていない所もあるのか、多いところでは”幅20m×長さ500m(に渡り)、直径20〜30cm位のボール状の油塊が点在。海岸一帯の2〜5cm砂下にボール状の油塊あり。(石橋町)”となっており、かなりの量の重油が回収されずに残っていることがうかがえます。
 これは三国でも聞きましたが、砂浜に打ち上げられたまま回収せずに放っておくと、上にどんどん砂がかぶさり、その上にまた重油が打ち上げられ、これを繰り返すうちに、何層にも折り重なって重油の層が出来てしまうそうです。こうなると回収作業はかなり困難なものになりますし、回収しても、回収したドラム缶の半分は砂だったりすることになり、あとの処理が大変なことになってしまうでしょう。
 ほんとうに早く手を打たないと、深刻な事態に陥ってしまいます。




 安島の帰りに、サンセットビーチ前の、サーフショップ「Nan's Sea」に立ち寄りました。ここは日本サーフィン連盟福井支部の対策本部となり、休みなく災害対策に追われています。前にも書きましたが、三国町に大勢のボランティアが集まっていること、そして、ここのところ重油回収作業でけが人、死人が出ていることで、町の災害対策本部はかなり神経質になっていて、少しでも波が高いと作業中止にしてしまいます。しかし、ハイハイと中止していたのでは、砂浜には油が溜まっていき、岩場に置いた油吸着シートなども用を足さなくなるので、サーファーの人たちは隠れてこそっと作業しているようです。(なんで隠れて作業しなければいけないか理解に苦しみますが..)
 25日も、午前中だけ漁師さんと一緒に海に入り、吸着シートの回収などの作業をしていたらしいのですが、そこへ町の対策本部の見回りがやってきて、
(町の人)  「波が高いですから気を付けて下さいよー」
(漁師さん) 「バカヤロー、誰にモノ言っとるんじゃー」
(サーファー)「イェー(パチパチパチ)」


午後からサーファーの皆さんは、集まった物資を敦賀や石川にも分配しようと、物資整理と転送の手配をしていました。


その後の報告

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