誰が種を蒔くか( 2004.11.24 )
 これは以前から書いている意見ですが、ある業界が人を育てて業界の更なる繁栄とか発展を期した場合、やはり“その業界内で一番儲けている組織なり個人が資金や手間を出す”のが当たり前である。これが私個人の見方です。例えば将棋の世界では基本的にそれで最も利益を得ているのは連盟と棋士個人だろうと思います。だから連盟が主催したイベントに棋士がやって来て初心者育成に汗を流す。ちゃんとそれができていますよね。囲碁ではここに碁会所という仕組みが加わるのですが、これもちゃんと機能しているように見受けられます。例えばヒカルの碁の影響で低年齢層に急激に囲碁が普及した折りも、ちゃんとそういった仕組みが機能して多くの新人碁打ちを受け入れていました。昔、私が Magic に関して「プレイヤー育成にHJはもっと尽力すべきだ。」と言ったのもそれが理由ですし、最近HJに対してはその手の文句を言わなくなったのも同じ発想からです(笑)。

 じゃあ例えば遊戯王OCG辺りはどうなのか。どうも伺い聞く限りでは「相変わらず販売店が開くイベントにおんぶにだっこ状態である。」という印象が強くあります。しかし果たして今現在、遊戯王OCGで最も儲けている組織って販売店なのでしょうか。多分違いますよね。少なくとも日本国内の遊戯王市場には一時期ほどの勢いがなく、むしろ更に多くの販売店が撤退を検討しているであろう状況ですらあるはずです。だとすれば、もうそろそろ遅ればせながらでもメーカーがユーザーの育成に乗り出す、あるいは自らが資金や手間を出す時期に来ているだろうと思うのです。でもこれに対するメーカーの回答が“遊戯王OCGのオンライン化”であるとしたら、さすがにそんなゲームを頑張って売ろうなんて販売店は現れないでしょう。もし本当にそういう事態になれば、それこそ見事なまでに Magic の後追い自殺になると思われますが。(ただしTCGのオンライン化に関しては、どうやらアクエリアンエイジも実現に乗り出し始めたそうですが。)

 私は自身がおもちゃ屋でミニ四駆とか Magic を売っていた時代があって、その頃は毎月コロコロコミックなどを購読していました。あの本には確かユーザーに対してマナーやモラルといった物への啓発がかなり多く書かれていた記憶があります。で、実際問題として私が主催あるいは運営に関与したミニ四駆の大会には、それこそ100名を越える参加者が集まることが普通だったのですが、でもそういう面で運営上の問題が起こるケースはあまりありませんでした。しかし少年ジャンプってそういう情報にはほとんど触れていなさそうですよね。実はこの2誌のユーザーに対する姿勢とか啓発内容の差が、そのまま大会などの雰囲気を相当部分決めてしまっている。そういう見方はできないでしょうか。確かにその辺の内容を少年ジャンプに掲載できるか・・・というと、かなり難しい問題ではありますが。

 ただ、こんな事はそれこそ“プロ”と名の付く人達がいる多くの業界では普通に行われているのです。(“すべての業界では”と言えないところがつらいですが。 (^^; )つまり言い換えると「遊戯王OCG辺りには販売のプロ、あるいは遊びを盛り上げるプロがいない。」という事になるのではないかと思います。これってほぼ大部分のTCGにも同様に言える気がしますが。本当に販売店にちゃんとした商品の売らせ方をさせたいのであれば、例えば稲葉製作所のように販売店スタッフを交通費&宿泊費を自社が負担してどこかに集めて・・・なんて事すらやっている企業もあるのですがねえ。




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