Magic の売られ方( 2004.9.8 )
 私が巡回している2つのTCGショップさんの日記で、同時期に Magic の Standard 落ちに代表される“昔のカードを使えなくする事の是非”という問題提起がなされています。今日はこれについて私個人はどう考えているか、というお話を書いてみます。

 まず1つ。少なくとも Magic は「このカードセットは○○年○○月を以て Standard フォーマットでのサポート打ち切りを予定しています。」という明示をして売られている物ではありません。またGAMEぎゃざなどの広告媒体においても、新たに発売されるカードセットの情報はあっても、以前に発売されたカードセットの Standard 落ちを数ヶ月前から予告する措置はないと思われます。 Standard 落ちという措置はあくまでメーカーの事情による物で、どこをどう考えてもユーザーの利益になる物ではありません。ましてや絶版カードの再利用法の紹介なんて、発信される情報の何%を占めていますかね。もし Standard 落ちが本当にユーザーの利益になる措置であるならば、逆にメーカーは Standard 落ちを大々的にアピールする、あるいはできるはずでしょう。少なくとも現状の Magic の売られ方がユーザーに不親切であるという事実は誰の目にも明らかなわけで、これはやはり改善されるべき物でしょう。

 それと何よりも“それで Magic はうまく行っているのか?”という問題があります。実は今日、帝国データバンクの最新情報を調べてみたのですが、平成16年3月期決算においてHJは、その売上を前年度の50億円台から、なんと30億円台にまで大幅に減らしています。(嘘だと思うならご自身で検索をかけてみて下さい。ただし情報量が480円ほどかかりますが。)ただPHの平成15年7月期決算は、その前年度からほとんど減っていないので、この売上減はそれ以降に発生していると思われます。巷では「日本の Magic はミラディン発売で持ち直した」とも言われていたのですが、こうなると「あれはどこから出たデマだったんだ?」 という感じです。 (^^; 単純計算すると、HJ出荷額ベースでの日本国内の Magic の売上は、多く見積もって10億円〜15億円というところです。これは出荷額において同期のデュエル・マスターズの1/10程度、販売パック数にすると5%程度しかない計算になります。全盛期と比べると1/5とか1/6という感じでしょうか。つまり“どこをどう見てもうまく行っていない”のです。しかもこれで日本が Magic において相変わらず“米国に次ぐ世界第二位の市場”だとすると、世界的に見た Magic の市場規模もかなりたかが知れているでしょう。

 だからといって、私はその事で Standard 落ちという発想を完全否定する気はありません。でも少なくとも現状がうまく行っていない事を関係者が認め、そして何らかの打開策を取る。そういう気運がいい加減に Magic には必要だろうと思います。競技しかさせないから、競技から脱落したユーザーやカードを救えない。これが多分日本あるいは世界の Magic の現状だろうと思います。繰り返しますが、私のこの話は“公開情報に基づいて”書かれた物です。それをあなたがいくら主観や感情論で払拭しようとしたところで、現実に日本の Magic は確実に売れなくなっている。あなたが今後どういう形で Magic に関わろうが、この事は絶対に忘れないで欲しいと思います。




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