Report
崖下からのバケツリレー

2月1日三国



 2月1日、三国へ行って来ました。
三国では、サンセットビーチと東尋坊の中間くらいの崖下の岩場に、また新たなかたまりの漂着があったということで、地元の方達ががんばっておられました。

 しかし、量的には大したことない(今までに比べれば)のですが、おそらく、海上に漂っている大きさで言うと、厚さ5〜10cm、面積が2m×10mくらいに相当する量と思うのですが、これが海に浮いてて単にすくって取るだけならそれほどの作業でもない気がしますが、これが、波打ち際の砂利の上に打ち上げられていて、砂利の下の方まで入り込んでいて、細かな作業で、砂利を掘ってそれを取り除く必要があるのでなかなか進みません。(左の絵とは状況は異なります)


 私もお手伝いさせていただきましたが、波で洗われた直径1cmから5cmくらいの砂利石の波打ち際に、べっとりとした重油が上がっていましたが、ここの石は凝灰岩系の多孔質なものではなく、いわゆる玉砂利のような石で、表面は石と石が擦れあって磨かれなめらかであり、また常に波がかぶり濡れていたため、油がべっとりと付着するといった様子ではなく、重油の塊を手でつかみ取ろうとすると、中からはじかれて砂利石がぼろぼろと出てくるような様子でした。砂利の隙間から下へ重油が入り込んでいましたが、それでも10cmほど砂利石を掘ればほとんど除去できる状態で、石が油をはじいている様子は、砂利石が頑なに油の汚染を拒んでいるように見え、なにか勇気づけられる気がしました。

 そうして取り除いた重油をバケツに集めるのですが、なんと例えようか、粘度が非常に高くなっていて堅く、まさに”粘土”の状態です。しかも、とりもちのように粘着力が強く、例えば手袋にソフトボールくらいの大きさの塊がくっついていて、それを取ろうとして手を振り回しても、ビクともしません。波打ち際の砂利とは対照的に非常に強固にくっついて、これはもうバケツのヘリや竹べらでこそぎ取らないと取れないのです。

 こうして集めたバケツの重油を、今度は標高差で20mくらい上の道までバケツリレーです。これは、地形的に海辺まで道路が来ていない崖など、福井市の一部の海岸部でも同じような状況のようですが、この回収した油の運搬が、非常に厳しい労働として、ボランティアや地元漁民の人たちを苦しめていると言えます。高齢の人が毎日するにはきつい作業です。(このリレーを2段階行わないと、ドラム缶が置いてある道路際まで達しません)

 また、運んだバケツからドラム缶に移すのがこれまたやっかいで、バケツを振ろうが叩こうが、油はびくともしなくて、一人がバケツをドラム缶の上で横にして持って、もう一人が木の板かなにかでほじくり出す、というかひっぺがすというか、とにかくびっちりと、バケツの内側にくっついているわけです。
 最後は手でていねいにこすり取ります。







 この日漂着していた重油を取る作業では、地元の漁業関係の人たちなど40人くらいが、一日かかってもまだ全部取れない状態でした。本当に根気のいる、というか、大変な作業です。
 ちょっとした塊が新たに来ただけで、これくらい作業しないといけない(2日かかるとして、のべ80人分の労働−それもほんの1箇所(海岸線の距離にして20m程度)をきれいにするだけで)、というのは、・・・ほんとうに厳しい状況に置かれているなということを実感します。
 これらは海上で、回収船などで回収できれば、造作もない量の油だと思うのですが、海岸に打ち上げられてから岩や石に付いた物を除去しないといけないために膨大な作業量となります。また海岸近くで漂流している時点で、地元の人がパトロールで見つけてはいるのですが、この時点ですくい取れれば、これまた少ない作業量で済むことなのですが、これには天候がじゃまをしていて、作業したいときには出来ないという状況に妨げられています。


 ちなみにこの日は天候は午前中晴れで、サンセットビーチもボランティアでいっぱいでした。ビーチにもたくさん打ち上げられています。


その後の報告

Back to Home





takaya@mitene.or.jp