信じた者が騙される( 2004.6.3 )
 以前この日誌で“水道”のお話を書いたのをご記憶でしょうか。我々はほんの少し前まで、企業やお役所といった組織は“ちゃんと仕事をしている”という前提で物を見ていたと私は記憶しています。しかし最近はこれが全く逆で、むしろ“ちゃんと仕事をしていない”という前提で物を見るようになっています。組織がちゃんと仕事をしていると世間に見なされているご時世であれば、組織が出すアウトプットが例え一部の人達による密談により出された物でも、それが結果として良い物であれば誰も文句は言わないだろうと思います。ところが今これだけ組織に対する信頼が薄れていると、やはりそのアウトプットを生み出す課程から公開する、あるいはその課程に外部の意見を取り入れないと、真の信頼や成果は得られないはずです。

 そういう組織が物事を秘密裏に進めるケースを見ると、概ね“利用者の利益を最優先には考えていない”ケースがほとんどです。何よりもまず自分達の利益や権威を確保したい。とにかく組織を存続したい。誰かが持っている覇権を奪いたい。極端な話エゴを押し通したい。だから表立って自分達の方針や思想を世に出せないのです。だって出した瞬間に周囲から叩かれるのは目に見えていますから。しかしそういうコソコソやってる人達が狭い視野で考えたアイディアなんて、まあ大抵の場合高が知れているのです。で、実際問題として実行してみたら色々問題があって破綻する。ここ最近もそういう失敗事例を我々はいくつも見ているはずです。

 世の中には“捨てる神あれば拾う神あり”という言葉があるように、それでもその組織を信じて着いて来てくれる人がいます。ところが現実には、そういう人に本当の意味で報いる方針や施策を、多くの組織が打ち出せない、あるいは打ち出そうともしないのです。そりゃあそうでしょう。その中にいる人達は“自分達の利益”しか考えていないのですから。だから自分達を信じて商品を買ってくれるお客さんに、平気で欠陥商品を売ってしまえるのです。本来はそういう組織は世の中から淘汰されるべきなのですが、どうもその辺お客さんの方が甘かったりして、結果として生き残ってしまう組織も少なくないようですが。

 情報や自分達の考え方を公開する事には、実に様々なメリットがあります。最近いわゆるオープンソースによって開発されるソフトウェアが増えていますが、これがまさにその典型といえるでしょう。多くの知恵を集めてそこからより良い物をチョイスする。それだけでアウトプットのクオリティは格段に上がるのです。またそうやって組織と個人を身近な関係にすれば、それこそ無償あるいは手弁当で組織を応援してくれるボランティアも大勢現れるのです。ただし、そういうやり方がいつもうまく行くとは限りません。例えばSEGAのバーチャファイターなんかは、鉄人と呼ばれるゲーマー達をゲーム開発に参加させた事でろくでもない結果を招いてしまいました。 (^^; ただそれはある意味“SEGAと鉄人達が密室で物事を決めていた結果”だったりするので、今回の事例としても実は異質な物ではなかったりするのですが。まあ「俺が使うキャラを強くしてくれ!」なんて懇願をする鉄人をゲーム開発に加えて、まともな物が出来上がるはずもないでしょうが(笑)。

 今まで散々密室談義を重ねてうまく行かなかった組織が、現状を打破すべく形を変えメンバーを変え、でも結局のところ相変わらず密室で物事を決めようとしている。それって私に言わせると“何も変わっていないのと一緒”です。そんな密室で決められた物事が、現状の不振あるいは不信を打破する起爆剤になるとは、私には到底思えませんね。それじゃあ旧体制がやってきた事を到底批判できないし、結局何も変わらないし変えられない。少なくともその事には気が付くべきでしょう。大抵そういうやり方は、物事を更に取り返しのつかない泥沼に落とし込むのが関の山なのですから。でも本当にその事に気が付くべき組織(あるいはその責任者)なんて、それこそ人の意見なんて読んでないんだろうしなあ。 (^^; ちなみに今日実は“お役所”なる場所に行って来たのですが、最近のお役所は実に親身になって話を聞いてくれるようですよ。病院側の事務手続きにミスがあったのに気が付いて連絡までしてくれて、二重払いになっていた医療費が3万円も戻ってきましたので。 (^^)v 

 ・・・あ、全然本編とは関係ないのですが、ここまで読んで下さった方にお知らせ。うちは数日中に“プチ”リニューアルするかも知れません。具体的には本館ではなく別館なのですが。最近手を入れてなくて雑草生え放題だったので (^^; 草刈り&掃除のついでに少し新種の花を植えてみようかと思っています。現在その“花”はある方に依頼してあるので、もう少ししたら届く予定です。




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