さだ まさし

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1999,2,28 さだまさし「心の時代」ライブレポート(福井フェニックスプラザ)

 

  開演時間の6時を少し過ぎてから始まる。 

  「きみのふるさと」・「あこがれ」・「第三病棟」・「ほおずき」「朝刊」「雨やどり」「秋桜」など、懐かしい曲ばかり。

昨年のドリームツアーでも、「サナトリウム」「フレディもしくは三教街」といった初期の曲がとても懐かしかったが、今年はさらに前に戻ってグレープ時代の曲が前半の中心。

  17才の高校生の頃作った曲「あこがれ」は、若山牧水(1884-1928)の

   けふもまた こころの鉦をうち鳴し うち鳴しつつ あくがれて行く 

という短歌に影響を受けて作った曲とのこと。

  歌詞の中にも 「心の鉦を ひとり 打ち鳴らしながら」 というフレーズがあります。古くからのファンにとっては本当に懐かしい曲。しかし、今聞いても新鮮でちっとも腐っていない良い曲だと思う。

 「第三病棟」は、昔は出始めの所を「僕のピアノを」と言って、おもちゃのピアノを持ってきてもらって、自分で弾いていましたが、今回は自分では弾いていませんでしたね。この曲は凄く好きだったなあ。

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「朝刊」は、「高田の背番号」→「松井の背番号」に歌詞を変えていたし、

「雨やどり」は「スヌーピー」のハンカチ→「キティーちゃんのハンカチ」になっていました。(としっかりチェック)

昔の曲は、ライブ前に聞いて行かなくてもしっかり覚えているのに、最近の曲はあまり聞き込んでいない自分が悲しい。

「ほおずき」の歌詞から、昔の祭りの照明がアセチレンガスで臭かったこと、物の陰が鮮明ではなくてぼんやりしていたが、今は照明が電灯に変わったことで、陰が鮮明になり何事もはっきりするような時代になったこと。夏祭りで、カレーが食べられなくなったこと、砒素事件は単に毒を入れたことだけでなく、心に疑心暗鬼というくさびを打ち込んだことで、計り知れない悪影響を与えたこと。などから、「カレーじゃなくてハヤシだね!」という落ちまでついていました。(苦笑)

今回のサポートメンバーは宅間さんが大腸炎のため1週間入院で、マリンバは岡本まりさんという女性でした。石川鷹彦さんはほとんど出ずっぱりで、さださんの長いMCにも暇そうにしてたなあ。

「北の国から」は昨年に続き、みんなで一緒に歌いました。

「心の時代」からは、「心の時代」「神の恵み〜A Day of Providence〜」「不器用な花」「都府楼」「航跡」「白夜の黄昏の光」 。

「神の恵み」は子供時代に、米国第7艦隊の戦艦プロビデンス号が長崎港に寄港した時、見に行った思い出。終戦後かなりたっているが、米兵に「Give me chocolate!」というと、ハーシーのチョコレートをくれたりするが、どうしてもそれが言えなかった。今でも、バレンタインでもらったハーシーのチョコレートは切なくて食べられない。という苦い思いで。戦争の与えた影響はとても大きい。

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「白夜の黄昏の光」は星野道夫さんを歌ったとのことなので、早速新潮文庫の「イニュニック(生命)を買いに行きました。写真はもちろん、文章もとてもうまいそうなので、読みはじめました。

昨日は若山牧水の「心の鉦をうちならしつつ」の歌を探すこと30分あまり、毎日こんなことをしているので、ライブレポートもちっともはかどらない。

  ようやく星野道夫さんの「イニュニック(生命)」を読了。星野さんはアラスカで野生動物や人々の暮らしを、写真や文章に記録し、1986年にはアニマ賞、1990年には、木村伊兵衛賞を受賞されています。ロシアで取材中にクマに襲われ、亡くなられました。

アラスカの自然・エスキモー・インディアンの古老の話を聞き歩き、記録されているのに、優れた宗教書を読んでいるような深い人生観・自然観が随所に散りばめられていて、宝石のように輝いている言葉がいくつもありました。

  美しい写真とともに、人間がどこから生まれ、どこへ去って行くのか、悠久の自然さえも大きな時間の中で生まれてはまた形を変えていく現実の中で、人間とは、自然とは何なんだということを、改めて考えさせられました。

  さださんの「白夜の黄昏の光」を改めて聞きながら、つかの間生きているからこそ、生きていることがすばらしいんだ、こんなにもせつないんだと感じました。今、五木寛之さんの「大河の一滴」を読み始めました。何か繋がっているような、星野さんの本の続きを読んでいる不思議な気がしています。

  さださんのコンサートからいろんな方向へ広がってしまいました。

その後、2人の人から「ソフーの世界」を勧められ、読了。人間の思想史・哲学史を通して、人間はどこから来て、どこへいくのかという根元的な問いをまたあらためて、突きつけられた気がします。

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