“代理カード”への私感( 2005.2.8 )
 あるショップさんの日記に“代理(プロキシ)カード”の話題が出ていたので、便乗して個人の私感など書いてみます。私個人の代理カード感というのは、簡単に言うと私個人のタバコに対する印象と似ています。要するに「自分では全く使わないし、人に勧められても使う気はない。他の人が使うのをとやかく言う気はないけれど、多用は結果として身を滅ぼすので気を付けた方がいい。」という感じです。

 私は自分でデッキを作る際は、基本的に使いそうな候補のカードをすべて手元に揃えてから話を始めます。その方が感覚的に楽だからです。で、その時点で手元にない、あるいは入手できなかったカードは“使わない”方向で考えます。それが例えそのデッキにとってどれだけ有益なカードであってもです。ただ同時に私は、より巧みなデッキ構築術の一環として、代理カードがどの位有効な物なのかは理解しているつもりです。ですから他の方がそれを使ってデッキを作り、それと私が対戦することになる、その事に関して特に違和感などは感じません。それは当然だし、また賢いTCGへの取り組み方だと思っていますので。

 ただ実を言うと、過去に私が関与して開いた Magic のイベントなどでは、代理カードの使用を認めたケースというのはほとんどありません。我々は Magic が好きだから遊んでいる訳なのですが、はっきり言うと代理カードって Magic のカードじゃないですから。これが理由としては一番大きいかな。あと基本的に我々のイベントは、多少なりとも“ Magic の拡販”を目論んで開いているわけで、代理カードはそういう流れに明らかに逆らう物ですし。 (^^; そもそも代理カードOKで Vintage の大会なんかを開くと、まあ間違いなく皆さん揃いも揃ってパワーナインの代理カードを「これでもか!」と言うほど放り込んでくるでしょう(笑)。でもそこで代理カードを認めない形にしておくと、いかにそういうカードの入手にプレイヤーが汗をかいているかとか、逆にそういう人気カードを使わないで何とかしようとか、そういう見方ができるようになります。いや冗談抜きの話、パワーナインやデュアルランドを使わない宣言しておくと、デッキのメインにその辺のアンチカードがてんこ盛りにできるのでかなり楽なのですが。 (^^; 

 TCGショップの店長が、お客さんに代理カードの使用をお勧めする。これは私に言わせるとかなり画期的なことだったりします。ただそもそもの話として、そんな事を売り手や買い手が何も考えなくても、手頃な負担で買ったパックで引いたカードから、自分が満足のいくデッキが作れて戦果も残せる、あるいは自分が好きなカードを大暴れさせられるデッキが作れる。そういう環境の方がプレイヤーにとって何倍も理想であることは間違いないのです。 (^^; 確かにプロが使うバットやグローブは性能が高いのでしょうが、わざわざそんな物を買わなくとも、我々は普通に売られている用具で野球というスポーツを十二分に楽しめるはずです。TCGもそういう業界にならないのでしょうか。

 やはり前から言っている“競技とカジュアルとのフォーマット分離”を、そろそろ真剣に考えてみてもいいんじゃないでしょうか。あとそう考えると、実はTCGって“無料のネットゲームでコツを掴んでから有料のリアルカードを”という勧め方もありなのかな、という気がしています。ただそこでは、例えばリアルカードを使ったイベントが楽しいとか、コレクション要素が豊富で買うことが素直に楽しいとか、TCGが純粋にゲームとしての魅力に富んだ商材になっていることが求められます。そしてそういう要素を豊富に持っているゲームはやっぱり売れるし、そうでないゲームはやっぱり売れなくなるのです。




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