進化の停滞の先にあるもの( 2004.12.26 )
 去年最後の日誌で「初売り・12月31日」なんてネタを書いたのを皆様ご記憶でしょうか。言うまでもなくこれは冗談だった訳ですが、実はそういう動きが現実に日本国内の百貨店や大手スーパー辺りで起こっているそうです。 (^^; 百貨店や大手スーパーが売り出す正月恒例の福袋ですが、これが年末のこの時期に既に売り出されているというのです。あるデパートでは通信販売にて予約販売がされているようですし、あるところでは年末から実際に店頭に並べられて売り出されるそうです。

 考えてみるとこういう動きはある意味、当然起こるべくして起こった物だったりします。今やデパートや大手スーパーは元旦初売りが当たり前になっていて、もうこれ以上の初売り初日の前倒しによる差別化はできません。そうなると次に考えられるのは福袋の中身や値段による差別化ですが、これにしてももはや限界が来ています。はっきり言うとそういうチェーン店は毎日が厳しい価格競争に晒されていて、正月だからといって思い切った値引き販売をするような余力はなくなっているのです。しかも正月に福袋を買いに来る人数には間違いなく上限があり、それを奪い合っても共倒れになるだけです。じゃあどうするのか。どうせ店側が赤字覚悟で売り出す福袋であれば、それをできるだけ効果的に集客に役立てようという発想になる。つまりほぼ自動的に“年末に売り出して話題を集め、なおかつ確実に完売を狙う。”という発想に至るのです。

 昨日放送されたある番組で「地球上の生命でその頂点に立った者は進化を忘れ、やがて訪れる劇的な環境の変化に耐えられずに滅ぶ。」という内容が紹介されていました。これと基本的な発想は変わらない気がします。進化し続けない商品や流通はやはり滅ぶのです。ただしこれは消費者やユーザーにも同じ事が言えるでしょう。売り手が新しい商品やサービスを提案してきたのであれば、それが本当の意味で自分の利益になる物かどうかを吟味し、そして必要かつ有益な物にこそ資金や時間を使う。こんな当たり前のことを我々は普通にやってきているはずですし、またできなかった商品や業界は実際に多くが滅んでいます。ただそんな当たり前なお話を、例えば具体的に「こんなやり方をしていては、このゲームはやがて滅びる。」なんて言い方で世に出すと、あっと言う間にそのゲームのファンから多くの批判が出る。ある意味それは当然なのですが、でもちょっと現実が見えていない、あるいは意図的に見ようとしていない印象も私にはあります。

 「今のままでいい」という意見は、それこそ現状の仕組みから利益を得ていて、この先の事をまるで考えていないお役人が唱えるような文言だとも思います。実際には世のほぼすべてのシステムは、自身を生存あるいは発展させるために日々変化を続けています。さもないと生き残れないからです。ただ残念な事に“変化”が“進化”どころか“退化”になってしまっているケースも少なからずあります。 (^^; 例えば某ゲームの代理店交代、あれって結果として「人気ゲームの流通にちょこっと乗っけてもらって、今後更にこのゲームの売上が減っても流通が維持できるようにしておこう。」なんて“退化”の結果だったりはしないのでしょうか。まああれだけ明確に市場から衰退のサインが出ていたのに何もしてこなかった。そのツケが溜まりに溜まった挙げ句の結果なので、仕方ないと言えばそれまでなのですがねえ・・・。




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