新 聞 「トゥオイチェー報」(若者新聞)2008年9月18日(木曜日)
テレビ ベトナムテレビ「HTV9」で放映 2008年9月18日(木曜日)
新 聞 ベトナムの新聞「SaigonGiaiPhong(サイゴン解放)」2008年9月21日(日曜日)
タイコモチという芸能
「トゥオイチェー報」(若者新聞)
2008年9月18日(木曜日)
記者:ホアン・オアイン(H.OANH)
(翻訳文:新江 利彦 様)
2008年9月17日に、ホーチミン市人文社会科学大学において、荒井正三氏が、日本の伝統文化における男芸者の芸能「太鼓持ち」の紹介講演を行った。
女芸者たちが舞踊、歌謡に優れ茶道、書道の素養をもったゲイコ(芸妓)、マイコ(舞妓)であるのに対し、タイコモチ(太鼓持ち、男芸者)は、酒宴において女芸者たちの芸の見せ場をつくり、座を盛り上げるチューヘー(芸人)であった。
講演において、荒井正三氏は太鼓持ちという芸能の発展の起源や、この芸能の規則について述べ、また太鼓持ちの幾つかの特徴的な所作を示し、会場を沸かせた。
荒井正三氏は日本において現在活動中の数少ない男芸者の一人であり、今回の講演は、2007年にワルシャワ講演に続く、二回目の海外講演である。
関連サイト
http://www.tuoitre.com.vn/Tianyon/Index.aspx?ArticleID=279069&ChannelID=10
2008年9月18日
ベトナムテレビ「HTV9」で放送される
タイコモチ:芸者芸能のユニークさ
『サイゴン解放報』
2008年9月21日 日曜日
記者:マイ・ブウ・ホアン・フン
(翻訳文:新江 利彦 様)
序
一般的に、芸者といえば、美しい着物を身にまとい、魅力的な所作の、微笑や歌声が人々の心を捉える日本人女性を想起する。芸者芸能の中に、男芸者による爽快で機知に飛んだ笑いを知る人は少ないだろう。
芸者芸能の中の太鼓持ち
日越外交関係設立35周年事業の一環として、9月17日に、ホーチミンシティー人文社会科学大学ベトナム東南アジア研究センターが、荒井正三氏を招いて太鼓持ち芸能の表演・講演会を開催した。会場では、多くの人々が、太鼓持ちが芸者芸能の重要な部分を担うことを知って驚いた。
人文社会科学大学東方学科の学生・ファム・ニュー・ランは言う。「私は芸者は女性だけだと思っていたので、どうして芸者の芸の講演なのに講演者は男性なのだろうと不思議だった。けれど、彼の表演をわたしはとても気に入った。見る者を楽しませる笑いだと思う。」
Geishaという日本語は、ゲートゥアット(芸術)を意味するゲー(芸Nghe/Gei)と、人を意味するジャ(者Gia/Sha)から成り、芸能に優れた人を意味する。芸者はかつての日本の宴席文化から生まれたものである。昔、日本の農民は、一年中働きづめで暮らしは大変であったが、彼らにも休息の時間はあった。彼らは集い、歌や踊り、飲食を楽しみ、収穫を神々や祖先に感謝した。この祭りから、さまざまな日本の民間芸能が発生した。芸者の表演芸術も、この民間芸能の流れを汲むものである。
芸者たちは、古典舞踊や歌謡、楽器演奏、華道、茶道、詩歌、礼法、お酒の注ぎ方など、さまざまな芸事を学んだ。これらの芸事を、彼らはその人生の中で更に完成させていった。美しさ、たおやかさ、芸能者としての才能を身に着けたものたちは、優れた芸者であると高い評価を得た。このような芸者の役割において、宴席に服務する男芸者は太鼓持ちと呼ばれた。彼らは女芸者の表演において欠かせない者たちであった。彼らは、女芸者たちがその才能を最大限に発揮できるよう、場を盛り上げる役割を担っていた。
機知に富んだ笑い
太鼓持ちとは、字義通りには「太鼓を持つ者」の意味である。しかし、太鼓持ちは常に太鼓を持っているわけでは決して無い。ベトナム風にいえば、彼らはチューヘー(お笑い芸人)である。しかし、太鼓持ちの笑いは、ベトナムのチューヘーたちのような単純な笑いではなく、機知に富んだ笑いである。太鼓持ちは時事的な話題を諧謔とユーモアを込めて語る。太鼓持ちの難しさは、笑いを求める客たちの希望に答え、しかも客たちの機嫌を損ねないことである。
また、太鼓持ちは、形態模写の達人でもある。その所作は優雅でしかも諧謔に富む。
荒井正三氏は現代の日本を代表する太鼓持ちの一人である。彼の太鼓持ちとしての神髄は、まだ表演する前から、これは面白そうだと皆に期待させ、笑顔にしてしまうところにある。この芸は模倣することが難しく、演者に高度な稽古を要求する上、毎日表演を続けていくためには、常に新しい時事情報を更新していかなければならない。荒井正三氏は十代でこの道に入り、公衆の面前で表演できるようになるまでに四十年かかったという。
在ホーチミンシティー日本国総領事・水城幾雄氏は言う。
「2007年に、荒井正三氏はポーランドのワルシャワで公演を行った。今年のホーチミンシティーでの公演は、彼に二回目の海外公演である。公演のたびに、荒井正三氏は、東方文化を学ぶ学生たちに、その見識を広めるための素晴らしい機会をつくりだしている。日越両国のよりよい理解のために、今後もこのような交流の場を設けて行きたい。
関連サイト
http://www.sggp.org.vn/vanhoavannghe/2008/9/165842/
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