九日日(ビビ・ハニム寺院、バザール、シャーヒ・ジンダ廟、ホームビジット〜タシケントへ地獄の移動)





Photo Time Report
  10:10  サマルカンドの最後の夜を楽しんだ我々一行は、いよいよ帰国日程に足を踏み入れました。団員の中からは「帰りたくない」という声もちらほら聞こえ始め、最後の二日間に用意された怒濤の大移動日程を睨んで「ゆっくりできるのは今日で最後」という切迫感もあってか、団内の雰囲気は否が応でも盛り上がってきました。  この日は朝からビビ・ハニム寺院を訪ねました。空の抜けるような青い色に白いモスク、青の模様が目に眩しく、シルクロード、イスラムの雰囲気が満点です。やはり暑いところは暑いときに行くものです。気温はすでに40度を超えています。

10:30  いよいよお待ちかねのバザールにやってきました。シルクロードを旅する人がある時はその商品を持ち寄り、ある時はその旅の糧を得るために、数千年の昔からあらゆるものが商いされ、流通してきたこのバザールは、シルクロードと同じ長さの歴史を持つ「市場」であると言っても過言ではありません。
 とにかく、シルクロードの「怪しい」臭いに会いたくてたまらなかった私たちにとって、このバザールはかなり満足のいく「怪しさ」を提供してくれました。
 香辛料の売場には、おびただしい種類の赤や黄色の香辛料が山と積まれ、独特の鼻を突く臭いがあたりに充満していましたし、穀物の売場には、お米のような、そうでないようなそれこそ「怪しい」穀物が袋ごとうずたかく積まれ、生きている鶏にヒモをくくったまま「商品」として「陳列」されていたり、たばこはそれこそ「怪しすぎる」濃い緑の噛みタバコが袋に入れてグラムなんぼで売られていたり、その他にも、農業用の鋤や鍬が無造作に並べて売られています。
 中でも圧巻は果物の売場です。2t車に一台はあろうかというスイカやメロンがそこらじゅうにドカンと降ろしてあり、テンコ盛りになったスイカやラグビーボールほどはあろうかというメロンの上にちょんと座って客引きをしている「怪しい」おじさん。少しスイカを切り分けて「食べてみろ」と薦めるおじさんだけど、差し出したスイカの上にはすでに無数のハエ...。群がる買い物客、売り買いの交錯する声、買った商品をワゴンで運び出す買い物客の群れ、客引きの甲高い声、突き刺すような日射し...。こんな怪しい雰囲気、そうそう体験できるものではありません。
 「誰でも商売できるのか」「この会場は誰が仕切っているのか」「どのくらいまでなら値切れるのか」などなど...。知りたいことはたくさんあったけど、ただただあのバザールの独特の熱気、雰囲気に首までつかって感心することしきりのうちにバザールの見学時間は終わってしまいました。
 「せめて半日はバザールに充てて欲しい」我が儘はほとんど言わなかった我が団の優秀なメンバーが、つい口にしてしまった数少ない「要望事項」のひとつでした。
 だって、こんなオモロイところ、20分じゃ少なすぎますよね。

11:10  バザールをあとにした我々はシャーヒ・ジンダ廟というチムールの墓所を訪ねました。いつの時代もどこにあっても時の権力者というものは壮麗な墓を造り、その墓を以て自身の権力の威光を後の世に残そうとするものです。類に漏れず、チムールが誇るこの廟もすばらしく壮麗で、ごらんのようにサマルカンドの青に染められ、照り返す太陽は眩しいばかりでした。  また、改修途中の部屋も見せてもらいましたが、簡単な足場の上でヘルメットもかぶらずに普通の格好でタイルを貼る職人さんと、その足場の下でこれもヘルメットなしで見て回る我々の関係は、日本だったら関係官庁のお叱りを受けそうな危険なものでした。でも、ここはウズベク、細かいことは全然気にしないのです。

この日の午後はサマルカンドでの最終予定、ホームビジットがありました。一般家庭の家を訪れて、生活の様子を拝見させていただくというこの企画、青年の船ならではの趣向です。毎年恒例のニーナおばさんの近況を知りたい方、この様子は
「こちら」で見られます。



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