‐お知らせ‐
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‐‐なぜだろう‐‐
思い返せば、中高年女性にとって平成八年は、「うらが町づくり」の計画と実践で本当に忙しい一年でした。
うらが町づくりの活動として
一 山菜部会
二 加工食品部会
三 薬草、わら加工等部会
四 見どころ部会(殿下の観光)
の四部会が平成七年に発足しました。
そして、二の部会の活動実践の場として設定したのが、ふるさと定食の部であります(九年には山菜プラスそば定食と名称変更)。三、四月は部会(部員は中高年女性)を開き、具体案の検討、そして結論としては、殿下地区高齢者活性センターで四年経過して、その評判が徐々に高くなっている「越知の手打ちそば」を核とした山菜料理に決定しました。幸いなことに殿下地区の山々は山菜の宝庫であります。そのため、
一 スタッフの募集
二 メニュー、料理法の研修
三 道具集め
なにしろ、一円の資本金もないところからの出発ですから。ただ、活性化センター「かじか苑」という建物を拠点とさせていただけたのは何よりも安心というところでした。 さて、お客様はということですが、二部会の二人の部長は、福井市役所、JAの女性部やまたいろいろの女性団体とのつながりを幅広くもたれ、その交渉はお手の物でした。結果的に申し上げますと、
六月 五回 一一六名
七月 二回 五八名
九月 四回 九二名
一〇月 九回 二一七名
一一月 五回 七〇名
一二月 4回 六三名
合計 二九回 六一六名
のご来苑でありました。スタッフ一同ビックリするやら驚くやら。
話は前後しますが、スタッフは二三名、五班編成、予約日、出番の連絡は加工部長が行っています。
また、使用する器具類は無からの出発なので、話し合いの結果、スタッフの家の蔵に眠っている塗り膳、おわん類を拠出していただくことになり、特に準備や始末などの点からも、軽くて割れる心配もなく、品物がよいので見場も重厚、上品で、この発想は非常に良かったと思っています。使っていただくお客様の評判も良好です。
ちなみに私は、この全くの素人商売の会計係を受け持っておりますが、材料費、調味料等も結構必要ですし、またスタッフの人件費も全くの奉仕にはできず、四苦八苦というところでございます。
思い返しますと、あわただしい平成八年ではありましたが、定食を賞味いただけるお客様は地区外の方々がほとんどで、サービスの場が広がっております。そして、ささやかな収益と同時にそば苑も繁盛という結果も生まれ、本当に感謝しております。こうした体験が私たち中高年女性の物事に対する建設的な積極性とか、いわゆる世間の広さを感じさせていただいたり、養わせていただいたりしているのであります。
今回は加工食品部会の活動を中心に述べさせていただきましたが、わら細工、薬草茶等の部会活動も、機会があればふれさせていただきたいと願っております。
(つづく)
一 農家の思いと行政・農協のズレ
この項目に分類されたものに、「水田の基盤整備が進めば進むほど専業農家が少なくなっていくように思う」「行政は先を見る視点に欠ける」「地域農業確立のため農協の使命は重要であるが、一般農家対象の活動だけでは不十分である」など、行政・農協としてはそれなりに一生懸命努力しているのであろうが、あぜみちの会編集委員会のような農業に深く関わっている人達から見れば、その指導力や方向性に物足りなさを感じているようである。別の見方をすれば、行政や農協に期待するものが大きいことをうかがわせている。
二 古い体制のムラ社会
農村社会の特徴ともいえるムラ社会を福井県農業の問題点として取り上げたものが多く、この中には「集団主義が強すぎて個人が押しつけられている」「他地域の人を迎え入れるのが苦手で開放的でない」「女性差別が強い」など、都会に比べ閉鎖的な農村の人間関係を挙げている。
三 兼業農家が多く、大規模 農家が育たない
「集落・地域単位への指向が強いため、地域で農業者を育てる方向に欠ける」「集落農業の形成も当面重要だが、大規模農家の創出は長期的課題」など、福井では突出した個人が育ちにくい環境と感じているようである。
四 若い人の農業に対する魅力欠如
「農村における若い人の発言力が弱い」という意見に代表されるように、若い人の多くが農業について関心を示していないという現実の反映の様に見える。また、福井県の若い新規就農者数は全国でも最下位に近い所にある。こういった状況の中で若い人が農業に対して魅力を感じなくなるという悪循環に陥っているようである。
五 農業者自身の積極性欠如
「自分の思いを発言したり、書いたりすることにネガティブである」「行政やJAへの依頼感が強くて自主性に欠ける」など農業者自身の積極性の欠如を問題にしている。手前ミソではありますが、あぜみちの会はこの情報発信の手助けをすべく活動をしています。
六 農業に対する消費者の無関心
「農家の顔が見えにくい」「都市部(消費地)の人と農村(生産地)が切り離されている」という意見があり、福井のような田舎でもこのような傾向はますます強くなってきているようである。農産物の流通が広範囲になればなるほど生産者の顔が見えにくくなり、この傾向が強くなってきている。こういった中「地産地消」が改めて見直されてきている様に思う。
七 水稲単作に偏重
農業粗生産額に占める米の割合が全国平均の二倍以上の七五%という、水稲単作に偏重した状況では、水稲生産の浮き沈みが直接福井県農業の浮き沈みに繋がりはしないかとする心配である。水稲単作ということは園芸、畜産部門が弱体であることを示している。回答の中に「水稲単作からは単作人間しか生まれてこない」というユニークなものがあり、なるほどと感心させられた。
八 自由競争で経済効率を優先しすぎ
これは農業者ならずとも、最近の物質優先主義と市場優先主義に辟易している人も多いのではないだろうか。過剰な競争社会では弱い立場の農業は守れないのではないかとする意見である。農業者だけでどうにかできる問題ではないが、今の社会システムに対するジレンマを感じているのであろう。
九 資産としての農地管理
小規模兼業農家の多くは、農地を生活費を稼ぐための生産の場ではなく、先祖から受け継いだ資産として考える傾向が強いため、中核農家に必要な土地がなかなか集まらないという弊害を生み出していると感じている。
これら九つの項目以外にも、福井県の農業の問題点として、「地元消費作物が大事にされていない」「全国的な福井の特産物がない」「県内の畜産が低迷している」などの問題点が指摘された。
これらの問題点は、最初にも断った様に、みち編集委員会の方々に協力いただいたアンケートの回答を基にしているので、福井県農家の平均的な問題点の捉え方とは性格を異にするものと思われる。
次回は、今回の問題点を踏まえ、どのような解決方法を考えており、それぞれの問題点についてどのくらい効果的であると考えているかについて検討する。
(以下次号)
経営内容
我が家の経営内容は、農業の方では水田〇.八ヘクタール、養蚕年間四箱、ギンナンの木一〇〇本と花木七種類は育成中で、施設野菜3アール、梅などです。
林業の方では、人工林二〇ヘクタール、天然林一〇ヘクタールあり育成につとめています。そして一年を通して木炭の製造、特用林産物のシイタケ栽培も行っています。
農業・林業どちらか一方にウエイトを置くことはできず、平行しながらの複合経営です。
仕事をしていて思う事
水田は〇.八ヘクタールと面積的にはあまりありませんが、枚数にすると三〇枚近くあり、耕地整理もされておらず、稲の収穫時期などはほとんどバインダーで刈っており、なんと一輪車で運ぶ場所もあるのです。
しかし、とれる米の味はとてもおいしく、山の水ということや炭を入れているほか、昼と夜の温度差も重なっているのではないかと思われます。山で穫れる米ということで、もう少し付加価値をつけて売ることができないものでしょうか。
養蚕は昔からやっており、今では北陸三県で私のところだけが残っているのが現状です。最盛期には年間五回飼って、ご飯を食べる暇も寝る暇もなかったそうです。今は年二回四箱と大変少量になりました。これも貿易の自由化の波に押されてしまった結果なのです。
私が一番最初に蚕を見たときは驚きと感動で声も出なかったことを思い出します。というのも、あまりにもたくさんの数、数万匹と蚕が桑の葉を一斉に食べる音といったらものすごい音を立てて食べるのです。それも枝だけを残してものの見事に食べてしまうのです。
蚕は生命力がとても強く、体内に残っている排泄物を全部出して口から糸を休まず出し続ける様子をじっと見ていると感動してしまいます。
絹糸は着る糸から、今では医学の面(血液が固まらない凝固剤)やメガネ関係の面(コンタクトレンズの開発)で研究がいろいろ行われています。
養蚕のような伝統的な産業もしっかりと受け継いでいきたいのです。
ギンナンや花木は将来の収入源として育てていますが、雪の被害防止や病害虫の防除などは書かせません。
施設野菜は平場ではなかなか作りにくい夏場のホウレンソウということで、二年前から取り組み勉強中です。将来は化学肥料から有機肥料に変えていくつもりです。
炭焼きも昔からずっとやっており燃料炭として昭和三〇年くらいまでは使われてきましたが、ガス・灯油・電気などが普及してからはだんだんと木炭は下火になり、炭を焼く人も少なくなってきています。
しかし現在に至っては、少しずつではありますが、見直されつつあり、多岐にわたって広く使われるようになりました。
木炭をお風呂の中に入れるとアルカリイオンを含む温泉と同じ効果が与えられます。さらっとした湯ざわりで疲れや肩こりにもよく効きます。また木酢液を入れると体のかゆみも止まります。
炭を入れてご飯を炊くとふっくらとして一粒一粒が光ります。
炭を電化製品の近くにおくと電磁波対策にもなるということで科学的にも実証されています。
粉炭を水田に施用して米の食味や収量をアップすることができます。
水田・野菜・果樹・花木など、炭を投入することによって、化学肥料の施用量をかなり下げてもよく生長し、高い収量が得られます。
木炭に熱を加えると遠近赤外線がでて肉・魚のうま味の成分(グルタミン酸)が逃げません。
など、木炭の効果を上げるときりがありません。
私の家では焼鳥屋・魚屋・お茶の炭としておろしているほか、くずの炭は水田や畑に撒き、木酢液もお風呂に入れたり、除草剤・土壌改良・作物の病害虫の防除などに使用しています。
炭焼きは本当に難しく、経験と勘だけが頼りです。最初やり始めたときは、作業手順書(マニュアル表)を作ってやろうと思ったのですけれど、木の種類・木の立て方・焚き口や煙突の調整・温度管理・季節が一回一回違うので、同じ炭はなかなか焼けません。デモや利害はあります。炭の取り出し口を開くときが一番緊張する瞬間です。
木炭も木酢液も農業の中にうまく取り入れながら収益をあげることができるのですが、まだまだPR不足で、これからどんどん広げていくつもりです。
将来の夢
私には夢があります。
一つにはオーナー園を作ることです。
野菜、果樹などを混ぜ合わせ、山のマナーを守りながらハイキングなどを楽しんでもらえるような園づくりです。
二つにはオートキャンプ場を作ることです。
景色がよく、森林浴が楽しめる山のところで20サイト位の広さをとり、サイクリングや木で作ったアスレチックなどができる特色のあるキャンプ場作りです。
三つには私の実家の八百屋に山で穫れた山菜・野菜・米などを卸すことです。
小さい店内へ四季に応じた新鮮な作物を並べ町の人たちに食べてほしいのです。
適地適作をしっかりと考えて、一歩一歩夢に向かって前進あるのみです。
JAと青壮年部のかかわりについて
最後になりましたが、私は今、福井市青壮年部のの副部長をやらさせていただいています。入部してまだ三年足らず、本当に恥ずかしく勉強不足で何もわからないのが現状です。
昨年の一一月にJAの臨時総代会で青壮年部と女性部から各一名の理事が選出されることが承認されました。福井県では初めてのことであり、全国的に見ても数少ないと思われます。
これからの青壮年部は広く盟友の意見を集約し、代表がJAとの太いパイプを通じ、積極的に運営に携わっていかなければなりません。
そして地域農業と農村の次代を担う後継者としてJAの全利用をすすめ、青壮年部らしい組織作りをして勉強会などもどんどんやっていきたいと思います。
@労働・資本・経営者の一体性が一人一人の構成員に体現されていること。
A営利追求を目的とせず、人と人の共同体であること。
B直接民主主義を原則とした、上下関係のない自主管理的運営であること。
八、新しい時代に向けた協同組合の新しい原則
一九九五年九月、ICA(国際協同組合同盟)は創立一〇〇周年を迎え、イギリス、マンチェスターで記念大会、総会を開いた。その総会でこれまで数年間にわたった討議された協同組合原則が三〇年ぶりに改訂された。まずこれまでの原則と新原則を比較してみる。
旧原則(ICAウィーン大会、一九六六年)
@加入、脱退の自由
A民主的運営
B出資配当の制限
C剰余金処分の方法
D教育活動の促進
E協同組合間の協同
新原則
@自発的でオープンな組合員制度
A組合員による民主的運営
B組合員による財産の形成と管理
C組合の自治・自立
D教育、研修と広報活動の促進
E協同組合間の協同
F地域社会への配慮
新しい七原則のうち第一、第二、第五、第六原則は旧原則の内容をほぼ踏襲しているといっていい。
第三原則「組合員による財産の形成と管理」については「その資本の少なくとも一部は、通常、その協同組合の共同財産である」「協同組合を発展させるため、できれば準備金として留保し、少なくともその一部は不分割とする」と説明されている。
経済社会のボーダレスと競争激化の中で、世界的規模での協同組合の経営困難、競争力のぜい弱性が指摘されており資本蓄積の必要性から加えられたものだ。
第四原則「組合員の自治、自立」は社会主義社会、発展途上国などでの自国政府との癒着や資本主義社会での資本調達の拡大、多様化の中でともすれば、他者への依存度が高まり、協同組合の本質を見失い勝ちな傾向に対する反省と自戒である。
第七原則「地域社会への配慮」は「協同組合は、組合員が承認する方針にしたがって、地域社会の持続可能な発展のために尽くす」と説明されている。旧原則の中では「協同組合間の協同」原則に一部ふれられているが、今回独立させ、その重要性が喚起されている。その背景にはイギリスのICDM(産業共同所有運動)やイタリアの社会的協同組合、スペインのモンドラゴン協同組合の発展があると考えられている。イギリスのコミュニティ協同組合は雇用創出、教育・就職訓練、環境・資源リサイクルなど、地域社会と住民の利益のために活発な活動を行っている。
協同組合は勿論、組合員のために組織されているのであるが、その組合員が生活する地域社会が経済的、社会的、文化的に豊かで充実していることが必要であることはいうまでもない。したがって協同組合が地域の諸問題に関心を持ち、その持続的発展に深く係わる必要が唱えられているのである。
マンチェスター大会では、これまでの方法と異なり、ICA声明「協同組合のアイデンティティ」として「原則」以外に「定義」と「価値」を決定している。
「定義」
協同組合は、共同で所有し、民主的に管理する事業体を通じて、共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願望を満たすために、自発的に結びついた人々の自治的な協同組織である。
「価値」
協同組合は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯を基本的価値とする。
協同組合の組合員は、創設者たちの伝統を受け継ぎ、誠実、公開、社会的責任、他人への配慮という倫理的価値を信条とする。
九、協同組合の再生の可能性
さて、ようやく結論に到達したようだ。
レイドロー博士は「西暦二〇〇〇年における協同組合」の中で「ミクロレベルからの協同組合地域社会づくり」を提言している。このことは新しい協同組合原則の第七として生かされたことは前にみた通りである。また、この原則を導き出した背景にヨーロッパにおける「ミクロレベルからの協同組合」の活発な運動があることもみてきた。
マクロ的に俯瞰してみれば利潤追求を基本原理とする資本主義システムとその批判者として登場してきた社会主義システムが共に現在惹起している問題を解決し得ないのは今や明らかになっている。社会主義体制の崩壊、失業の増大、南北間格差の拡大、環境問題の深刻化などはそのことを証明している。
これら人類の生存の基本にかかわる問題を抱えながら、政治権力を基盤とする「国家セクター」、資本を基盤とする「私企業セクター」に対して、市民、労働者、農林漁業者、小生産者が人的結合として組織する「協同組合セクター」がどこまで、組合員の生活と営業を守り、人類的課題の解決に貢献できるかが、問われている。協同組合に係わる私達としては組合員レベルから、すなわち地域的レベルから、これらの課題への実践的取組みが求められているといっても過言ではない。
そこで、私達の住む農村には、新しい型の協同組合=ワーカーズコレクティブを組織する芽がたくさんあることに気がつく。
@日本の農村では水田農業を中心に協同の風土が生きづいていること
A農村には用地や原料を入手しやすい条件があること
B農村に農産加工の伝統技術があること
C地域を大切に考える価値観が残っていること
(石見 尚氏)
平成四年の新農政プランの中で、組織経営体として、農業生産の主軸を担うものとして認知された農業生産法人(農事組合法人、有限会社)を単に経営体としてのみとらえるのではなく、これまでみてきたワーカーズコレクティブとして考え、運営すれば、その創設はさほど困難なことではないだろう。全国的にもすでにたくさんの農業生産法人が組織、運営されている。
比較的少数の農業者が、出資し、労働し、利用することによって、地域に労働の場を創出し、地域の農業生産を維持し、地域社会の活性化に貢献する。これこそ真の協同組合、それも新しい型の協同組合といえる。私達は演繹的手法で農業者の生産法人結成に積極的にかかわるべきだろう。
既存のJAとワーカーズコレクティブとしての農業生産法人という地域での協同組合の二重構造をつくり出すことによって、私達はマクロ的にも、ミクロ的にも所与の課題の解決に向けた展望を切り開くことができる。
(以下次号)