お見積は無料( 2004.11.26 )
 今回は「HJが一連の雑誌出版で、果たしてどの程度の売上を出しているのか?」という推定をしてみよう、というお話です。ここで私が使うデータは、今回もほとんどがインターネット上などで集めた公開情報に基づいています。

 社団法人・日本雑誌協会がWebサイト上で発表している、2003年度分の雑誌の発行部数(ただし基本的にメーカーからの自己申告数)があります。ここにはHJが発行している3つの雑誌に関しても毎月の平均発行部数が明記されています。(具体的な数字はご自身の目でお確かめ下さい。)なんでも実際の印刷部数は「平均するとこの自己申告数の7割弱になる。(日本雑誌協会のコメント)」そうなのですが、中には印刷部数の実態が自己申告数の1割程度しかない物もあるらしいです。 (^^; それで仮にHJの3誌がその平均値にあるとして、あと1冊当たりHJに入る売上が定価の50%程度と仮定します。(広告収入とか返本率などの詳細データが不明のため、この部分は完全な仮定です。)すると3誌の合計で、2003年度のHJの売上は約25億円ちょっとという試算になりました。この数字はデータ処理の過程を見ると、現状では多少低めに読んだ数字かとも思われます。で、同じ2003年度のHJ全体の売上は約30億円です。(これは帝国データバンクが有料で公開している企業情報より抜粋しています。)

 私が試算した数字が実態をある程度正確に反映しているとすると、実は今やHJの売上の5/6が雑誌出版関連ということになります。言い換えると“HJ経由の Magic は数億円程度しか売れていない”という事になってしまうのです。 Magic 関連の売上がそれでも10億円オーバーとか20億円程度あるとなると、逆に今度はHJが自己申告している雑誌の発行部数がかなり疑わしくなることになります。下手すると発表している数字の半分、あるいはそれ未満しか発行されていないとか。雑誌ではこの数字を元に広告掲載料などが決められており、それはそれで出版社としては多少なりとも問題があるでしょう。まさか所得をごまかしているとは考えられないですし(笑)。ただしある大手書店のランキングを見る限り、少なくともホビージャパンという雑誌は“週間ランキングの上位に食い込めるくらい売れている”ようです。1つの書店チェーンだけで3000冊以上売れているのですから、全国的に見ればHJの自己申告通りに売れていると考えても別に不思議ではないと思います。

 HJが対外的に発表している数字で虚偽の申告をしていないとすれば、現在HJ経由で売れている Magic の売上額は、今やブロッコリーのTC部門の総売上額と同等か、下手するとそれを下回ることになります。 Magic ユーザーからしてみれば「 Magic は並行輸入で売れている分があるから・・・」となるのでしょう。でもそれでは普通の販売店に Magic の売上が入っていない可能性が出てきてしまいますから、販売店のデュエルルームを Magic プレイヤーが気軽に利用する、あるいは販売店が Magic のイベントを開こうといった雰囲気が失われる危惧が多々あります。あと日本国内での Magic のプレミアイベントって、その大部分がHJ主催ですよね。その母体企業がどうも Magic で満足のいく売上を出せていない。これは Magic という業界全体にとって由々しき問題だろうと思います。対外的に公開されている数字だけを使った試算でも、今や日本国内の Magic 市場の低迷はかなり明らかだと思われます。私個人の試算では「全盛期には50〜60億円近くあった売上が、今や数億円にまで減っている。」という感じです。さすがにここに来てこの状況を挽回する策はほぼ無い気がしますので、今後は“今程度の市場をいかに死守するか”あるいは“並行輸入でパックを買っている人達にいかにHJのパックを買ってもらうか”を真剣に考える局面に来ている気がします。HJが某雑誌をこの時期に創刊したのも、そういう出版部門の堅調さを利用して競技 Magic プレイヤーを食わせようという算段がある気がしています。それはそれである意味正解なのでしょうが、間違ってもこれを最終形あるいは理想形だとは思えないし、また思って欲しくもないです。

 あ、もし万が一この試算に疑問を感じられるのでしたら、最新版の雑誌発行部数が掲載された冊子を日本雑誌協会が有料で配布しています。こちらの方は今年から一部“印刷証明付発行部数公表”となっていますので、ご購入の上ご自身の目でご確認されると良いかと思います。これだけ販売店が Magic の衰退を実感している状況で、単なる個人の感情論にはもはや1%の説得力も生じないと思いますので。




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