水道局の義務と責任( 2003.12.24 )
 例えば「どうも自分がいつも飲んでいる水道の水に異物が混入していると思われる。」としたら、皆さんはどうしますか。ここしばらくどうも体調が悪い。日々の生活を省みても今一つ心当たりがない。ところがある日、田舎のうまい水に慣れた知り合いが家にやって来て、水道の水を飲もうとした瞬間に「この水なんか変だぞ!?」と言われた。さて、皆さんならどうするでしょうか。

 多分水道の利用者としてベストなのは「実際に水道水に薬品などが混入している事を科学的に確認し、問題がある場合は水道局に訴えて改善を求める。」という事になるだろうと思います。しかし実際問題として皆さんそれってできますか?。かなり無理ですよね。まず水道水を客観的に分析してくれる知り合いとか機関なんて物に当てがある人が少ないでしょうし、例え結果が出たとしても今度はそれをどうやって訴えるかで悩むはずです。そんな面倒な手続きは端折って、取りあえずインターネット上で噂をばらまく・・・そんなの自分にどんなデメリットがあるか分かったもんじゃないです。つまり一般的に考えれば“泣き寝入り”というのが最も現実的な選択肢になるだろうと思います。

 じゃあ、皆さんはそれでもその水道水を飲み続けるでしょうか。昔みたいに水を入手する手段が乏しかった頃ならともかく、今は飲み水はお金で買える時代です。浄水器で浄水して・・・という選択肢もあるでしょうが、でも一度異物というか毒物が混入しているという疑いを持ってしまった水を、そこまでして飲む事に抵抗感を覚える方も多いでしょう。まあ恐らくは多くの方々が「水道水を飲まない」事を選択するでしょう。家事とか洗濯には使っても飲み水にはしない。あるいは井戸水といった別の手段ですべての生活用水を得る。そういう動きになるだろうと思います。

 今回なんでこんな話を書いたのか。実はこの話って Magic 辺りにもそのまんま当てはまったりするからです。既に一部のデュエリストは“最近出る Magic のカードには遊ぶ魅力が無くなっている”と感じています。つまり今まで好きで飲んでいた水道水に異物の混入を感じ始めた訳です。実際にその異物混入を客観的に証明する事は至難の業ですし、万が一できたとしてもメーカーや他のプレイヤーから「それはあなた個人の主観ですね」と言われて話が終わってしまうかも知れません。ただある個人が新しく発売される Magic を遊びたくないと感じた。これもやはり純然たる事実な訳です。じゃあそこでどうするのか。多くのデュエリストは“黙って水道水を飲まないようにする”事を選択するのです。それはいくら水道局が「この水は安全です。昔と変わらないおいしさですよ。」と言ったって無理なのです。利用者個人が水道水への異物混入がある事を証明するのが困難なのと同じように、水道局が水道水への異物混入が完全に無い事を証明するのも難しいのです。我々はそれを「この水道局が作っている水道水は安全だろう。異物混入なんてあるはずがないよ。」という信頼関係によって納得して飲んでいるのですが、その信頼関係が一度崩れてしまえば建て直しは極めて困難になります。それは昨今の食品衛生に関する事件や事例にも良く現れていますよね。

 少なくとも昔の Magic は、開発スタッフがおかしな能書きを垂れ流すなんて事をしなくても、作り手と遊び手との信頼関係がきちんとできていたはずです。だから満足な販促やユーザーサポートが無くても日本や世界で広まったのです。ところが最近はご存じのような体たらく振りで、しかもそういう現状を知ってか知らずか、なんかWoCスタッフの能書きというか言い訳じみたコメントがやたら出てくるようになりました。でもそういう動きが水道局と利用者との信頼関係の構築や修復にはあまり貢献していない。これが紛れもない事実です。そもそも実際に送られる水道水を飲んで「まずい」を連呼する方がこれだけ大勢現れるのではお話にならないんですって(笑)。今水道局がやるべきは、言い訳でも何でもなく“誰が飲んでもうまいと感じる水を送り続ける”事以外にないのです。たまに思い出したようにうまい水を送り、でもその数ヶ月後には何か色も匂いもおかしな安物の清涼飲料水みたいな水を送り出す。しかも本人達は反省するどころか「どうだい、こんな味の水もたまにはいいだろう?」とか自慢げに言い出す始末。これじゃあ利用者が水道局を信頼できなくなって当たり前なのです。でもそれに対するクレームを客観的に言うのは難しい。だから多くが“黙って Magic を去る”事を選択しているのです。

 あ、ちなみに言うと、水道水に対する印象や敏感さというのは、個人の体調などによってもかなり変わるようです。同じ水道水をある日突然まずいと感じ始めたというケースを実際に私も伺っています。確かに味覚なんて物は個人差があり主観の問題なのですが、それ故逆に作り手側が細心の注意を払うべき部分でもあったりするんですよね。




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