LOREENA McKENNITT ---------- ELEMENTAL

KELLSWATER
Traditional; arranged and adapted by Loreena McKennitt

Here's a health to you bonny Kellswater
Where you get all the pleasures of life
Where you get all the fishing and fowling
And a bonny wee lass for your wife.

Oh it's down where yon waters run muddy
I'm afraid they will never run clear
And it's when I begin for to study
My mind is on him that's not here.

And it's this one and that one may court him
But if any one gets him but me
It's early and late I will curse them
The parting lovely Willie from me.

Oh a father he calls on his daughter
Two choices I'll give unto thee
Would you rather see Willie's ship a'sailing
See him hung like a dog on yonder tree.


Oh father, dear father, I love him
I can no longer hide it from thee
Through an acre of fire I would travel
Along with the lovely Willie to be.

Oh hard was the heartbreak I'm finding
She took from her full heart's delight
May the chains of old Ireland come find them
And softly their pillows at night.

Oh yonder there's a ship on the ocean
And she does not know which way to steer
From the east and the west she's a-blowing
She reminds me of the charms of my dear.

Oh it's yonder my Willie will be coming
He said he'd be here in the spring
And it's down by yon green shades I'll meet him
And among wild roses we'll sing.

For a gold ring be placed on my finger
Saying love bear this in your mind
If ever I sail from old Ireland
You'll mind I'll not leave you behind.

Here's a health to you bonny Kellswater
Where you get all the pleasures of life
Where you get all the fishing and fowling
And a bonny wee lass for your wife.

ケルズウォーター


美しいケルの流れに栄えあれ
ケルの岸辺は
人生の喜びが見つかるところ
そして豊かな魚や鳥も取れるし
かわいい少女をお嫁さんにできるのよ

彼方の水は濁って流れていく
もう二度と澄まないのじゃないかしら
その時わかったの、わたしの心は
ここにはいないあの人の上にあるの

この娘もあの娘も彼に言い寄るかもしれないわ
でも、もしわたし以外の娘が彼の心を虜にしたら
朝に夜に呪ってやるわ
愛しいウィリーをわたしから引き離すなんて

父が娘を訪れてこう言うの、
道は二つ、
ウィリーの船が去っていくのを黙って見るか
それとも彼が向こうの木に犬のように掛けられるのを見るか

ああ、優しいお父様、彼を愛しているの
もう隠しておけないわ
例え火の燃えさかる野原だってわたしは歩いてみせる、愛しいウィリーと共にいられるなら

心が引き裂かれる辛さを知ったわ
船はわたしの喜びをみんな奪い取ってしまった
お願い、アイルランドの古い鎖よ探しておくれ、
夜には優しく枕をかいておくれ

かなたの海に船が見える
舵がとれないのかしら
東に西に風に吹き寄せられて
その姿に、愛しい人に掛けられた呪いを思ったの

ああ、かなたからわたしのウィリーが帰ってくる
春には戻ると言ったもの
そしたら緑の木陰で彼に会うの
そして野バラの咲くなかで私たちは歌うの

わたしの指に金の指輪をはめて
こう言うの、"愛しい人、このことを忘れないで
もしこのアイルランドから船出をすることがあっても
決してあなたを後に残しては行かないと"

美しいケルの流れに乾杯
人生の全ての喜びが授かるところ
豊かな魚や鳥もとれるし
かわいい少女もお嫁さんにできるのよ






Loreena McKennitt Website(オフィシャル・サイト)
からmp3,wave等で試聴ができます---CD画像をクリック
アイルランドの古謡をマッケニットがアレンジした物です。古い歌のご多分に漏れず歌詞が大変わかりにくく、翻訳に苦労しました。それほど難しい文章ではないのに却って現代の文法知識に当てはまらなかったり、辞書に当たってもその用法が無かったりで、幾通りもの解釈ができて、果たしてこれでいいのか自信が持てません。もしかしたら全く的はずれな訳かもしてませんが、ご愛敬ということで許してください。余りに意味が重層的で、それこそSheが単なる恋敵の女性を指すのかそれとも愛しい人が乗って去った船を指すのかそれすらわからなくなって、古謡ならば歌詞の異本が見つかるかとKellswaterで検索しました。その結果、この歌は男性が女性のことを歌う歌であることや、もっと単純な内容であることがわかってきました。
第一聯は同じですが、第二聯から歌詞が全く違います。違う箇所を引用してみましょう。

On the hills and the glens and the valleys        Grows the softest of women so fine      
And the flowers are all dripping with honey       There lives Martha, a true love of mine.

Bonnie Martha, you're the first girl I courted       You're the one put my heart in a snare
And if ever I should lose you to another          I will leave my Kellswater so fair.

For this one and that one may court her         But no other can take her from me
For I love her as I love my Kellswater           Like the primrose is loved by the bee.

山や谷や低地には 美しく優しい女性がたくさん生まれる、 花々は蜜を滴らせ、そんなところに私の愛しいマーサが住んでいる。
いとしいマーサ、きみこそわたしが愛を告白した最初の人、わたしの心を虜にした人
もし誰かにきみを取られたら、もうケルの流れの近くには戻るまい。
こいつもあいつも彼女に言い寄るだろうが、誰もわたしからマーサを引き離せはしない
ケルの流れを愛するようにマーサを愛しているから、 ミツバチがサクラソウを慕うように……

この前後に"ケルの流れに乾杯"……の連が入ります。

マッケニット版に比べると単純ですが、これならケル川の流れに乗せて愛しい女性への思いを歌う民謡として理解はたやすくなります。反面、これでは平凡でどこにでもある歌になってしまい、Kellswaterの歌としての魅力が半減してしまうことも確かです。 女性が、一途な愛を過激なまでに、そして愛らしく熱く歌い上げることで、平凡な恋歌から一編の物語が繰り広げられる歌に変容したのは、今日のわたしたちのドラマ性への好みをよく知っているマッケニットのストーリーテラー的才能が遺憾なく発揮された結果であると思います。

Kellswaterについてのその他の資料は少ないのですが、The Traditional Ballad Indexというサイトで "Kellswater; Lover's curse"――恋人の呪いというテキストがあるのを発見。それによると、
『ある女性が、自分の愛しいウィリーに言い寄る他の女性を呪ってやると言う。父親が彼女に二つの選択を迫る、引き留めないでウィリーを遠くに行かせるか、それとも彼の死ぬのを見るか二つに一つだと。娘がこの選択を拒んで蔑むと父は娘を幽閉してしまう。ウィリーは彼女をおいてアイルランドを離れないと誓う』 作者不詳、初出が1907年。

簡単なノートにも、『Sam Henry版は視点が混乱している。ある部分は第三者の口から語られるが、女性と男性の口から語られる部分もある。多分他のテキストからの混用であろう。しかしこれによって大筋が損なわれることは無かった』とありました。
どうやらマッケニットはこの「恋人の呪い」バージョンを利用したように思われます。

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