見えている事実との付き合い方( 2004.12.28 )
 少し前に公開したエッセイでご紹介している、タカラが新聞記事にて発表した“ Magic 販売目標額は年間25億円”という数字について。実はこの数字は、私に言わせると“タカラが何もしなくても達成可能な目標(とWoCから説明を受けていそうな数字)”ではないかと思われます。ミラディンサイクルの不人気から大きく売り上げを落とした昨年度はともかく、一昨年度やそれ以前に日本の Magic はHJ経由の分だけでもその程度は売れていると思われるからです。要は「HJの Magic 販売額が現状のような不振状態になったのは、ミラディンサイクルの不人気による一時的な物た。今は神河物語が話題になっているし、今後はその程度の売上ならタカラが何もせずとも常に確保できる。」という説明は一応成立するわけで、それがそのままタカラの目標額になった。そういう可能性があるのです。

 それともう1つ。25億円の売上から従来HJとPHが取っていた粗利は、その合計で約5億円程度と推定されます。来年以降に Magic の原価や売価が維持されるとなると、どうも今後はタカラが一社でそれを手にすることになりそうです。するとその粗利の20%、約1億円が販促の経費として使える計算になります。どこかの人気マンガ雑誌に連載マンガを掲載し、TVアニメを放映する。そういう販促活動にはその程度の経費がかかると思われます。つまりこの目標額は「この程度の売上がないと、皆さんが期待しているような販促はできないよ。」というメーカー側からの意思表示も含まれている。そう考えてあながち間違っていない気がします。

 こう考えると、この数字に対するもう1つの見方が出てきます。それは「私達タカラに Magic でその程度の売上はあげさせてください。さもないと我々は Magic に関する一切の販促をしないか、最悪の場合 Magic の販売そのものを打ち切りますから。」という事です。現状の Magic の不振を考えると、やはり現在並行輸入に流れている売上の相当部分をタカラに貢がない限り、この目標の達成はおぼつかないのではないかと思われます。しかもそれに向けてWoCやタカラは流通を改革する気はない。実際に Magic の国内価格は値下がりしませんでした。つまりWoCやタカラはもう既存の Magic プレイヤーには全く期待をかけていないか、あるいは自発的なパック購入先の変更を期待するだけで「ダメだったら切っちゃえばいいや。(俺達にはデュエル・マスターズがあるから。)」位の感覚しかもはや持っていない。その位の認識でもいいような気がします。

 要するに「国内の代理店に25億円程度の売上もあげられないゲームが、マンガやアニメによる販促でブームを狙えるはずがない。それはすなわち Magic というゲームの維持すらもままならない事に等しい。」という位の発想をユーザーが持ってもいいのではないか。これがこの件に関する私個人の見方です。過去の日本の Magic は、並行輸入のカードで武装したプレイヤーが、HJ主催のプレミアイベントで好成績を収めて賞金や賞品をぶんどっていく。そういう図式をずっと繰り返していたはずです。だから Magic はそのHJにも売ってもらえない商材になってしまった。これが紛れもない現実なのです。だったらこれを機にユーザーの意識もちょっと変わっていいんじゃないか。私個人はそう考えます。実際にどうされるかの判断は皆さんにお任せするしかないのですが。ただHJの Magic サポートサイトが今日にも閉鎖されるという事態の中で、未だにその代替サイトをタカラが立ち上げる動きは見られません。こうなると私が唱えるような悲観論をユーザーが念頭に置いた動きを起こしてもいいんじゃないか。これは過去の歴史に照らしても決して間違っているとは思えないのですが。




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