エネルギーの無駄遣い( 2004.2.1 )
 かなり以前からHJの掲示板辺りで“遊戯王バッシング”とも見て取れる動きが見られます。意味不明の人気投票を行って Magic の優位性を声高に叫んだり、とにかく遊戯王OCGの悪口を言う事で憂さを晴らそうとしている。これについては私の周辺でも「なんかお寒いですね。」とか「こんな状況じゃあ、いよいよ Magic は終わりでしょう。」といった意見が支配的になっています。私が書いたここ最近のエッセイでは、そういう主張の不毛さとか無意味さといったお話を書かせて頂いています。そこで今回は更に見方を変えて“そういうバッシングによる Magic プレイヤー自身が被るデメリット”について触れます。

 前から書いていますが、今や日本国内のショップは遊戯王OCGやデュエル・マスターズといった国産(!?)TCGによってその売り上げの多くを上げています。2003年3月期決算において、日本を含むアジア地域での遊戯王OCGの売上は約135億円。デュエル・マスターズは日本国内だけで約44億円を売り上げました。これに対して2003年3月期の Magic は、私個人の試算で日本国内での売上が約20〜30億円位でしょうか。その他の国産TCGの売上が合計で Magic と同程度あるとすると、国内シェアに占める Magic の割合は10%台半ば〜後半という感じです。(すべてメーカー及び代理店出荷額ベースで試算。)つまり言ってしまうと“それなりに重要であるが無くなってもさほど困らない”程度の割合かと思われます。少なくとも言えるのは、どう考えても販売店にとっては Magic よりも遊戯王OCGやデュエル・マスターズの方が商材としては重要なのです。

 じゃあ、例えば今行われている遊戯王バッシングがまかり間違って成功してしまい、日本国内から遊戯王OCGを扱うショップがすべて消えたとしましょうか。 (^^; するとTCGショップは売上の半分以上を上げていた商材を失い、まあ間違いなく多くが休業に追い込まれるでしょう。実際21世紀に入ってからアジア地域での遊戯王OCGの落ち込み振りは凄まじいもので、それ故多くのTCGショップが姿を消しているはずです。それが更に数を減らす。そうなるとショップによるサポートやイベント開催によって維持されるTCGというゲームは、間違いなくシステム的に瓦解します。それは Magic とて例外ではないのです。

 そしてこの“TCGを売る店が減る”というのは、実は Magic にとっては由々しき大問題なのです。 Magic って自身で知名度アップのために何か施策を取るという素振りが相変わらず見られませんし、それこそ昔のように個人間での口コミに未だその販促手段の相当部分を依存しています。その販促手法の半ば拠点となるTCG販売店が無くなる。別に販促や知名度アップの手段を販売店に依存していない国産TCGはさほど問題ないんですよ。それは遊戯王OCGやデュエル・マスターズがコンビニでもちゃんと売れている事実を見れば明らかです。でも Magic にとってこれはまさに死活問題となるはずです。

 ただ、実際にはその程度のバッシングで遊戯王OCGはどうにかなる物ではないでしょう。実際問題として、今や Magic に比べて遊戯王OCGの市場規模やプレイヤー人口は、世界的に見ても圧倒的多数派なのですから。 (^^; ところがそんな中で一部の Magic プレイヤーが遊戯王バッシングをやめない。そういう状況を“今やデュエルルームで多数派を占める遊戯王OCGやデュエル・マスターズのプレイヤーがどう思うか?”という事です。まあ間違いなく快くは思わないでしょう。そうなると全く関係のない Magic プレイヤーがデュエルルームで肩身の狭い思いをする事になり、結果として Magic から離れてしまうのです。つまり今行われているバッシングは、どこをどう考えても Magic のためにはならないのです。

 ちなみに言うと、上に書いた“国内TCG市場におけるコナミ傘下のTCGのシェア”は、2004年3月期においては更に比率を増していると思われます。ですからどう考えても“ Magic プレイヤーはコナミブランドTCGのユーザーに喧嘩を売るべきではない”という事です。今や日本国内のTCGショップは、その売上の多くを遊戯王OCGやデュエル・マスターズから上げ、TCGに対するサポートの経費もそこから捻出しています。しかも Magic は販売数量においてはシャーマンキングやガンダムウォー、更に最近ですと金色のガッシュ辺りにも抜かれている弱小TCGタイトルの1つだと思われます。そんなマイナーゲームのユーザーが、知名度も市場規模も圧倒的なメジャーゲームのユーザーに喧嘩を売る。こんな無意味かつ馬鹿げた話は普通ないですよ(笑)。

 でも Magic だって、かつてはTRPGといった他の趣味を楽しむカテゴリーの中から火が付いた。そういう歴史を持っています。これだけWoCやHJが Magic をメジャーにする努力をサボっている以上、ユーザーは Magic がマイナーであること、他のゲームの恩恵で遊べる環境が維持されていることを、改めて認めてもいいんじゃないでしょうか。だって皆さんにとって Magic とは“このままで終わるようなゲームじゃない”のでしょう。今はそういう不遇を甘んじて受けよう。しかし今に見ていろ・・・そういう反骨精神が Magic プレイヤーに残っていれば、この先 Magic が再び盛り返す芽はまだあるんじゃないですかね。




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