精神論で人は動かない( 2004.4.12 )
 1日が24時間(=1440分であり86400秒でもある)と決められている以上、人間が1日という期間にこなせる仕事量には自ずと限界があります。

 こういう時によく、ある種お決まりの精神論を持ち出す方がいます。限界というのは個人がそう思い込む事で生まれる物だ。だから限界を限界だと思わなければ限界は限界でなくなる。まあ要約するとそんな感じでしょうか。その論旨そのものを私は否定しませんし、人間の生き方としては素晴らしい方向性だろうと思います。ただそういう精神論が時として“雇用側が社員により多くの仕事をさせようとする”際に持ち出されるのですが、これはかなり次元の違う話ではないかと思われます。ましてや給与や待遇を全く改善しない、あまつさえ不況を理由に減給までしておいて、それでこの手の話を持ち出されても、さすがに聞く側は「申し訳ないですが、寝言はお宅の布団の中でだけにして下さい。」とか言いたくもなります。 (^^; これと同様の理論に「仕事なんだから文句を言うな」「給料もらってるんだから与えられた仕事はこなせ」というのがあります。でも現実にはそうやって“できる社員”に多くの仕事を詰め込み、その結果としてリストラで希望退職を募った途端に“できる社員”からやめていく。そうやって日本の多くの企業は自らの体力を弱めていったのです。

 あと人間の行動には“優先順位”という物があります。最近になって大手の Magic サイトが相次いで休止を発表されています。開店休業状態のサイトを合わせると、その数は全体のかなりの比率を占めていると思われます。それは要するに「 Magic という遊びの優先順位が以前に比べて下がっている」事の何よりの証なのです。それはなぜなのか。単純に“面白くないから”と考えるのが一番分かりやすいでしょう。本当に Magic がどうにもやめられない位面白いゲームであれば、仕事がどれだけ忙しかろうが個人の事情がどれだけ逼迫していようが、やはり遊んでしまうものなのです。ただしこれには運の要素も多分に作用しますが。実際に私だって、福井の仲間が DarkMagic を提案してくれなければ、今頃はそれこそ完全に Magic から縁を切って・・・になっていた気がしますし。

 じゃあ、一個人により多くの仕事を詰め込む、言い換えると個人のキャパシティを増やすにはどうすればいいのか。それは何よりも仕事なり Magic なりを“楽しいと感じさせる”工夫が必要になるのです。仕事が本当に楽しいと感じられれば、それこそ適当に何とか飯が食える程度の報酬でも人はガツガツと仕事をします。それは Magic といった趣味にしても同じです。結局のところ Magic も多くの日本企業と同じで「特に頑張ったヤツにしかご褒美は出さん。だから頑張れ。」という形で、ひたすら社員(ユーザー)の尻をひっぱたく事しかやってこなかったのです。だから日本経済が疲弊して低迷したのと全く同じ理由で今や低迷している。多分そういうことです。

 少し前から日本の Magic 界で起こっていることと、最近になって私の近辺で起こっていること。その根っこがあまりにも似通っていて、しかも両者とも改善される気配がない。そういう状態をちょっと私自身、今は半ば呆れ顔で眺めている部分があったりします。 (^^; 本当成功事例って探すのが難しいのに、この手の失敗事例ってそれこそ石ころ並にゴロゴロ転がっているのが何とも嫌〜な感じです(笑・・・えない)。




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