かなり前から、福井のデュエリストの間では「最近のWoC(のカードデザイナー)は、カードデザインにおいて数学の検証どころか算数の計算すらできていない。」という風評が出ています。そして今回、それを如実に証明するカードが Darksteel に収録されるようです。とりあえずこの2つの“リバイアサン”を比較してみましょう。Eater of Days(DKS)
(4)
アーティファクト・クリーチャー−リバイアサン(レア)
飛行、トランプル
Eater of Days が場に出たとき、あなたの次の2ターンを飛ばす。
9/8Leviathan(DK/4E-5E)
(5)(U)(U)(U)(U)
クリーチャー−リバイアサン(レア)
トランプル
リバイアサンはタップ状態で場に出、あなたのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。あなたが島を2つ生け贄に捧げないかぎり、リバイアサンは攻撃に参加できない。
島を2つ生け贄に捧げる:リバイアサンをアンタップする。この能力はあなたのアップキープの間にしか使えない。
10/10
まず召還コスト。マナに関してはもう比較のしようがない位 Eater... の方が軽いです。その差額が果たして“−1/−2のパワーダウン”と“次の2ターン”程度で埋まるのか、この時点でもちょっと疑問ではあります。更に Eater... はパワーとタフネスが減った分飛行を得ている。これは Eater... のコストの軽さを考えれば単純にパワーアップでしかないでしょう。 そして何よりも決定的なのが“ Eater... はアンタップ状態で場に出て、次に更にアンタップするためのコストも必要としない。”という点です。 Leviathan は1度アンタップして攻撃するだけで島を4枚も要求します。土地4枚というのは基本的には4ターンかけないと場には置けない訳で、そのデメリットがなぜか Eater... には全く盛り込まれていません。やはりどう考えても Eater... は Leviathan の上位互換で、それもバカみたいにコストが軽くなって能力が増している。そう考えて間違いはないと思います。
ちょっと思い出してみて下さい。皆さんの周りにも、かつて Leviathan の熱心なコレクターや信者がお1人位はいらっしゃったんじゃないでしょうか。そういう人達がこの“どう考えても旧タイプより優秀な新人”を見て、果たしてどう思うでしょうか。我々はそういう使うのに何とも苦労が要って、それで1回でも殴れれば優越感に浸れる。そういうクリーチャーを使いたくて Leviathan を使った、あるいは Magic そのものを遊んできたのではないでしょうか。それは例えばかつての Juzam Djinn(AN) と Grinning Demon(ON) の関係でも言われてきました。何度か言っているように、要するにWoCは「古いカード、あるいはそれが好きな奴は Magic の世界には不要だ。」という姿勢で今は一貫しています。じゃあそういう昔の人気カードの上位互換を出して、それで Magic は昔に負けない人気や市場の活況さを得ているのでしょうか。もしそれができているならば、私が書くこんな愚痴や戯れ言を読みに来る人などこの世に現れないでしょう。
それと私はこの点が特に気になるのですが、なぜ最近のWoCは昔のカードデザイナーが Leviathan にこれだけのデメリットを入れたのか、その思想がそもそも分かっていないんじゃないでしょうか。なぜ Leviathan はタップ状態で場に出なければいけなかったのか。それは“その裏のターンに無敵のブロッカーになるのを避けるため”なのです。ところが Eater... にはそのデメリットすらありません。確かに Eater... が出た後の2ターンは対戦相手のターンになります。しかし昨今の中堅クリーチャー全盛の Magic において、9/8飛行の壁が待ちかまえている相手に一体誰が殴りかかれるというのでしょうか。 (^^; 昔のカードは特に“勝ち手段”となり得る物には明確なデメリットがありました。それがどういう訳かこのカードにはほとんど無いんですよ。
そして Magic はその題材となったクリーチャーや呪文の世界観をもしっかり、そして見事にゲームに取り込んでいたのです。だって Leviathan のカード能力って、それこそ見事なまでに Leviathan というクリーチャーを体現しているじゃないですか。それに比べて Eater... って、なんか“名前だけリバイアサン”という印象が私には強いです。はっきり言いますが、あのカード能力をいくら読んでも Eater... がリバイアサンを名乗る理由が見当たらないのですよ。
どうでしょう。私がここに書いた話って、過去の Magic の常識に照らし合わせてそんなにおかしいでしょうか。こんな当たり前の検討がWoCの内部では行われていない。そしてそれ故 Magic が人気や売り上げを落としているように私には見える。私はそういう当たり前の話をこうして書いているだけなのですが。でもねえ・・・良いのか悪いのかは別にして、こういう Eater... クラスの分かりやすいクリーチャーって、特にお子様には大人気間違い無しなのよね(爆)。