TCGとヲタクの関係( 2004.5.5 )
 ゲスト板でご紹介した“ヲタクの定義”を読んで、ちょっと思った事などを。

 実はこれを読んで、個人的に「TCGって本来、ヲタクに手を出されないように売られるべきゲームなんじゃないか?」という結論に至りつつあります。ヲタクが社会性を持たない閉鎖的な情熱によって動いている。これは多くの人達にも感覚的に理解される認識だろうと思います。しかしTCGというゲームは本来、プレイヤーにかなり高いレベルの社会性を求めるゲームなのです。それはトレードにしてもそうですし、デッキのスパーリングにしてもそうですし、もちろんイベントでの立ち振る舞いに関しては言うまでもありません。目の前の相手に不快感を与えない身だしなみや躾を心がけ、お互いが気持ちよくトレードを成立させられるための交渉術や話術を身に付け、そしてゲームを楽しむという前提に立って対戦に臨む。こんなの今更言うまでもなく基本であるはずなのです。つまり本来TCGという代物は、ヲタクにとってはかなり敷居の高いゲームのはずなのです。ところがどういう訳か最近のTCGは、かなり安易にヲタクが遊べてしまう代物になりつつある気がします。トレードなんて成立しないし不要だから交渉なんて起こらない。大会に出れば対戦相手は自動的に割り当てられるから声掛けも要らない。対戦が始まれば一人遊びのデッキをグルグル回すだけなので会話も不要。TCGがこういう状況になってしまうと、社会性を持たないヲタクであっても堂々とTCGが遊べてしまうでしょう。そして実際に一部はそうなっている。そんな気がしませんか。

 ただどうでしょう。例えばあるカードの収集にのめり込んでTCGを買い始めたヲタクが、そのカードをより多く集めるためにイベント会場に顔を出すようになる。そういうきっかけからヲタクに一端の社交性を身に付けさせるという意味で、実はTCGというゲームが貢献できる機会は本来かなり多いはずです。しかもそうやって出掛けたイベント会場に女性プレイヤーがそれなりにいて、それで自分の身なりの悪さや発した奇声に嫌悪感を持たれる。そういう痛烈な経験をすればヲタクだって色んな事に気が付くと思うのです。さすがに完全に社会性を失った“終わってる人”に期待する物は何もないですが (^^; 普通はどんなヲタクでも多少の社会性は残しているでしょうし、異性への興味もあるでしょう。別に個人の性根が変わる事は期待しませんし、ヲタクを迫害する気もありません。それは結果として自己否定につながりますので(爆)。ただせっかくTCGという社会性の高い遊びに手を出すのであれば、その魅力をより感じられる取り組みをして欲しいなあ、と思うだけです。

 ちょっと小耳に挟んだ噂なのですが、何でも最近某TCGのプロツアー予選なるイベントは、決勝をファミレスでやるのが通例になってるらしいですね。 (^^; そういう“マイナー癖”とか“貧乏くささ”が一度染み付いちゃう、あるいは大部分の参加者がそれで納得してしまうと、それが当たり前になってしまってなかなか変わらないでしょう。でも仮にも世界規模で開かれる賞金がかかったイベントの予選を、主催者側が最後まできっちり行える会場を確保せず開いてしまっている。これはさすがに本来なら異常事態だと思います。そういう一般世間との感覚の違い、あるいは一般常識と照らし合わせた時のギャップというのは、やはり社会で色々な競争相手に揉まれて肌で知るしかないのです。ところが某TCGの世界には外の世界を見ない人が少なくなくて、一般常識から見ておかしいと思われる事がまかり通ってしまっています。そんなの今更言わなくても皆さんご存知ですよね。だから某TCGは一般受けしなくて売れなくなった。そういう事ではないかと思うのです。TCGとヲタクの関わりもこれと同じなんじゃないでしょうか。そりゃあ某巨大イベントでは、周囲は見渡す限り自分と同じヲタクしかいないから構わないと思います(笑)。でもTCGの世界はそうじゃない・・・はずなのですが。

 そういう意味で言うと、マンガやアニメの話題性で多くのファンを得ているTCGよりも、そういうメジャー路線から逸れたTCGの方がヲタクが寄りつきやすい。そういう見方はできるかと思います。繰り返しますが、別に私はTCGからヲタクを閉め出そうなんて気はさらさらありません。ただ本来TCGというゲームの世界が正常に機能した場合、そこにヲタクという人種はある種の住み難さを感じるはずです。またそういう感覚を持たれるようにTCGは売られるべきなのです。少なくとも「今日はあのゲームのイベントだから、ちゃんと身なりを整えて遅刻しないように行かないと・・・。」という感覚を参加者に持たれる状態にはすべきでしょう。そういう社会性を備えたTCG、あるいはゲームにしか真の成功は獲得できないはずですので。




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